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未来都市 上
監視室に突然ブザーが鳴り響く。
数々の電子機械が並んでいる壁面に取り付けられた、いくつかの様々な色をしたランプの中の、とりわけ大きな赤いランプが点滅している。
交代で地下の実験室のみはりをしていた男が、慌てふためいて飲みかけのコーヒーをテーブルに置く。
監視テレビジョンのブラウン管に、大きな金属で出来た球体が映っている。それがわずかに振動を繰り返している様子だ。
「これは一大事だ!早くエビハマ教授とサツキ女史に知らせなければッ!」
男は机の上の受話器を取り上げる。受話器が据えてあった電話機のダイヤルを震える手で回した。
それからしばらくして監視室に姿を見せたのは、白衣姿の初老の紳士と、同じく白衣を着た婦人だった。
「振動の幅が大きくなっている。これは、ひょっとするとひょっとするかも知れないぞ。サツキ君。」
「ええ、この球体-X号の表に書かれていた説明どおりなら、冷凍持続電池の限界が来たのかも知れませんわ。エビハマ教授。」
エビハマ教授とサツキ女史の二人は息をのんで大きな窓ガラス越しに、その直径約5メートルはある巨大な金属で作られた球体を見つめている。
球体の表面にあるいくつかの、人の手で回せるほどの大きさのつまみがくるんと回転した。そして、球体を作る表面の一部が、まるで天窓がせり上がったよう
に浮き上がった。
その窓の隙間から、しゅっと白い蒸気が吹き出して来る。
「見たまえ、サツキ君。出入り口が開いたぞ。」
エビハマ教授は白髪の頭を掻き上げ、食い入るように窓ガラスを見つめている。額に汗が浮いていた。
「この説明によると、これからまる2日間解凍に入ります。あの隙間から胃カメラを入れて中の様子を探ってみてはいかがでしょうか?」
サツキ女史は紙片を片手に言う。この紙片は球体の表面に掘られていた説明を写したものだ。
「私たちが直接手を触れるのは危険だ。その作業はロボット技師にやらせよう。サツキ君は中から出た空気に細菌感染のおそれがないか、調べてくれたま
え。」
「はい、承知しました。教授。」
サツキ女史は壁面に取り付けられた計器類の中で、ガラス製の試験管につながったつまみを回した。球体が納められた実験室の空気をこの試験管に取り出し
て、その中身を調べるためだ。
実験室の二重のドアがひとりでに開き、二人の技師が現れた。その二人の技師は人間と同じように歩いているが、細い金属が寄せ集められたような手足をし
て、頭と胴体はドングリの実のような格好をしている。
それは人間の替わりに危険な場所で、精密な作業ができるロボットだ。
その二人のロボット技師は球体のそばまで来ると、両手で引っ張って来た長いコードの先端を扉の開いた隙間に向ける。するとどうだろう、二人のロボットの
腕がするすると伸び、自分たちより高い背丈の球体の上部に開いた扉のあたりまで手が届いたではないか。
二人のロボット技師は協力して、蝶つがいのような関節で動く指を使い、先端に小型カメラが付いたコードをその隙間に押し込んでゆく。
これは実をいうと先端の小型カメラもロボットで、豆電球により自ら照明を発し、監視室にいるエビハマ教授の指令通りに狭い場所を見物して回るのだ。
その時、エビハマ教授があっと声を上げた。
「どうかなさいましたか?教授。」
実験室の空気をしらべていたサツキ女史は、教授の声におどろいて振り返る。
「いやあ、私としたことが驚かせてしまったな。失敬失敬。今小型カメラがあやしい物を見つけたんだ、さあごらん。」
エビハマ教授は頭を掻き掻き、サツキ女史にブラウン管を指し示す。
そのブラウン管に、白い人の形をしたものが映っていた。
「これが説明書きにあった中原光一君でしょうか? もしそれが本当で、無事に光一君が冷凍から生き返ったとしたら、それは世紀の大発見ですわ!」
サツキ女史は目を輝かせて言う。その綺麗な顔が興奮で赤くなっていた。
「ああ、サツキ君。そのとおりだとも。60年ちかくも前に冷凍人間の技術があった事は驚きに値する。さあさ、彼を親善大使として迎える準備を始めよ
う。」
エビハマ教授もすっかり興奮している。
「そうですね、盛大にお迎えするパーティーの用意をしましょう。何せ、1950年から来たお客様ですもの。」
サツキ女史は大きく頷いた。
おおぜいの科学者や新聞記者たちが見守るなか、2日前よりさらに大きく開いた球体の扉から一人の少年があらわれた。
そこに集まっていた一同は、拍手喝采の大騒ぎ。
カメラのフラッシュがぱしぱしと光る中、眩しそうに少年は顔の前に手をかざす。
球体の出入り口には急あつらえの階段が作られていて、その階段に敷かれた赤い絨毯は真っ直ぐにその先の床に伸びている。
絨毯の先には何人かの紳士と白衣を着た人たちが立っていた。
少年は恐る恐る階段を下り、絨毯の先まで歩いてゆく。
「ようこそ!中原光一君。新トーキョーは勇敢な君を歓迎しますよ。私は総理大臣のムラセです。」
正面にいた紳士が花束を光一少年に手渡した。光一少年は何が何だか分からず、目をぱちくりとさせた。
「いやぁ、驚かせてしまったね。こちらは、君が58年間も眠り続けていたベッドを調査されていた、エビハマ教授とサツキ女史だ。」
総理大臣のムラセは光一少年と握手を交わし、そばにいた白衣を着た初老の紳士と、若くて綺麗な婦人を紹介する。
「初めまして。エビハマです。君のこの大した仕掛けのベッドとは、かれこれもう長いつきあいになるよ。」
「初めまして。光一さん。私はサツキと呼んでください。何か分からない事があったら私に聞いてくださいね。」
二人は次々と握手を求めて来た。
「あの… 最初にひとつ聞いてもいいですか?」
光一少年は始めて声を出した。
「何でしょう?光一さん。」
サツキ女史は首を傾げて聞く。
「今日は一体、何年何月何日なんでしょうか?」
「今日は2008年3月25日です。」
サツキ女史からそれを聞いたとたん、光一少年はぱっと顔を輝かせた。
「万歳!ぼくはついに、21世紀にやって来たんだ!」
周囲にいた人たちからも、大きな拍手がどっとわき上がった。
「今から20年前、この新トーキョーの都市建設のさいに、地下から君が眠っていたタイム・カプセルが発見された。それを大事に科学庁に持ち帰り、いまま
でずっと観察を続けていたのだよ。表の説明書きには、冷凍持続電池の寿命は50年とあった。すばらしい事にこれは58年もがんばって、君の眠りを守ってく
れていた事になるんだ。」
エビハマ教授が言った。
「そうでしたか。じゃあぼくを冷凍保存して下さった山根博士は、もうここには生きてはいらっしゃらないでしょうね。」
「ええ、山根博士の事は存じております。君のタイム・カプセルに山根博士の署名がありましたので、これは山根博士がこしらえたものだとすぐにわかりまし
た。数々の研究成果を残して、1975年に他界されました。現在博士の研究は、私たちの手で受け継がれています。」
サツキ女史は光一少年をなだめるように優しく答えた。
「そうでしたか… みなさん初めまして。ぼくは中原光一といいます。21世紀の未来をこの目で見るために、山根博士の冷凍人間の研究にみずから志願しま
した。現在13歳です… いや、70…71歳になるのかな?何か変なあんばいだ。」
周囲からどっと笑い声がわき上がった。
恥ずかしさに顔を真っ赤にしてしまった光一少年の手を、サツキ女史の手がそっと優しく引く。
「さあさ、挨拶はそのあたりにして。60年も眠っていたのですからお腹も空いたことでしょう。今からお体の具合が悪くないかをお医者さんに診ていただい
て、食事にして休みましょう。」
「そうだな、光一君はたいそう疲れている様子。皆様、今日はこのあたりにして、私たちは退散させてもらいますよ。首相、今日はありがとうございまし
た。」
エビハマ教授はその場にいた人たちに挨拶をする。
科学者や新聞記者の人たちは、盛大な拍手で光一少年とエビハマ教授とサツキ女史を送り出した。
次の日の朝、目を覚ました光一少年はあっと声を上げて、体にかかっていた毛布を跳ね上げる。
きちんと整理された部屋を見回す。
その部屋の床は畳ではなく、壁から天井まで全て一体となった合成樹脂のようなもので作られていた。今、光一少年が起き上がったベッドも、部屋の一部とし
ていっしょに形成されており、洋服ダンスやお風呂や便所も、壁面にきちんと整理されて並んでいた。
「そうか、ぼくは21世紀に来たんだ。こんなに合理的で衛生的な住まいだったら病気にもならないだろうなぁ。」
あらためて光一少年は部屋を見渡す。
石炭を焚くストーブも暖炉も無いのに、部屋は快適な一定の温度に保たれていた。昨日の夜この部屋に連れて来られた時、お湯と石けんが吹き出して体を洗っ
てくれるお風呂や、地面に穴が空いていなくて勝手に水で流してくれる便所に大層おどろいたのを思い出した。
「お目覚めですか?光一さん。」
そこへサツキ女史が入って来た。両手に何やら白いお盆のような物を抱えている。
「おはようございます。サツキさん」
光一少年はサツキ女史に朝の挨拶をする。
「昨日はお疲れ気味だったようですけど、今日はとても元気そうなお顔をしてらっしゃいますね。」
サツキ女史は光一少年のベッドの隣に腰掛ける。サツキ女史から大人の女の匂いがして、光一少年は恥ずかしそうにうつむいた。
すぐに気持ちをかえて顔を上げると、サツキ女史に笑って答える。
「ええ、おかげさまで今日はとてもすがすがしいです。」
「それはよかった。昨日の光一さんときたら大層な食欲で、私は驚いてしまいました。」
あんな大きな肉の固まりを食べたのは、生まれて初めてだった。そして、火を通していない野菜を食べるのに驚いた。今まで生の野菜を使った料理と言えば、
光一少年はなますしか食べた事がない。
「はい、何もかもが珍しくて。とても美味しく頂きました。」
「そう、それは良かった。さあ、朝ごはんをおあがりなさい。また珍しいかも知れない物を用意しましたよ。」
サツキ女史は、両手に持ったお盆のようなものをテーブルに置く。
それは一枚の皿に幾つもの部屋が分かれていて、表面を丈夫な覆い紙一枚でフタがされているものだった。
その覆いフタを開けると、中には5つの皿に分けられた色とりどりのジャムのようなものが入っていた。
「これは何ですか?」
光一少年は興味津々で皿の中身を見つめる。
「それは、火星探検をする人たちのために作られた食事です。料理をこしらえる手間のかからないように、すぐに食べられてしかも保存ができて、消化のよい
ように工夫されています。」
サツキ女史の言葉に、光一少年は驚いてあやうく持っていた食事の皿を落としそうになった。
「火星探検?!すると、火星に行く事ができるんですか?それは大きな砲弾で行くんでしょうか?」
「そうですね。光一さんのいた時代よりロケットの研究は大へん進みました。今では鉱物資源を掘り起こすために、たくさんの人が行ったり来たりしていま
す。少しですけど、私も火星で土地を買い取っていますよ。」
光一少年はわあと声を上げた。
「すごいなぁ。火星ってどんな所なんだろう?」
「とても寒くてさみしい所だと聞いています。ささ、それより早くおあがりなさい。」
「はい。いただきます。」
光一少年は両手を合わせ、皿の端に据え付けられていた合成樹脂のスプーンを取り上げる。いくつかの色のジャムのうちの白いジャムをすくって口に運んだ。
それはいつか洋食屋さんで食べた事のある、馬鈴薯サラダの味がした。
「やあ、これはおいしい。代用食なんかとはまるで違うぞ。」
サツキ女史はにこりと微笑む。
「食事が済んだら、光一さんに町を案内して差し上げましょう。」
「はいッ!」
「そうそう、これを渡しておきますわ。」
そう言ってサツキ女史は、手のひらに収まる煙草の箱ほどの大きさの、ラジオをうんと小さくしたような装置を手渡した。
「これはいったい?」
光一少年は興味津々、その小さな装置を手にとってひっくり返したりして眺めている。
「それは掌中無電といいます。ハンディ・フォンとも言われている、携帯用無線電話機です。これがあればもし光一さんが迷子になっても、すぐに私や警察に
連絡ができます。」
「へぇ、電話機もこんなに小さくなって、しかも無線だから電話線がいらないのか。」
「そうですよ。だから町の中にはもう電信柱は立っていません。また無線アンテナを中継するための電話線は、全て土の中を通っています。」
「便利になっているんだな。よし、もっともっとぼくは21世紀の町をこの目でたしかめてやるんだ!」
元気が出た光一少年はその珍しい火星食を、むしゃむしゃと懸命に残さず食べた。
光一少年はもう声を上げる事も出来ず、ぽかんと口を開けてその景色を見ていた。
目の前には、透明なアーチで覆われた歩道がうんと先のほうまで伸びている。
その歩道は上りと下りに分かれていて、更に普通に歩ける歩道と床が動く歩道に分かれていた。
大きな傘を幾重にも重ねたような建物が建ち並び、その建物どうしをつなぐようにして、透明なアーチで覆われたたくさんの道が交差している。
すっかり驚いてその場で立ちつくしてしまった光一少年の手を、サツキ女史が取り優しく引っ張った。
「さあ、行きますよ光一さん。この歩道は手すりをしっかり持って乗るのですよ。」
サツキ女史に手を握られた時、光一少年は空襲で死んでしまったお母さんの事を少しだけ思い出した。
身よりの無かった光一少年は、お父さんの知り合いだった山根博士の家に引き取られて育った。
「あれ?元気がないですよ光一さん。」
サツキ女史は光一少年の顔を覗き込む。
光一少年はぱっと顔を背け、それから笑顔でサツキ女史に言った。
「大丈夫です。さあサツキさん、行きましょう。」
その動く歩道に、光一少年はおそるおそる足を乗せる。それはいったん動き始めると、思ったほどに怖いものではなく、快適にアーチの中を体が進んでゆく。
「やあ、これは楽ちんだ。」
光一少年の隣で、同じように歩道に立って進んでいるサツキ女史はほがらかに笑っていた。
光一少年は額がむず痒くなって、指先で額をぽりぽりと掻く。
指先に堅いものが触れる。
これは出かける前に、サツキ女史が貼ってくれたものだった。
それはラジオの基盤をうんと小さくして、一辺が1センチにも満たないくらいに小さく紙のように薄くしたような四角い板で、それを絆創膏で額に貼り付けら
れた。絆創膏は肌と同じ色なので、外からは全く目立たない。
サツキ女史の説明によると、これは学校で制服の胸に付ける名札のようなもので、サツキ女史たちこの町の人は、みな手術を受けてこれを額に差し込まれてい
るらしい。
これが額にあると、乗り物に乗る事も、お店での買い物も自由に出来る。つまり財布を持たなくてもいいので、この町ではお金というものが無く、自分が銀行
に預けたお金がそのまま財布になっているのだという。
地面の道路も透明なアーチで覆われていて、たくさんの乗用車が走っていた。それらはすべて車輪がなく、地面からわずかに車体を浮かせて走っていた。
「バスは走っていないんですね。」
光一少年の質問にサツキ女史は答える。
「あちこちに張り巡らされた都電の線路と、動く歩道があるので必要ないのですよ。」
「ああ、そういう事かァ。」
光一少年は納得した。薪を燃やして、おしりからもくもくと煙と火の粉と吐き散らしながら走る木炭バスの姿は、遠い昔の事なんだと自分に言い聞かせる。
「あれはロボットなのですか?」
先程から歩道のところどころに、機械でできた人間の形をしたものが立っている。光一少年は気になって、サツキ女史にたずねてみた。
それらはカメラのレンズのようなものが埋め込まれた頭の部分を、時折ぐるりぐるりと回している。
「ああ、警らロボットですね。もしも事故が起きた時や、迷子の子供がいたときに、いちばん近くにいたロボットが駆けつけて来て助けてくれます。彼らはあ
あしてみんなの安全を守るために、毎日休みなく町の中を監視しているのです。」
「へェ。ロボットなのにがんばっているんだ。よし、ぼくもロボットなんかにまけずにがんばるぞ。」
「まあ、頼もしいこと。そうですね、ロボットを管理するのは人間ですから、人間がロボットに追い抜かれるような事があってはいけませんね。」
それから光一少年たちは、停車場から都電に乗った。
あの四角い車体でちんちんと警笛を鳴らして、道路にこさえられた石畳の上を走る電車ではなく、りっぱで丈夫な一本だけの軌道で支えられた、すごい速度で
走る都電だった。
電車の中に、おなじみの車掌さんの姿が見えない。それもそのはず。停車場の門をくぐる時に、あの額に貼り付けられた名札代わりの小さな基盤がここで役に
立つのだ。
門に仕掛けられた機械が、基盤から発信される信号でお客の名前を読み取り、勝手に運賃を銀行から頂戴する仕組みだったのである。だから切符を買う必要も
手間もいらない。
到着したトーキョー倶楽部ビルの一階ロビーは、とんでもない人の山だった。しかも、半分近くが日本人ではない白人や黒人が歩いている。
「すごい人の数だなァ。それにしても外人が多いんですね。」
光一少年がびっくりして言った言葉に、サツキ女史は吹き出してしまった。
「ガイジン?ああ、そのような言葉はもう使われていませんよ。もう世界は一つになったんです。」
「えッ?どういう事ですか?」
「太平洋戦争に日本が負けた後、大きな国どうしが競ってあの原子爆弾を作って行きました。やがては水素爆弾というものまで作ってしまいます。」
「水素爆弾?一体それは?」
「光一さんは知らないかもしれませんね。原子爆弾を起爆剤にして重水素などに核融合反応を起こさせる爆弾で、原子爆弾のなん十倍もの威力があるもので
す。」
「えっ?もしそんなものを使ったら、日本列島なんて一発で消しとんでしまうじゃないですか。」
「そうです。これがたくさん作られました。地球を何回も灰に出来るほどの数ですよ。もしもそんな爆弾が一斉に使われた時には、それこそ勝った国も負けた
国もない、本当に地球は灰になってしまいます。そこで国際連合は協議してもう戦争はしない事に決めたのです。これには多くの国が賛同して、作ったたくさん
の原子爆弾や水素爆弾を捨てました。さらに人種差別も無くして、国どうしで憎み合う事もなくなりました。」
「わァ!すばらしい事ですね。もっと早く決まっていれば、ぼくのお母さんが空襲で死ぬ事もなかったのに。」
「そうですね。でももう、家族を戦争で亡くす悲しみは地球上から消え去ったのです。」
ああ、これが夢にまで見た21世紀!
万能科学の上に平和が花咲いた、輝かしき理想郷だ!
光一少年は感激で胸が熱くなった。あのひどい戦争の後に、こんなにすばらしい世界が約束されているんだ。
そう考えた時、それを昭和25年の人たちに教えてあげられないのが残念でしかたなかった。
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