ド根性電人
FX
over
top あとがき
ワッパ(バイク)は青春である。
実際僕は青春時代を、この無防備な鉄の塊と過ごした。
端から見れば、雨が降れば濡れるし、夏に信号で停車すると死ぬほど暑いし、冬ではちょっと走っただけで膝の体温が戻らない程凍てつく。
だが、本物のバイク好きはそんな過酷な状況下を好み、楽しんで乗る。
只の移動手段としてなら車に乗れと人は言うが、そういう連中には何を言ってもハッキリ言って無駄である。
バイクに乗った事の無い人間に、理解を求めても無理なのだ。
とはいえ、クルマにはクルマの良さ(僕が思い入れをする場合、“車”ではなく“クルマ”と書く)があって、これも譲れない。
ところが悲しいかな、仮にバイクに乗った事のある者でさえ、バイクの良さを理解出来ない連中がいて(この手の人種は殆どの場合が、付き合い程度、もしくは粋がる手段としての道具であって、本編に出てくるヤンキー共と同等の輩であると分析する)、そういった連中がバイクの社会的イメージを悪くしていた。(実際古い話だ。今やこの手の暴走族は稀少生物に属する)
バイクは決して卒業するものではない。
乗れば乗るほど良さが分かって来るものだ。
山を渡る新緑の風や、海岸線を走り抜けるときにふっと漂う磯の香りを体感すれば、季節毎に移り変わる空の色に気づいたとき、きっと誰もが詩人になれる。
いわゆるナルシズムの世界に陶酔できるのだが、これが雨で濡れたり寒さを堪えたり、転倒の痛みを思い知ったりして更にマゾヒスティックな快感も加わる。
バイク賛歌はさておき、本編では敢えて旧式のカワサキZ750FXをベースとしたスーパーマシンを採用した。
実はあれこれとベースマシン候補があったのだが…
やはり、カワサキ。
と決めた。
完成度の高い優等生のホンダ、先進的でデザインの美しいチャレンジャーなヤマハ、技術は高いがどこか荒削りな部分を残したスズキ。
これらの他メーカーに比べ、カワサキは一線を画したアウトロー的存在である。
メーカーとしてはモンスターのイメージを常に狙っているが、僕がカワサキ車に感じるものは、硬派。そしてワルの印象が強い。(いい意味で)
本作品の主役メカのベースマシンをカワサキに絞り込んだ時、ゼッツーやKHなども候補に上がっていたのだが、若い頃ツーリング先で見て、頭の片隅に残っていた、あのFXの強そうなイメージが甦って来た。
目の前に迫って来るような、角張った大型タンク。
でかくて無骨なボディから漂う男気。
当時、250ccに乗っていた僕に、ナナハンの迫力をイヤという程植え付けてしまったマシンだった。
無機質な鉄の塊にも、きっと心はある。
もし喋れるのなら、このモンスターマシンはどんな言葉を発するのだろう。
この場を借りて、世界中のFXのオーナー様にお詫びを申し上げます。
下品でガラの悪い台詞の数々は、僕の空想の産物であり、実在する名車とは一切関係ありません。
そんな訳で、男の子の夢を叶えてくれる、驚異のスーパーマシンが完成した。
男の夢って何でしょう?
世界征服?
ハーレム?
いやいや、人に言わせればちっぽけな事でも、それを追い求める確かな充実感が夢なんじゃないかな。
まあ、いくらツッパってみても、オトコはオンナにゃ敵わないって事で。
I LOVE
YOU,OK…
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