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あとがき
力とは何か?
正義とは何か?
ライバルとは何か?
親友とは何か?
それが今回のテーマである。
今となっては流行らない要素。
否定するのは簡単だ。時代錯誤だの臭いだのと、言ってしまえばそれで終わる。
だが、思い出して貰いたい。
漫画雑誌やテレビ番組で見た熱い心を。
現実の周囲とオーバーラップさせて、ヒーローに近づこうとした無邪気な心を。
現実に負けた時、いや、自らが崩壊したときに、そんな夢物語が現実ではあり得ない事を知り、嘆く。
人はこうしてひねくれて行くのだね。
それは心を閉ざしているだけで、強さではない。
そんな心にもうヒーローは存在しない。
僕はこの「こちら、桐生探偵事務所。」の中で、純粋な悪を描いているつもりだ。
悪こそ人間の本質だと考えている。
シリーズを通して読んで頂いている、察しのいい読者の方はお気づきであると思う。
それは、キャラクター達の持つ悪が昇華されてゆく過程。
それがこの「桐生」のテーマでもある。
所詮は善も悪も無いのだ。
正義とは大義名分に過ぎない。
だが、卑劣な行為に対する怒りや、力の及ばない悪徳に遭遇した時。
人はヒーローの出現を願う。
スカッとしたいのだね。
僕も例に漏れず、そうである。
だから、ほんのひとときでもいい。そんなスカッとする瞬間を提供出来たなら、これに勝る喜びは無い。
また、前述の心にヒーローが持てない人間に「桐生」を読む資格は無いし、理解を求めてはいない。
読者の皆様には、笑いながらスカッとして貰い、その中で何か力になるものを得て頂ければ幸いである。
思い起こせば、この「桐生」シリーズであとがきを書いたのは、丁度二年前のゴールデンウイーク、第二部を書き上げた後であった。
この「桐生」が始まってから、既に二年以上が経過しているのだ。
長いようで短い間を、僕はこのシリーズの主人公・桐生拓也と一緒に走り抜けて来たのだなと…
幸いにしてこの「桐生」シリーズは、『キャラクターは歳を取らない』という不滅の黄金パターンに属している為、僕の心に潜む『少年』は永遠に暴れまくっていられる訳だ。
力とは何か?
正義とは何か?
ライバルとは何か?
親友とは何か?
今回、このテーマを方向付けたもう一つの理由に、ある方から数々の設定やネタを頂いた事に端を発していると言っても過言ではない。
更には、キャラクターまで拝借させて頂いている。
この我が生涯の強敵(とも)である財油雷矢氏に、心から感謝を申し上げたい。
2002年5月
Club30-06
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