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こちら、桐生探偵事務所。(弥勒編)
高速道路を建設する為に用意された測道を伝って行くと、その完成した高速道を見下ろす小高い丘がある。
資材を置くのに使われたと思われる広場になっており、現在は誰も立ち入る者はいない。
右手に料金所が見える。ここはインターチェンジの真上だ。
今、広場の端、ちょうど高速道を見下ろせる位置に停車しているエスティマは、リアハッチを開けて静かに佇んでいる。
そのエスティマから約三十メートルの距離を置き、サイドスタンドを立てた赤いドカティが止まっていた。
更にエスティマとドカティから距離を置き、二人の女と思しき影が対峙していた。
その丘から見下ろせる高速道をバックに、そのしなやかな全身を迷彩服に包んだ女と、背後の山から吹き下ろす風に髪をなぶられ、顔の前にかかる髪をそっとかき上げた黒い防弾スーツの少女。
「さて、沙織お姉さま。約束通り返して貰うわよ。」
黒い防弾スーツの少女、香織が言った。
「慌てるなよ、香織。先ずはショーを見物してからでも遅くはないだろ?」
迷彩服の女、沙織が言う。
「お手並み拝見とするわ。」
香織はそっと左手首の時計を覗く。
「もうすぐだね。せっかくの特等席だ、よっく見ておくんだよ。」
沙織はふいと香織に背を向けて高速道を睨む。この余裕の態度は彼女の自信がなせる技なのか。
「あ〜っ!見つけたっ… ぐう…」
姫子は赤いドカティを発見し、叫ぼうとして倫子に背後から口を押さえられる。
「気付かれるでしょ… そっと近寄るの…」
「了解、了解。」
姫子は借りた自転車を静かに止める。
倫子は音を立てずに荷台から降り、姫子は小高い丘の裾の斜面にそって静かに自転車を横にする。
倫子は屈みながら移動し、広場の入り口へ向かう。
姫子も同様に屈んで倫子の後に付く。
「倫子。そのスカート、校則違反じゃない?」
「ギリギリよ。どーしたの?」
「パンツ見えてるよ。」
「変な事気にしないでいいから… いたいた… ほら。」
そっと斜面から顔を覗かせる倫子と姫子。
その目に映る赤いドカティと二人の影。そして広場の向こうに見える、リアハッチを開いているエスティマ。
「たぶんあの車だね… よし、こっちから回り込んでやるか。」
姫子は作戦を呟く。幸いにして左手の斜面から回り込めば、ちょうどあの二人の視界には入らない。
倫子と姫子は移動を開始した。
丘の斜面に木の枝が迫っている。姫子は手元に張り出していた枝を一本折り、サイドポニーに髪を括ったリボンに突き刺す。
「ひーこ、あんた何やってんの?」
「白木忍法、木遁の術…」
「それで隠れてるの?」
「あたしは“木”よ。話しかけないで。」
「分かりました。」
監視カメラから届いた映像がモニターに表示された。
黒いリムジンがゆっくりと車線を変更し、インターの降り口に向かっている。
「時間通りね。ガブリエル、セット完了。」
エスティマの中に並んだ機材の前に座り、詩織はふっと溜息をつく。
最後尾のシートは外され、中間のシートも折り畳まれた広い空間も特殊な装備で埋め尽くされている。
キーボードから手を放し、再び緊張した眼差しでモニターを睨む。
「んぐ…」
詩織の背後で寝返りをうつ音。
詩織は振り返り、その穏やかな寝顔を見てそっと笑った。
麻酔銃で寝かされた拓也が詩織のすぐ側にいた。
「寝相、悪いなぁ… 風邪引いちゃうよ。」
詩織は拓也の肩にそっと毛布を掛け直す。
同じ歳の少年と接した事は、詩織にとって初めてだった。
この不思議な気持ちは何なんだろう?
そう心の中で繰り返す。
見知らぬ異国の地で母に育てられ、姉に付いて来た。
時々会ってくれる父はとても優しかった。
私は不満はない。常に何かに怒りをぶつけている姉とは違う。
だけど… 満たされないもの…
金庫をこじ開けた時に現れる、眩いばかりの金銀財宝。達成感、そして充実感はある。
それは悪い金持ちどもからはねた上前。薄汚れた金。
だが、それは金額としての数字的価値に過ぎない。
私の欲しいものはそんなんじゃない。
でも… やっと見つけた…
詩織は眠りこけている拓也の頬に、そっと掌を乗せる。
私が欲しかったのは、この温もりだったのかも知れない。
同じ歳の人と色々な話をして、一緒に食事をして…
詩織の顔は穏やかな笑顔で満たされる。
「んんん…」
再び拓也は寝返りをうつ。
「…もう食えねえよ… 倫子…」
その名を耳にした時、詩織の中で何かが走った。
“りんこ”?… 誰?…
詩織がふと目線を上げたのと、開かれたハッチから倫子と姫子が覗き込んだのが同時だった。
「あ…」
「あ…」
「あ…」
一瞬驚きと緊張の空気がエスティマの中を支配する。
詩織は慌てて拓也から離れ、いそいそと膝を倫子と姫子に向ける。
「あんたは?」
ひらりとエスティマの車内に飛び乗る姫子。倫子も後に続く。
「あ、初めまして。私、結城詩織と申します。姉の手伝いで、現在ガブリエルの調整中です。」
詩織は正座をしたまま三つ指をつき、ぺこりと頭を下げる。
姫子は流れるような動作で正座をし、詩織に礼を返す。礼とは常に武道の基本だ。
「これはご丁寧に。あたしはひーこ、白木姫子。それと、この子は下垣内倫子。以後、お見知り置きを。」
髪に刺した木の枝がぴょこんと揺れる。
「え…?」
呆気に取られて倫子の顔を見入る詩織。
「どうしたの?詩織ちゃん。倫子の顔に何か付いてるの?」
姫子の声も詩織には届かなかった。
胸の中で何かが悲鳴を上げている。
イヤだよ… そんな…
そんなのって… ナシだよ…
「コイツを返して貰うからね。」
姫子は眠りこけている拓也の体を、ひょいと肩に背負う。
連れていかないで… 私を一人にしないで…
涙が溢れてきた。
とめどもなく溢れて頬を伝う熱い流れ。
詩織の涙を見た倫子はひざまづき、そっと詩織の肩を抱く。
「詩織ちゃん、ごめんなさい。きっとあの女に叱られるのね。」
暖かかった。優しかった。
その優しさに触れた時、詩織の中で悲鳴を上げていた何かが弾けた。
「違うんだぁ… 詩織は、詩織は…」
がば、と倫子の腕を掴み、胸に顔を埋めて小さく泣きじゃくる。
倫子は理由こそ分からない。が、少女の痛みに対して出来る事は、強く優しく抱きしめてやる事だけだった。
泣いた事で、詩織は心の中の整理が全て終わった。
そう、この人なら…
私は姉のように強くはなれないかも知れない。でも、少しずつ、少しずつ…
「どうしたの?」
肩に担いだ拓也の体が落ちないようにバランスを取りながら、心配そうに詩織の顔を覗き込む姫子。髪に刺している枝が小さく揺れる。
「ごめんなさい、詩織たちが悪かったの。桐生くんを連れて帰ってあげて。」
詩織は涙を手の甲で拭いながら言う。
倫子は詩織の肩に手を乗せたままそっと立ち上がる。
「あの… お願いがあるの…」
詩織は立ち去ろうとする二人の背中に声をかける。
「なぁに?」
倫子と姫子は振り向いた。
「おねーちゃんたちを… あの二人のケンカを止めて。」
倫子と姫子は顔を見合わせて頷く。
「任せとけぇ!」
二人同時にウインクを決め、突き出した拳の親指を立てる。
詩織は涙で濡れた顔でにっこりと笑った。
アリゾナ砂漠の中央部。
そこに架空の企業の所有地があり、立入禁止区域となっていた。
一般社会の目から厳重に隔離されたその中に、奇妙なドーム状の建造物が十二基程並んでいる。
その形はドームと言うより、砲身を備えたトーチカの様相だ。
今、それぞれのドームが地中の駆動装置により旋回を始めた。
カノン砲のような突起物がそれぞれに狙った角度を取る。
何かを発射した。目に見えないエネルギーの波を、空に向けて一斉に放射する。
それは地中に隠されたパルス回路と抵抗性線形波成長器によって生成され、加速器を通して飛び出した中性粒子ビームだった。
上空の人工衛星の反射板がそのビームを捕らえ、他の衛星にリレーする。
そして一つ一つは威力の小さなビームの大気圏外の走行は、日本のある地点で一つに収束を始めた。
黒塗りのリムジンには、前と後ろを挟む様にクラウンの護衛が付いていた。
料金所を通過し、インター出口に向かう一団は急にエンジントラブルに見舞われた。
エンジンの回転数は降下を続け、そしてアクセルを煽ろうとも何も反応しなくなった。
異変に気が付いたガードマン達は車を降りた。
彼らはそれぞれが驚きの表情で、上空に発生した光の球を見上げる。
沙織は腰に下げた拡声器を構え、スゥイッチをオンにする。
がっ、と耳障りな音を立て拡声器の電源が入る。
「聞けぇ〜い!」
左手を腰に構え仁王立ちとなり、拡声器を口の前に構えて叫んでいる。
「我々はぁ〜!貴様らを完全に包囲したぁ〜っ!速やかに武器を捨て投降せよぉ〜!搬送中の物を出し、両手を挙げろぉ〜っ!」
沙織の背後で香織は大きく溜息をつく。
「やれやれ、もっとスマートな手段は無かったの?」
くるんと振り向いた沙織は、拡声器を香織に向けて叫ぶ。
「やっかましぃ〜っ!あたしに指図すんなぁぁぁぁっ!」
香織は両耳を押さえて呟く。
「やかましいのはお姉さまでしょ…」
太平洋上で海面が突如光った。
光はそのまま水面から吹き上がり、白と青の光の束となって踊り狂い、やがて時計と逆の方向へと回転を始めうねりと化し巨大な球体を生成した。
海面に出現したプラズマ現象は、その中に巨大な船の影を顕わし始めた。
光の束はやがて超弩級の船体を形成する。
瞬間移動で出現した船は、誰もが目を見張る超巨大戦艦だった。
推定排水量約8万トン以上。あの、『大和』、『武蔵』にフォルムこそ似ているが、さらにスケールアップされた超弩級戦艦だ。
前部二基、後部一基の砲塔から伸びる二連装の主砲は、当時作られた4万5千メートルの射程を誇る51センチ砲では無く、砲身に絡むように取り付けられたエネルギー伝達パイプや電極コンバーター等の装置。この砲身の正体は荷電粒子砲だ。
そして、それぞれの砲塔は旋回を始め、天空に向けて砲身が微妙な角度を取る。
砲身が光った。
放たれたエネルギーの束は、肉眼では見えない先の空の彼方に飛び去って行った。
「わっはっはっはっ!どーだ!参ったかぁ〜っ! …あれ?」
沙織は目の前の異変に目を丸くする。
道路上空に発生したプラズマ球体が急速にしぼみ始めている。
ダイヤ護送の一団はエンジンが復活した事を運転手からの合図で知り、油断なく周囲を見渡しながらそれぞれの車に乗り込む。
上空のプラズマ球体は完全に消滅した。
沙織は走り去るリムジンを眺めながら呆気に取られている。
「勝負あったようね。沙織お姉さま。」
背後で香織の声がする。
「おいこら〜!お宝置いてけぇ〜っ!」
沙織は、なおも執拗に拡声器で叫ぶ。
「肝心のリレー衛星を撃ち落とされたら、強力なプラズマ兵器と言えども使い物にならないものね。」
「そうか、ちくしょう… ジジイとオヤジのさしがねか…」
沙織の奥歯がきりきりと音を立てた。
拡声器を放り出し腰のホルスターに手を当て、電光石火の速さでグロッグ26を引き抜く。
「まだ終わっちゃないよ… 言っただろ!あたしはもう一つ、切り札を持ってんだ!くたばれ、香織!」
9ミリパラベラム特有の突き抜けるような発射音が響いた。
地面を転がる香織の足下に、着弾の砂埃が舞い上がる。
香織は転がりながら、ベルトに取り付けられたフロントブレイクのヒップホルスターから2.5インチ銃身のコルト・パイソンを抜き出す。
.357マグナムの轟音が響き、沙織の右足手前30センチの位置の土を巻き上げる。
「やりやがったな、こんちきしょう!」
「お姉さまが先に撃って来たのよ!」
同時に二人は走り出す。異なった銃声が数発、広場で交錯した。
「危ねーじゃねーか!香織!」
「お姉さまこそ止めなさいよ!当たったらどーするのよ!」
「やめなさい!二人とも!」
突如、姫子の通りのいい声が木霊した。
「あ… 詩織…」
「詩織… 拓也…」
二人はそこに佇む三人と、担がれたまま未だに眠りこけている一人を見た。
「これでよかったのだな… 司。」
豪奢な船室の椅子に腰掛けた老人が呟く。
「はい、父上。少々私は沙織を甘やかし過ぎたようです。」
司(つかさ)と呼ばれた中年紳士が頷く。
アンティークなソファーから腰を上げ、老人に歩み寄った。
湛えた口髭に白いものが混じっているが、すらりとした長身とその優雅な身振り、その知性を込めた瞳は、著名な科学者としての威厳に満ちたものであった。
「そもそもは、お前の放蕩が原因なのだぞ。肝に銘じておけ。」
「分かっております。ですが、沙織は私の自慢の娘。完全と言っていい程の成長ぶりに、私は嬉しく思います。」
「詩織はこのまま、沙織に付かせておいた方がよいのか?」
「暫くは… 父上は引き続き香織をお願いします。」
「分かっておる。儂の可愛い孫娘だからな。」
「今回の件は沙織の悪戯が過ぎたようで…」
「たまには叱っておけ。沙織とて本気でお前や儂を恨んではいない。」
「御意。叱って欲しいから悪さをする。沙織の気持ちは痛いほど判ります。」
「お前の気を引こうとしてやっている事だ。本当は香織とも仲良くしていたい筈…」
「そうあって欲しいものですが… 香織と詩織は未だ保護が必要。」
「そうだな… 会ってやれよ。」
「はい。三人とも私の愛する娘である以上、分け隔てなく。」
「うむ… その言葉、聞いて安心したぞ。」
地下に潜り兵器の密造の影で、世界制覇を目論む悪の科学者・武郷玄蔵は、窓の外に広がる海原に目線を移す。
司という中年紳士の息子も父の目線を追った。
水平線の彼方に夕焼けが迫っていた。
「なんだよぅ… あんたら…」
沙織は悔しげに歯がみをする。
「エースのスリーカード。私は残りのエースの札を全部持っていたの。先に手札を見せたあなたの負け。切り札とは最後まで取っておくものよ、沙織お姉さま。」
「へ… そういう事かい…」
「もう、やめて!沙織おねーちゃん!もういいから…」
詩織は走った。香織と沙織の間に割って入る。
「詩織は… 美人で頭が良くてスポーツ万能で優しくて格好いい香織おねーちゃんも… 口が悪くて乱暴で無責任で露出狂で意地悪な沙織おねーちゃんも、二人とも大好き。だから… もうケンカはやめて。」
「詩織…」
「詩織… お前、それ、言い過ぎだぞ…」
広場に沈黙が流れた。
だが、その沈黙は沙織の高笑いでかき消される。
「あ〜はっはっはっはっ! 香織、今日のところはこれで勘弁してやるよ。」
「沙織お姉さま… 一体何が言いたいの?」
呆れた香織が静かに聞いた。
「あばよ、また来るぜ!そこの三人にも宜しくな。行くぜ、詩織。」
「う、うん…」
颯爽ときびすを返しエスティマに向かう沙織の後を、詩織は慌てて追った。
ふと立ち止まり、ポケットから何かを取り出して香織に向けて投げる。
「香織おねーちゃぁ〜ん!」
香織は飛来して来る小さなマスコットを空中でキャッチした。
詩織は倫子と姫子に向けてぺこりと頭を下げ、たたたっとエスティマに向かう。
香織の掌に収まっているそれは、小さなクマのキーホルダーだった。
裏返してみると、底の部分に小さくアルファベットの羅列が見える。
それは詩織のメールアドレスだった。
「詩織…」
香織はその小さなキーホルダーを両手で包み込み、そっと頬に当てた。
「沙織お姉さま… 詩織… 今度はゆっくり会おうね。」
小さく呟く。
「重たいなぁ… こいつ…」
どさりと地面に何かを落とす音。
地面に横たえた拓也の側で肩を揉んでいる姫子。
こきこきと首の骨が鳴り、髪に刺した小枝がぴんぴんと揺れる。
香織は、倫子と姫子に歩み寄る。
「あなた達をとんでもない事に巻き込んでしまったようね… 謝るわ。」
詫びる香織の肩をぱんぱんと姫子が叩く。
「気にする事ないよ〜。あれ、おねーさんといもおと?きれーな人だったねぇ。」
「そうね。あなたが教えてくれなきゃ、今頃どうなっていた事か…」
倫子はそっと笑顔で答えた。
「ごめんなさい。身内の争いだったの… あなたには、この前も助けられたのにね。」
香織は姫子の目を見つめる。真っ直ぐな心が見えそうな澄んだ瞳だった。
「ああ、あれね。よくある事だから。」
「いつもあんな事してるの?」
「とっきどきだよ。あたし、正義の味方だから♪」
「どうして? あなたは何故そこまで… それ程の腕は何の為?」
姫子は不意にうつむいた。小さく呟くように言う。
「力が欲しい。そう思ったの… 正しい事を行える力。困っている人を助ける事ができる力。」
「その力は、きっと誰かを傷つけることにもなるのよ。」
「分かっている。だけど、それが正しい道なら… あたしの信じる道なら…」
「……」
「あたしは… あたしは、みんなの笑顔を見ていたいから… もう、誰の涙も見たくないから! 泣くのは… 泣くのはあたし一人でたくさんだから!」
「…そう… ごめんなさい。聞かなくてもいい事まで聞いてしまったみたいね。」
「気にすることないよ〜。だから誰よりも強いんだ。倫子よりもね〜。」
「へんだ!おととい来やがれってんだ!」
姫子の挑発に倫子が乗る。
香織は二人を見比べてくすりと笑った。
「さー!終わった、終わった!打ち上げと行きましょうか!」
姫子は両手を挙げて万歳のポーズをする。
「ひーこ、今日はケーキバイキングがあるんだよ」
「よぉしゃ!決まりィ!」
姫子は倫子と香織の腕を掴み、ぐいっと引っぱる。
倫子は目線を地面に落として言う。
「あ、拓也は…」
「放っときゃそのうち目が覚めるよ。いっくよ〜!」
二人の腕を引っぱる姫子の髪に刺した小枝が大きく揺れる。
腕を引っぱられながら、倫子と香織は目を合わせて小さく笑った。
次回、溜飲編へ続く
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