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the scenery
「ごめんね、急に呼び出して…」
「驚いたよ。どうしたんだ?」
「どこか連れていって。」
「どこ、行きたいんだ?」
「うーん… どこでもいけど… そうだ!みんなでよく行った、あそこ…」
「どこだっけ?」
「ほら、海の近くの…」
「象鼻ヶ岬?」
「そうそう。」
「まだ寒いぜ。」
「いいわよ。」
「クルマ、替えたんだね。最初見た時、わかんなかったよ。」
「二ヶ月前にね。」
「高かったでしょ?」
「また、ローン地獄のはじまりさ。」
「ふーん。二人しか乗れないんだ… 便利悪くない?」
「だから、いいんだよ。」
「変わってるのね、相変わらず。」
「それが俺のいい所…」
「ばーか…」
「大ちゃん、元気?」
「ああ、大輔ンとこ、もうすぐらしいよ。」
「早いのね。」
「“できちゃった結婚”だからな。」
「どっちかしら?」
「さあ?まだ聞いてないってさ。」
「大輔パパか… みんな変わってくんだね。」
「俺は変わんないよ。」
「そうね、あんた相変わらず…」
「お前だって、そうだろ?」
「あたし、変わってないかしら?」
「変わってないよ。」
「だと、いいけど…」
「そうそう、ここよく来たわね。授業サボってさ。」
「もう、すっかり閉まってるよ。“貸店舗”だってよ。」
「あんた、なぜかピンボール上手かったよね。」
「昔っから、神童って言われてたんだぜ。」
「他のゲーム、何やってもダメだったけどね。」
「それ、言うなよ。」
「はいはい、ピンボールの天才さん。」
「あれ?こんなとこに、お店あったけ?」
「最近建ったんだ。」
「こっち、久しぶりだから… よく来るの?こっちのほう?」
「たまに。」
「誰と?」
「いいのか?日曜なのに、彼氏とかほっといて…」
「いいの… 終わったの。」
「昨日、律子から電話があったのよ。」
「順調なのかな?」
「不景気らしいわね。でも景気悪いっての、今じゃ挨拶みたいなもんだし…」
「それもそうか… 経営者は大変だよな。」
「でも律子、頑張ってるみたいだし、安心したわ。」
「長年の夢だったからな。」
「こんな田舎、出て行って正解だったのね。」
「遠いな…」
「遠いね。」
「ボリューム、上げていい?」
「いいよ。」
「好きなんだ、この曲。」
「新しいCD、出たんだぜ。」
「あんたの車乗ると、必ずこの人の曲だからね。」
「いいじゃんか。」
「いいわよ。」
「ねえ…」
「ん?」
「あたし達、くっついちゃおうか?」
「…」
「ダメだよね。今更…」
「…」
「昔、ふったの私だし…」
「お前、大輔が好きだったんだろ?」
「そうだったわね。」
「代わりはゴメンだよ。」
「違うよ… そうじゃなくて…」
「みんな、昔みたく友達のままって無理なのかな?」
「友達は、友達さ。」
「でも、なんか違うの…」
「友達で遊ぶことって、無くなったよな。」
「職場の付き合いばっかでさ…」
「だよな…」
「あっ、ここ曲がるんだったっけ?」
「そうだよ。」
「忘れちゃったわね、あたし。」
「そうそう、この道ね。」
「思い出した?」
「もうすぐね、この先。」
「そ。」
「あのね、パスタ美味しいとこ見つけたんだ。行かない?今度。」
「オッケー。」
「フォーク、使える?」
「使えるよ。」
「へえ。使えるようになったんだ。」
「日本人は、箸だろ。」
「やっぱ、使えないんじゃん!」
「いいじゃんかよ!」
「やっぱり、相変わらずね。」
「降りないの?」
「ちょっと、アイドリングさせてから…」
「車、大事にしてるのね。」
「初めての新車だぜ。」
「車好きも変わんないね。」
「そこ、空いてるぜ。」
「えっ?」
「その助手席、空けてるよ。」
「…うん。」
「あたし達、昔のようになれるかしら…」
「多分、無理さ。」
「どうして?あたし達、変わってないよね?」
「昔は、友達だったから…」
「今は?」
「さあね… でも、あの頃には戻れないよ。」
「そうかもね。」
「でも俺は変わってないよ、あの頃の気持ちも…」
「やっぱり、相変わらずね…」
「安心した? 友達でいようなんて、カッコ付けたいけどさ…」
「ばーか。」
END
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