三重県の方から三重の教育事情に関する報告が次々と届いています。いま三重がどういう状態にあるのか詳しくわかりますので、ぜひ御一読を。
少し長いですが、後半で事態は急展開します。
絶対に面白い
ですから、最後までぜひ読んでください。



最新の記事(7,9)


参考「福岡県の教育問題」
鈴鹿国際大学 久保教授解任問題


教職員の勤務問題
公立658校で評定オールB
県教委報告 組合役員「授業4時間」も
 
県の公立学校の教職員が勤務時間中に県教職員組合(三教組)の活動をしている問題で県教委は二十四日、勤務評定の詳しい実態や三教組役員の受け持ち授業時間数、文部省からの指導内容などを県議会行政改革調査特別委員会で、改めて明らかにした。
 
六百六校の小中学校はすべてオールB評価。七十七校の県立高校・盲聾養護学校のうち五十二校がオールB評価になっていた。
 県教委調べでは、三教組には二十六支部あり、約一万三千六百人前後が加盟。うち二百二十二人が支部長から執行委員の役員になっており、一週間の受け持ち授業時間は、少ない教師で四時間、半数近くの百五人が、十時間未満しか授業を受け持っていなかった。
 全国平均は小学校二十二時間▽中学校十六時間▽ 高校十五時間だった。
夏休み期間中に授業の補てんや進学のための補習授業をしている学校は計六百八十七校のうち百三十五校あった。六十四高校のうち勤務時間中に補習授業をしているのは半数の三十二校で、勤務時間外も三十二校。うち二十四校が金銭を徴収していた。
 このうち十八校で“お礼授業”として教師に講師料、講師謝礼を支払っており、五千円から一万五千円前後が支払われていた。
 県内小学校の八四・五%で使用されている夏休みの宿題教材「夏休みの友」は、「有限会社三重県学校厚生会」の発行になっており、公立の「三重県学校厚生会」と事務所を同じ場所にし、電話やファックスも共同使用しているのは好ましくない―として、今後見直すとした。
県教委と文部省のやりとりは平成十一年十一月四日から頻繁になり、同日、文部省地方課から、月刊誌「正論」に掲載された三教組問題に関する事実関係と勤務評定の実態報告が求められ、県教委が報告。その後、年末までに計五回、文部省に出向き、県教委が状況を報告。国旗、国家に関する指導などを受けた。
 二月二十八日からは会計検査院も県教委の検査に入ることも報告された。
昭和五十二年から平成十二年度までに支払われた主任手当二十億二千百四十四万円の使途について、県教委が三教組に聞いたが、返答はなかったという。
同委員会では委員から「有限会社学校厚生会などの兼職は法的に問題はないのか」「選挙運動や、反日の丸集会などは、地方公務員法などに抵触しないのか」「県立学校などには三教組専用の電話が県費でもうけられている疑いがある」などの指摘があり、中林正彦教育長が検討すると答えた。 
 
 
平成十二年一月二十五日付け伊勢新聞
 
勤務中の組合活動問題
責任現場の教師にも
三教組の問題指摘次々
 
教職員の勤務時間中の組合活動について実態調査を進めている県教委の中林教育長は、二十四日の県議会行政改革調査特別委員会で、実態調査の結果、勤務中の組合活動が給与(公費)の不正支出とされた場合「責任は関係する皆にある」と述べ、指導監督する立場にある県教委や学校幹部だけでなく、現場の教師にも責任が及ぶ考えを示した。
 質疑の中で、三好孝委員(県民連合)が勤務時間中の組合活動は黙認してきた県教委に半分は責任があるとして現場の教師への配慮を促したのに対し、中林教育長は「黙認はあったが、責任は関係する皆にある」と発言。傍聴の共産党議員の同様の質問に対しても、教育長は「学校の現場の先生に責任がないということはない」と答弁し、勤務中の組合活動が給与の不正支出と認められた場合には現場教師にも責任が及ぶ考えを示した。
 
会計検査院が来月調査予定
教育長はまた、二月二十八日から一週間、国の会計検査院が県教委に入る予定だと明かした。調査内容は不明だが、勤務時間中の組合活動が公費の不正支出に当たるかどうかが焦点になるとみられている。
また日の丸・君が代反対団体の結成集会の連絡先に、県立学校の電話が使われていたとの指摘が委員からあり、中林正彦教育長は「実態を調べる」と話し、調査したうえで適正な処置を行う考えを示した。
 一方、県教委は、県教委と県教職員組合(三教組)が人事異動の内示後に職員からの苦情について話し合いしていたことなどを「『是正すべき慣行』の実態」として明示したほか、小中学校での勤務評定や三教組役員の授業時間数などの実態を報告した。
報告は前回委員会(十二月十七日)で委員から請求があった内容をまとめた。このうち、三教組が組合員から拠出させている「主任手当」については、昭和五十二年度から平成十年度までの主任手当支給額累計が約二十億二千百万円に上るとするにとどまり、三教組への拠出額と使途は「不明」と報告した。
使途不明なのは、県教委が三教組に回答を求めたが、拒否されたためという。
 
学校が日の丸反対集会の窓口に
【国旗国歌反対団体結成集会】

芝博一委員(県政会)は、昨年十二月号の日の丸・君が代の強制に反対するネットワークの結成集会の案内チラシを掲示し、連絡先が北勢地方の高校内の電話番号になっていると指摘。「こういう(日の丸、君が代の反対)趣旨のものに公の高校の電話番号を使用しているのは、明らかに違反だ」と述べ、学校の備品管理を見直すとともに、関係教員らの処分を求めた。
中林教育長は「実態は知らなかった。調査したい」とし、調査結果に基づき適正に処置する考えを示した。また日の丸、君が代については「個人の思想・信条の自由はあるが、教職員の立場では別だ。当然、学習指導要領の趣旨に基づき、実施されるものと考える」と学校現場での適正な実施を改めて強調した。
【主任手当の実態】
中林教育長は支給開始年度の昭和五十二年度から平成十年度までの主任手当の支給状況を報告。二十二年間の累計額は二十億二千百四十四万円だとした。組合員が県教職員労働組合(三教組)に渡していたとされる同手当の拠出額や使途のついては、三教組に口頭で求めたが、返答はなかったとした。
主任手当は特殊勤務手当の教育業務連絡手当として昭和五十二年度の新設。「管理強化に当たる」などとし、三教組では平成九年度まで、組合員に同手当の拠出を求めていた。前回の行革調査特別委で芝議員が指摘し、過去の拠出実態の調査を要求していた。
人事異動への介入廃止を
【是正すべき慣行】
是正内容は、人事異動では内示後に、職員から苦情があった場合、県教委と組合との間で話し合いが行われていたが、今後、内示後の組合との話し合いは廃止する▽勤務評定を適正に行うとともに、非開示を徹底する▽勤務時間内の組合活動を是正し、管理を徹底する▽これまでの職場の選挙・推薦で選出されてきた主任を、校長の判断で命ずるよう徹底する▽職員会議は最高意志決定機関でなく、校長の補助機関として位置づける―の四点。
内示後の話し合いについては、西塚宗郎委員(県民連合)は「百%廃止しないでほしい」と述べ、職員の苦情に対する一定の配慮を求めた。
【学校厚生会】
浜田耕司委員(自民)は、教職員の福利厚生を図る非営利団体「県学校厚生会」と、教職員OBなどでつくる学校用品や保険、旅行販売などを行う営利団体「有限会社県学校厚生会」が共同で事務所を開設しているとし、是正するよう指摘。中林教育長は「改善を図りたい」と述べ、事務所を別々にするよう指導していくとした。
【教職員の政治活動】
浜田議員は学校内に選挙ポスターを張ったり、学校から選挙関係の電話をかけたりと、教職員が選挙活動を行っているとし、実態解明を求めた。
中林教育長は「どのような行為を行っているのか、法に照らし合わせて調査したい」と述べた。
【勤務評定の実態】
中林教育長は勤務評定オールB化の実態調査の結果、昨年九月現在の評定では小中学校で百%、高校で六七・二%がオールBとなっていたと報告。
改善の結果、同十二月の評定では小中高校でA評定が一九・五%だったとし、「実態に即した勤務評定になっている」と述べた。
 
記者席(コラム)
法に弱い?
○…県議会行革調査特別委員で、付せんだらけの法規集を片手に、浜田委員が教育問題を追求。
教職員が企業や団体の役員になってもいいのか、などと質問して「ちょっと待ってね、規定があるんです」と、ぱらぱらめくられるたびに教職員らがあたふた。
○…「法を確かめたわけではないが…」などとい言おうものなら、すかさず「資料ありますよ」の追撃がくる。中林教育長も「実態は調べます」と防戦一方。
事務当局が、法解釈でおされっぱなしではしかたない。

                                     
 平成十二年二月十一日付け(建国記念日)産経新聞
勤務中の組合活動減る
県会常任委 幹部220人の調査報告

 
県の公立学校教職員の勤務時間中の県教職員組合(三教組)活動問題などを審議する県議会教育警察常任委員会が十日開かれ、県内の幹部組合員約二百二十人が、現在は勤務時間内の組合活動は控え、教育に専念していることが報告され、中村正昭次長は「教育も充実してくると思われる」と話した。
このほか田中覚委員(県政会)や山本教和委員(自民)が校長経験者の県教委幹部に“校長時代に組合活動をどうみていたか”をたずね、三年間、学校長をしていた中村次長は「組合活動の実態は気になっていたが、黙認。」今は教育活動と組合活動は正しく仕分けすべきだったと反省している」と述べた。四年間、校長をしていた星野茂学校教育課長は「現場の先生方はまじめな人が多く、熱心に教育されいるのをみると、二十年、三十年の長い労使慣行も(仕方がないと)妥協して、あるべき姿から逸脱していた。今後は県民の信頼回復に努めたい」とした。四年間小学校長をしていた後藤誠光教職員課長も「組合活動は気になって、どうもおかしいと思っていたが、どうもできなかった。いつか改めさせなければと常々思っていた」と語った。
勤務評定のオールB問題で溝口昭三委員(自民)は「東京都のように新しい評価基準を導入すべき」と迫ったが、中林正彦教育長は「知事部局で検討中の新評価制度をみながら考えていきたい」とした。
前田剛志委員(県政会)は勤務実態調査結果はいつになったらまとめるのかとただしたが、中林教育長は「今月中旬までにまとめたい」とだけ述べた。
三教組三泗支部のホームページでさまざまな人が一方的な論調で名指しで非難されていることについて森川義久委員(自民)は「県教委も、(正確な県議会での)改革論議を広報するなどして対応すべき」としたほか、傍聴の芝博一県議(県政会)も「県教委は代表者会議の改革論議などを、現場の学校にすぐ伝わるように努力して校長先生の孤立化を防ぐべき」と訴えていた。
 
平成十二年二月十一日付け(建国記念日)伊勢新聞
県議会教育警察常任委
勤務評定見直し検討
中林教育長 教委から擁護発言も
同和問題 オンザ・テーブルで

県議会教育警察常任委員会(西塚宗郎委員長)は十日開き、所管事項を審議した。この中で中林正彦県教育長は、教職員の勤務評定が形骸(がい)化している実態について「誠に遺憾だ」と述べ、評定制度の見直しを進めていく考えを示した。県立松阪商業高校の教員の差別発言者めぐり、関係団体による糾弾会があったことについては「同和問題をタブー視することなく、議論していきたい」と述べた。
【勤評問題】
 県教委の調査で、公立学校の教職員の勤務評定がほとんど同じだった「勤評オールB」問題で、溝口昭三委員(自民)が質問したのに対し、中林教育長は「誠に遺憾だ」としたうえで、「時代に合った、教師の能力を高める評定制度を検討していきたい」と語った。
 浜田耕司委員(自民)が評定制度の具体的な改善内容を聞いたのに対し、教育長は「児童生徒の指導などサービス向上のため、人事考課を期末手当などに反映させるよう検討していきたい」とした。
【勤務中の組合活動】
 教職員の勤務時間中の組合活動に関し、県教委が過去三年にさかのぼり、実態調査を進めている中、浜田委員は「対象期間を三年にした理由」をただした。
これに対し、中林教育長は「正式な記録が残っていないため、裏付けとなる資料がそろいうる期間や、記憶をたどることなどを考慮した」と答えた。
 県教職員組合出身の藤田泰樹委員(県民連合)は、教員が子供の事情で夜間に家庭訪問をしたり、勤務時間外にクラブ活動の指導をしていることを挙げ、時間外勤務についても調査すべきだと指摘。
 中林教育長は「(今回の調査は)勤務時間内の勤務実態を把握するのが目的で、時間外については調べる考えはない」と再調査する可能性を否定した。
 田中覚委員(県政会)は中村正昭教育次長に校長当時の感想を求めた。
同次長は「教育活動は勤務時間にがんじ絡めにされず、ある程度幅を持ったもの。勤務時間中に自由に教育について考え、研修することも必要と考え、組合運動を黙認してきたのも確か」とした上で、「教員とも話したが、組合活動は純然たる組合活動だけでなく、教育活動も多い。(実態調査では)教育活動と組合活動を仕分けしていかなければならないと発言。勤務時間中の組合活動を一部擁護した。
田中俊行委員(県政会)が勤務時間内の組合活動の児童生徒への影響について尋ねたのに対し、同次長は、組合役員が組合活動で不在の場合「ほかの先生が担当しており、学校運営全体の中では子供に影響はなかった」と説明。これに対し、委員らは「ほかの先生で担当できるなら、その先生は要らない。同じ先生が授業をしていれば、行き届いた教育ができるはず」と批判。同次長の教育改革への姿勢に疑問の声が上がった。
県教委によると、「勤務中の教職員の組合活動は昨年十一月以降、行われていないという。
【同和問題】
県立松阪商業高校教員の差別発言をめぐり、関係団体が糾弾学習会を開いたことについて、浜田委員は国の自治体への通知に差別事件の処理について記述があると指摘。
通知内容の周知を職員に徹底するよう県教委に求めた。
これに対し中林教育長は「指摘の通り、同和問題をタブー視することなく、(水面下ではなく)オン・ザ・テーブルで議論していきたい。知事部局に来ている文書のため、話を聞きながら対応していきたい」と述べた。


2,11

三重県の教育問題を取り上げた新聞記事を送信したところ、多くの方からお便りをいただきました。
この記事は新田先生が「祖国と青年」に寄稿した論文です、新聞記事とあわせてお読みいただければ幸いです。
 
三重の教育正常化運動はいま(上)
 日教組王国・三重県に教育は蘇るか。
                  皇學館大學助教授 新田 均

 『日本の息吹』平成十二年一月号の新春特別対談において、小堀桂一郎先生が「三重県における日教組との戦いというのは非常に重要だと想いますとと発言されている。この記事を目にした読者も多いことと思う。それでは、どうして、三重県の教育正常化運動がここまで注目されるようになったのか。そして、今、何が起ころうとしているのか。その経緯と現状をレポートしてほしいと、『祖国と青年』編集部から依頼があった。そこで、以下、私が知り得た範囲内で、三重県の教育正常化運動の展開を報告することにした。
 
 教育正常化運動の発端
 
 三重県教育界の異常さが明らかになったのは、『正論』平成十一年七月号(六月一日発売)誌上の「全国高校教育偏向度マップ」においてであった。それによれば、日教組組織率全国ナンバーワンの三重県は、入学式における国旗の掲揚・国歌の斉唱が全国でも最低のレベルであることはもちろん、いじめ発生率・暴力行為発生率ともに全国第二位であることが判明した。
この記事を読んだ皇學館大學助教授・松浦光修氏は、自らの大学が存在し、しかも多数の教員を送り出してきた三重県の惨状に非常なショックを受けた。そこで、とにかく、この現状を多くの人々に知らせなければならないという考えから、『神社新報』(平成十一年六月二八日)に「無惨やな神の御もとの教育界」なる一文を寄稿した。
 この呼びかけに応えたのが、三重県立公立中学校の現役教員である渡遽毅氏だった。渡遽氏は、『正論』平成十一年十月号(九月一日発売)に「私の日教組打倒論 − 教員を目指す若い人たちへ」と題する論文を実名で寄稿し、次のような事実を公にした。
 @一般に、三重県は日教組加入率が八〇%以上で全国一位と言われているが、実質は一〇〇%に近い日教組の専制支配下にある。
 A その三重県教職員組合(以下、「三教組」と略す)の組合員数は約一万一千五百人、一人あたり年平均約十一万円の組合費が給料から″搾取″されるので、三教組だけで、年間約十二億六千万円という巨額の活動資金が捻出されている。
 B 平成十四年から施行される小中学校の学習指導要領の「総合的学習の時間」は、日教組のすすめる反日・自虐教育に利用される可能性が高い。
 C 三重県の教職員の勤務評定は、形骸化され、ABC評価の無差別オールBで、しかも本人に開示されている。
 渡遽氏のこの行動は、三教組の専制支配下(後に、その組織率は、正確には九八%であることが判明している)にある現役教員としては、非常なる勇気を必要とするものであった。三重県にもこのような気概ある教員がおり、必死の告発を行っている。このことを心ある人々に知らせなければならい。そう考えた私は、『神社新報』(平成十一年九月六日)の主張欄において、渡邊氏支援を全国の神社人に呼びかけた。
 さらに、松浦氏は、渡邊論文を基礎に独自の調査をすすめ、三教組の実態をさらに深くえぐり出した衝撃的な論文「広島よりひどい″日教組王国々の惨状”」を『正論』平成十一年十二月号(十一月一日発売)に発表した。その内容を簡単に要約すれば、次のようなものである。
 @ 現場教員の証言を基に、渡邊論文で指摘された「オー ルB・開示」の生々しい様子が明らかにされた − これは、公務員の職業倫理の崩壊である。
 A 三重県内の公立学校では、各地域の学校の「持ち回り」や「推薦」で三教組の「執行委員」が選出されるが、選出された委員は、年度当初から午前中の授業しか組まれない。「執行委員」は、基本的には午後は、その地域の組合支部で、三教組関係の仕事に忙殺されている。つまり組合活動が、学校の授業計画よりも優先される「不正出張」が全県下の公立学校で行われている事実を指摘した − これは、地方公務員法第三五条の「職務専念義務」違反である。
B 三重県下のある中学校では、「人権学習」の時間に、近代における日本と朝鮮との関係を題材として、「日本人に内在する残虐性」を生徒に印象づけるために、「細かい歴史的事実の相関関係よりも、日本が自国の利益のためにアジア、とりわけ朝鮮の人々に甚大な犠牲を強いたその身勝手さ、酷さが伝わればよい」という趣旨の授業が、実際に行われている事実を明らかにした ー これは、法的拘束力をもつとされている「学習指導要領」違反である。
 
 次々に結成された市民団体
 
 三教組支配下の三重県教育の惨状が次々に明るみに出されるにつれて、心ある市民が立ち上がり、教育正常化を目指す団体が次第に結成されていった。まず、「日本会議三重」
が平成十一年八月四日に結成された。この設立総会は皇學館大學の記念講堂を会場とし、約二百人の人々を集めて行われた。来賓として祝辞を述べた西宮一民皇學館大學長は「日本会議の趣旨は皇學館大學の建学の精神と同じである」と述べて、満場の拍手をあびた(なお、引き続いて行われた「天皇陛下御在位十年奉祝式典」には七〇〇名の市民が参加した)。
 続いて、十月三日に、「新しい歴史教科書をつくる会」三重県支部が、日本会議顧問・皇學館大学前理事長の櫻井勝之進氏を支部長として結成された。この成立総会は、津市でおこなわれたが、当日は一七〇人の市民が集まり、この中には多くの教員が含まれていた。
 さらに、山野世志満氏(三七)を代表とする「三重の教育を正す会」が設立され、県や市町村の情報公開条例に基づいて、「不正出張」の実態を解明する活動が開始された。
この活動によって、津市、伊勢市、紀伊長島町、四日市市の高校や小中学校の時間割が開示され、勤務時間中の不正な組合活動の実態が白日の下にさらされることになった。
 
 新聞報道の開始
 
 『正論』十二月号掲載の松浦論文が出た頃から、新聞各紙も三重の動きに注目するようになってきた。まず、十月三十一日に『産経新聞』(大阪版)が、「オールB・開示」の問題を一面トップで報道し、つづいて十一月四日に主張欄で「三重の教育・先生の“悪平等″を改めよ」と主張した。これを皮切りに、『産経新聞』は、社会面や三重版で、教育正常化の動きを次々に報道するようになった。また、県庁所在地である津市を中心に約七万部発行されている『三重タイムズ』という『中日新聞』の折り込み新聞は、松浦氏や鈴鹿国際大学教授の久保憲一氏の歴史教育に関するインタビュー記事を掲載する一方、十二月三日には、独自の取材に基づいて、不正な組合活動の実態を報ずるようになった。さらに、教育問題が県議会でとりあげられようになると、『中日新聞』『読売新聞』も三重版で報ずるようになった。
 
 県議会に波及した教育正常化の波
 
 平成十一年十一月下旬になると、教育正常化の波は三重県議会にも波及し、大きなうねりとなっていった。
 まず十一月十九日に、県議会行政改革調査特別委員会で、「オールB・開示」の問題が取り上げられた。浜田耕司委員(自民・伊勢市選出)が「勤務評定で無差別にオールBにしているというが、本当か」と質したのに対し、中林正彦県教育長は「すべての学校ではないが、早急に是正措置を取りたい」と答えたのである。さらに、十一月二十二日には、中林県教育長は、県議会予算特別委員会において、共産党県議の質問に答えて、「長年の労使の慣行として、勤務時間内の組合活動があったようだが、ただすべきはただすとして通達する」と明言した。そして、その言葉通り、十一月二十四日に県立学校長・各教育事務所長・市町村等教育委員会教育長に対して、次のような通知が出された。  
  
 
  勤務評定の適正化と教職員の服務規律の確保について
                (通知)
 このことについては、かねてから注意を喚起しているところですが、学校職員の勤務成績の評定及び勤務時間における職務専念義務について不適切な実態があるとの指摘があります。学校に対する県民の関心がますます高まるなか、かかる実態が過去からの慣行によ
り行われている場合には、早急に是正を図り、県民の期待に応える必要があります。貴職におかれては、下記事項により、勤務評定の適正化と教職員の服務規律の確保を図られよう通知します。なお、市町村等教育委員会にあっては、このことについて貴管内各学校長にその趣旨の徴底を図られるよう願います。
 

                  記
1.勤務評定の実施にあたっては「三重県市町村立学校職員の勤務成績の評定に関する規則」「三重県立学校職員の評定に関する規則」に則り、適正に行うこと。
2.職員は、勤務時間中は職務に専念しなければならないものであること。なお、勤務につかない場合には、事前に適切な手続きをとること。
 
 会計検査院への働きかけ
 
 県議会の動きに注目しつつ、松浦氏と私は、多くの仲間とともに、次々に寄せられよううになった投書を基に独自の調査活動を継続した。そして、勤務時間中の組合活動は、実は膨大な額にのぽる 「税金の不正支出」 ではないのか、と考えよううになっていった。その考えを要約すると次のようだ。
 三重県において、組合の執行部・執行委員は、ほぼ 「毎日、午後」不正な組合活動を繰り返している。つまり、彼らが職務に専念しているのは勤務時間の半分だけということになる。したがって、年俸の半分は不正に取得していることになる。年俸の平均を仮に六〇〇万円とすれば、一人当たり、毎年三〇〇万円の不正給与を受け取っているというわけだ。ところで、三重県には、二十六の組合支部があり、一支部あたり、約一〇名、つまりニ六〇名ほどの教員が、組合執行部・執行委員となっている。したがって、不正支出の総額は、三〇〇×二六〇で、約八億円にものぼることになる。しかも、勤務時間中の組合活動は、執行部・執行委員の活動に限らない。一般の教員も「青年部」「婦人部」等々の活動を勤務時間中に行い、これを各学校長は校長権限で許可している。このような事例を合算していくと、軽く一〇億円を超えてしまうかもしれない。しかも、これはわずか一年間の額である。
 このような試算に基づいて、私たちは、この事実を会計検査院渉外広報室に文書で知らせ、調査を依頼した。各県の公立学校の経費の約半分は国費であり、それについては
会計監査院の管轄事項であるからである。果たして市民の問いかけに応えて会計検査院は動くのか。今後の展開が大いに注目される。
 さらに、私たちは、金の不正は時間の不正ということになるのではないかとい一見方もするようになった。つまり、本来教育に充てられるべき膨大な時間が失われ、生徒の「教
育を受ける権利」が重大な侵害を受けている可能性があるのである。教師が大会、青年部、婦人部、友好団体の活動に動員されている間、生徒たちはどうしているのだろうか。三重県では、学校をサボっているようには見えない生徒たちが、昼間、町をぶらついているのが目につく。さらに、驚いたことに、上野市・鈴鹿市・四日市市の小中学校では、教員の研修というような名目で、毎週水曜日が半日授業となっているようだ。
 
 「日本会議三重」による要望書の提出
 
 私たちのグループの研究成果は、「日本会議三重」の中林県教育長に対する要望書という形で生かされることにもなった。それは、次のようなものである。
 
               要 望 書
 私どもは、誇りある豊かな国づくりをめざす「日本会議」の綱領および運動方針に則って、三重県において、本年八月四日に設立された団体であります。日本会議の綱領とは、
一、我々は、悠久なる日本の歴史に育まれた伝統と文化を継承し、健全なる国民精神の興隆を期す。
ニ、我々は、国の栄光と自主独立を保持し、国民各自がその所を得る豊かで秩序ある社会の建設をめざす。
三、我々は、人と自然の調和をはかり、相互の文化を尊重する共生共栄の世界の実現に寄与する。この三点であります。この綱領の趣旨に則って、日本会議三重の活動基本方針には「教育問題に関する国民運動」が掲げられております。この方針に沿って、左の四項目を要望いたします。
一、三重県下の公立学校の教職員が不正な組合活動を行っていることは、すでにマスコミなどで報じられ、県議会でも取り上げられ、教育長衝自身がその事実を認められたところであります。そして、その是正のための通知を出されました。しかしながら、不正な組合
活動を行っていた教職員に対する通常の給与の支出は、公金の不正支出にあたると考えられます。そこで、行政の統一性という観点からしても、広島県におけると同様に、勤務時間中の不正な組合活動を自己申告させて、その実態を明らかにし、不正行為を行った教職員を法規に照らして厳正に処分し、不当に得ていた給与については全額返還させること。これ以外にも不正な公金の支出が行われていないかを調査し、厳正に対処することを要望いたします。
二、公務時間中における不正な組合活動は、各公立学校の授業時間数を大幅に減少させているのではないかと思われます。そこで、各公立学校の実際の年間授業時間数を調査し、著しく不足している学校については指導を行うことを要望いたします。
三、国旗・国歌が法制化された以上、国民の遵法精神を挙っべき公立学校は、この法規を遵守し、入学式・卒業式などにおいて、国旗の掲揚、国歌の斉唱を誠実に実行する義務があるものと考えます。そこで、各学校における国旗の掲揚、国歌の斉唱の実態を県民に公表すること。また、『学習指導要領』に基づいて、国旗・国歌に関する教育の具体的内容を明確にし、各公立学校に徹底させ、これに従わない場合には厳正に対処することを要望いたします。
四、国民としての自覚と誇りを養うことは、義務教育ならびに公立学校の重要な任務であります。この点から見て、人権教育に名を借りた反日自虐教育が行われないようにしっかり各学校を監督すること。また、総合学習の時間が特定の思想に偏らないように、しっかりと監督することを要望いたします。
 公立学校の教職員は「公務員」であります。しかも、次代を担う子どもたちの遵法精神を養い、公共の秩序を維持するという重大な使命を有する人々であります。このような人々が不正な公金の支出を当然のこととし、法的拘束力を有する『学習指導要領』を踏みにじるうでは、社会秩序は崩壊してしまいます。この点を厳粛に受けとめられ、右に掲げた私どもの要望を実現していただきたいと存じます。
   日本会議三重
 平成十一年十二月六日
三重県教育長 中 林 正 彦 殿
 この要望書は、佐野方比古・日本会議三重運営委員長らによって中林教育長に手渡された。中林教育長は、佐野氏らに対して、県教委として誠実に対応していくと述べたという。
 

 
国会議員への陳情
 
 十二月九日、佐野方比古・運営委員長を団長とする日本会議三重のメンバーが国会議員に対する陳情を行った。この陳情の成果は、三点あったという。第一は、すでに文部省が三重県に関心を示し、三重県教委の関係者を本省によんで事情を聞く予定になっていることが明らかになったことである。この文部省の事情聴取に応えるのが目的であったと思われるが、日本会議三重が陳情を行った当日、三重県では、県教委教職員課長が、十八人の県教委関係者・地教委教育長・学校長らを召集して、「学校管理に関する代表者会議」を開催していた。その議題は「学校管理に関する諸課題について(勤務時間に関する実態調査)」というものであり、「教職員が勤務時間内に職員団体のための活動を行った状況について、現状と今後の課題について、意見交換がおこなわれた」。そして、「調査内容は、勤務時間内の職員団体のための活動について行う。調査時期及び方法については、県教育委員会で検討する。小中学校長及び県立学校長を召集し、説明会を開催する」という三点が確認されている。
 陳情成果の第二は、勤務時間内に組合活動を行っていた教員に対する通常の給与の支出状、十分に会計監査院の監査の対象となりえると、高市早苗衆議院議員からお墨付きをいただいたことである。そして、高市議員は、行政に関する国民の苦情を処理する「衆議院決算行政監視委員会」なる機関が存在することを教えて下さった(この情報に基づいて、早速、複数の市民が教員の不正給与に対する苦情を申し立てた)。
 第三は、「三重県の教育を正常化しようとすれば、三重県選出の自民党国会議員の中には、協力してくれない人物もいるであろう。何故なら、三教組の票をもらっている自民
党議員もいるからだーという指摘を複数の国会議員から受けたことである。この指摘は、日本会議三重のメンバーにとって、まったく「晴天の霹靂」であったという。しかし、それがかえって、「今後どのような事態が起ころうとも、教育正常化への歩みはやめない」という決意を固めさせることにもなったというのはたのもしい。
 
 私たちのグループの活動
 松浦氏や私の言論活動が注目されようになると、私たちが所属する皇撃館大學に対して、新田・松浦の活動をそのままにしておくと学生募集・教育実習・教員採用その他の就職に影響するぞ、といった圧力めいた投書などが寄せられるようになった。県議会への波及からここまでの状況を『正論』平成十二年二月号(平成十一年十二月二十四日発売)でレポートしたところ、私たちのところに「先生たちを支援します」という数多くの投書が送られてきた。そのような投書は、我が大学の当局者にも送られてきているらしい。ただただ「ありがとうございます」と、この場を借りてお礼を申し上げたい。
 十二月十日、松浦氏と私は、依頼によって、若手の三重県議会議員でつくる超党派の研究会「波動21」幹事長は、員弁郡選出の水谷俊郎・自民党県議)で、教育問題に関する講演を行った。この講演では、まず、松浦氏が現行中学校の歴史教科書が如何に偏っているか、三重県下で如何にひどい偏向教育が行われているか、などの諸問題を指摘するとともに、地方公務員法を引用して、自らの論文で取り上げた「教員の不正出張」が如何に許しがたいものであるかを説明した。そして、西欧における議会の歴史に言及して、「税金のチェック」こそ議員本来の仕事であることを強調した。つぎに私が、自分たちの言論活動が、実は多くの県民からの投書に依拠していることを実例を挙げて説明し、教員を含めた三重県民の間に、三教組に対する「噴憑の気」が満ち満ちている現状を紹介した。部分的に三教組の横暴を知っている議員は少なくなかったが、「これほどまでとは」という感想があちこちで囁かれ、水谷県議は「このままでは昨年度の決算は認定できないな」とつぶやいた。このつぶやきは、後に現実となって、三重県の教育界を揺るがすことになった。
 
 津市議会での議論と圧力
 
 十二月十三日、田矢修介・津市議(ニ七)が市議会の一般質問において、国旗の掲揚・国歌の斉唱の誠実な実施を求めるとともに、教員給与の不正支出問題を追及した。田矢市議の活躍に関連して、注目すべき出来事が二つあった。一つは、田矢市議に対して、他の会派の市議から、予め質問内容を問いただす圧力に近い電話があったという事実である。議会内における議員の発言を保障することは議会政治の基本中の基本である。それを踏みにじろうとする者がいる。それも議員の中にいる、とは全く信じられない。ところが、これは世間知らずの学者の考えで、ある地方議員にこの話を聞いたところ、「私もそのような圧力をよく受けました」と平然と答えた。この国の議会政治は、どこかで大きな狂いを生じているようだ。それはともかく、そのような圧力にもめげず、田矢市議の質問は問題の核心をつく、まさに諷爽たる若武者ぶりであったという。日本の未来は、このような若い議員たちの肩にかかっていると実感した、とはこの質問を傍聴した人の言葉である。
 今ひとつは、田矢議員の質問に関連して、同じ会派の議員が「津市立三重短期大学では国旗・国歌の問題はどうなっているのか」と質したのに対して、三重短大の学長が「こ
れまではやっておりません。これからもやるつもりはありません」と平然と答弁して、田矢議員所属の会派[県都クラブ]の議員たちを激怒させたことである。
 さて、十二月十四日には、自民党県議団と三教組幹部との意見交換会が開かれ、十二月十五日からは三日連続して県議会で教育問題が取り上げられた。これらを通じて、新たな事実が続々と明らかとなり、三重県の教育正常化運動はもはや押し止めがたいものとなって行くのだが、それについては、次回でレポートする。
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2,19
 
三重タイムズ  平成12年2月11日
寄稿
     三重の公教育を憂える
    ―教師は法を守るべし―  上
                            皇學館大學助教授   新田均
 
一月二十四日に開かれた三重県議会・行政改革調査特別委員会において、教育現場の「是正すべき慣行」がいくつも指摘された。この議論を傍聴した私は、これからの国家社会を担う子供達に、公共秩序の大切さと、それを守ることの意義を教えるべき教師自身が、驚くべき「遵法精神の欠如」に陥っているのではないか、との危惧をいだいた。そこで多くの方々にそのことを知っていただきたいという思いから、本誌の紙面を借りて、私の感じたところとその理由を述べることにした。
 
一般教員の兼職について
 
まず、浜田耕司議員(自民党)次のような質問を行った。「三重県学校生活協同組合の役員に就任している現役教員に対して兼職の許可を出しているのか」。これに、県教委側は「生協は非営利団体であり、しかも役員は無報酬であるから、届け出も、許可も必要ない」と答えた。
 確かに、公立学校の一般教職員場合、兼職先が非営利団体で、無報酬であれば、地方公務員法(以下「地公法」と略す)第三十八条の「営利企業等の従事制限」規定に照らして、任命権者の許可は必要ない。ところが、問題はここから先にある。地方公務員たる教員は、地公法第三十五条によって「職務に専念する義務」が課されている。したがって、勤務時間中にほかの兼業に従事する場合には、当然に年休をとるか、予め任命権者の許可をえておくことが必要となる。このような処置が実際にとられているのかどうか、私には疑問である。というのも勤務時間中の職員団体(いわゆる教職員組合)の活動が野放しにされてきた実態がすでに明らかになっているからである。これは「職務に専念する義務」が軽視された結果であろう。だとすれば、「兼職も勤務時間中に行われている可能性があるのではないか」との疑念が生じても致し方あるまい。
そこで、
県教委には、公立学校の一般教職員で、兼職しているものについて、その勤務実態が職務に専念する義務に違反していないかを調査していただきたい。合わせて、無許可で営利企業等に従事している者がいないかを調査し、調査結果によっては、必要な処置をとることを要望したい。
 
在職専従者の兼職について
 
 県議会等では問題とならなかったが、私は公立学校の兼職問題で最も重要なのは「在職専従者」の兼職問題ではないかと考えている。「在職専従者」とは、地方公務員たる教員の身分を保持しながら「職員団体(いわゆる教職員組合)の役員として専ら従事する」者のことである(地公法第五五条の二第一項)。その従事の期間は七年を限度とし、その間いかなる給与も支給されず、また、その期間は退職手当の算定の基礎となる勤務期間には算入されない(地公法第五五条の二第五項および附則第二〇項)。
 もう一度いうが、在職専従者は、職員団体の役員として「もっぱら従事する」ことを条件として、任命権者から許可を受けている。したがって、職員団体の役員として「もっぱら従事する」者でなくなった場合には、在職従事者としての資格を失うことになる。事実、地公法第五五条の二第第四項には、在職従事者の「許可は、当該許可を受けた職員団体の業務にもっぱら従事する者でなくなったときは、取り消されるものとする」と規定されている。
 このように考えると、「在職従事者は兼職できない」のが原則であろう。したがって、兼職しようとする場合には、一般教員とは異なって、たとえそれが非営利団体であろうと、無報酬であろうと、「任命権者の許可を必要とする」というのが法理である。
ところで三重県の在職専従者は、職員団体以外の多くの団体の役員に名を連ねている。「三重県教育弘済会」「三重県学校生活協同組合」「三重県教育文化会館」「教職員共済生活協同組合三重県支部」「三重県教育文化研究所」「三重県国際教育協会」「三重県民主教育政治連盟」等々である。中には、一人で五つもの団体を兼職した上、政治団体の事務局長まで兼ねている「在職専従者」もいる。彼らは、任命権者の許可を得ているのであろうか。教育委員会は、このような状態でもなお「職員団体の業務にもっぱら従事」していると認めて、許可を出したのだろうか。
このような理由で、県教委に、在職専従者の兼職に許可が与えられているのかどうか。与えられているとすれば、その勤務状況が「在職専従者」の許可条件に適合しているのかどうかを、調査していただきたい。そして適合していなければ、在職専従者たる許可を取り消すことを要望したい。
 
ある県会議員への期待
 
 ところで教育現場の「是正すべき慣行」について厳しい追求が行なわなわれていたとき、県民連合のある県会議員が、「このような議論の中では生徒の姿が見えない。もっと、生徒本意の議論をすべきだ」というような趣旨の発言を行った。確かに、この県議の言う「生徒本位の議論」というのは、一応もっともである。しかし、この県議に生徒の姿が見えないのは、この議論のせいばかりではなかろう。
情報公開条例に基づいて開示された教育委員会の資料によれば、この県議は、教諭をしていた中学校にいて、平成九年度と十年には、週四時間―それも平成九年度の月曜日の授業が二時間であるのを除けば、すべて一時間目―しか正規の授業をもっていないからである。生徒の姿が見えないのも当然かもしれない。このような形で「組合活動に専念」した経歴をもつ県議にとって、県議会での議論はまさに「針の筵」であると想像される。しかし、自らの不正に目を背けず、それをキチリ清算する事こそ、教師として、政治家として、県民の信頼を回復する道ではあるまいか、と私は密かに期待している。
 
 
三重タイムズ  平成12年2月18日
寄稿
     
三重の公教育を憂える
    ―教師は法を守るべし―  中
 
有限会社・三重県学校厚生会について
 
前回、公立学校の教職員の「兼職」問題について論じたが、今回はその補足を行ってみたい。一月二十四日に開かれた三重県議会・行政改革調査特別委員会において、浜田耕司県議(自民党)は、有限会社・三重県学校厚生会(以下「(有)厚生会」と略す)の役員を兼職しているかどうかを質問した。
 これに対して、県教委側は、そのような教員はいないと答弁した。中村敏県議(自民党)の調査によれば、「(有)厚生会」は、以前は「三重県学校用品」という名称の「株式会社」であったが、平成七年五月に「三重県学校厚生会」へと名称変更を行い、その際に「有限会社」となった。
 この会社の現在の代表取締役は西地保宏氏(前三教組中央執行委員長)、取締役は安田能子氏(前三教組中央執行副委員長・前三教組専門委員)・鈴木逸郎氏(現三教組中央執行委員長)らである。
業務内容は、「書類の販売、斡旋および出版」「教材・教具の販売、斡旋及び製造」「学童、生徒並びに学生用品の販売、斡旋及び製造」「学校用消耗品・備品及び医薬品の販売、斡旋」「損害保険代理業務及び生命保険募集業務」「日用雑貨品、医療品、職員の卸及び販売」「金銭貸し付け業務及び金銭貸借の保証並びにクレジットカード取り扱い業務」「コンピューター及び周辺機器の開発及びリース業」「旅行業法に基づく旅行業者代理業」「建物維持管理業務」 「介護業務事業」「医療用の機器・器具・備品・消耗品等の販売・賃貸・及び管理に関する業務」などである。
したがって、「(有)厚生会」は、明らかに営利企業である。しかし、営利企業であっても、現役教員が役員を兼務していなければ、地方公務員法の「営利企業等の従事制限」には、確かに直接抵触することはない。けれども、この企業の活動と人員構成は、「法の精神」に照らして、本当に問題はないのであろうか。
 
 『夏休みの友』について
 文部省地方課法令研究会編著「新学校管理読本」(第一法規)は、「営利企業等の従事制限」の項目において、この条文の趣旨を次のように説明している。「職員(地方公務員は)全体の奉仕者として公共の利益に為に勤務しなければならないものであり、一部の利益を追求する営利企業等に関与することはその企業等と利害関係が生ずるばかりでなく、その勤務の公正な執行を妨げるおそれがあるからである」と。
論点をはっきりするために具体的事例をあげて述べよう。県議会で明らかにされたところによれば、「(有)厚生会」は『夏休みの友』という小学生用の宿題長を発行している。この宿題長は、県内の小学校の八十・五%で使用されている。そして、それを編集しているのは「三重県教職員組合」である(その内容に教育委員会は一切関与していないという)。
 三教組の編集ということであれば、売り上げ利益の何割かは、当然、三教組に支払われていることが予想される。しかも、その会社は、登記簿から推測するに、三教組幹部OBの「天下り先」、現役幹部の「バイト先」である
 このような会社の商品(宿題長)が八割以上のシェアを占めている状況は、企業等の利害関係が生じないと言い切れるものだろうか。現役教員が役員でないというだけの理由で放置しておいてもよいものだろうか。
県教委側は、「強制販売ではないと認識している」と答えていたが、先生から宿題帳を指定され、それをやらなくてもよい、買わなくてもよいなどと考える生徒・父兄はまずいないだろう。心理的強制の要素を全面的に否定はできまい。教育長は「疑惑をまねくようであれば、改善したい」と答えていたが、ほかの会社との公平な競争が行われるよう配慮していただきたいと思う。
 
『三重県小中学校書初め展』について
 
 また、三重県議会では、財団法人・三重県教育文化会館が主催し、「(有)厚生会」が関与している「書初め展」の問題も指摘された。三重県教育文化会館は鈴木逸郎・三教組中央執行委員長が理事長を務め、三教組幹部が理事に名を連ねている財団法人である。ここが毎年主催して「三重県小中学校書初め展」を行っている。そして、出品作品の募集には、教育文化会館からの依頼によって、各公立学校が協力しているようである。もちろんこれだけならば問題はない。問題は、募集要項の「指定用紙・手本・出品票の注文」の欄に「指定用紙・手本・出品票は指定の注文書にて、(有)三重県学校厚生会(津市大里睦合町字東豊久野二五七三−三)へご注文下さい。」と記されていることである。
「書初め展」の後援者には、三重県、三重県教育委員会、三重県小中学校長会、三重県立公立小中学校教頭会などがなを連ねている。こうなると、公的な機関が総ぐるみで一営利企業の活動をバックアップしているといわれても仕方がない。
 教員OBが役員を務める企業との癒着は、悪意というよりも、「便利だから。お互いの利益になるから」といった考えから生じたのかもしれない。しかし、社会の腐敗は、法の精神よりも、便利さや利益が優先されるところから始まるのではないか、と思う。法を厳格に守る精神が欠如すれば、いかなる改革も砂上の楼閣となって、崩れさっていくのではないかと危惧される。
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すごい展開になってきたぞ!

平成12年(2000年)2月25日付け産経新聞三重版
  三教組の不正勤務時間
     返還総額16億円にも
平均給与試算 検査方法、県教委は一任
 
 県の公立学校教職員の勤務時間申の県教職農組合(三教組)活動問題を検討する「県教委学校管理に関する代表者会議」が二十四日、開かれ、「約二十五万回約六八万時間」とされた不正勤務時間の集計結果についての精査方法などが話し合われた。
平均の時間単価を二千三百円とすると総額は約十六億円になる試算もあり、県のカラ出張の裏金返還の約十二億円を上回る可能性も出てきた。
 
「県カラ出張」下回る
 この日の会議では県教委が二十一日に県議会に報告した調査結果について審議。自己申告に基づく集計結果をどうみるのか、時間数を妥当な数字にするにはどうするべきかなどの案が出され、県教委に方法を一任。改めて精査方法案を提示し、議諭していくことにした。
三月までに時間の確定をするが、返還方法や返還額、は未定。しかし平均年齢を四十歳前後で約四十万円の給料よすると、不正勤務時間の返還総額は約十五億七千万円前後になり、県が平成九年に返還した裏金を上回る試算も出ている。
 中村正昭県教委次長は「軽々に金額など確定できないが、形としては一人ひとりに返還を求める」とし、その後、三教組が肩代わりするような方扱が浮かんでいる。
平成12年2月22日付産経新聞三重版
 
    県立校職員会議前の運営委
   三教組代表が出席 県会行革調査委
 
 
 県議会行政改革調査特別委員会では、各県立学校の職員会議前に開催される運営委員会に、三教組の分会代表が出席していたことが明らかになった。また、教職員の異動希望調書が、組合側に渡っていることも判明組合が学校運営に深く関わってきたことが改めて浮き彫りとなった。
 
芝博一委員(県政会)が、運営委員会の存在について言及。本来、校長以下の管理者側が開く同委員会に「職場の代表として分会代表が入るのはおかしい」とただした。中林正彦教育長は「学校の一員として参加している。いろいろな角度から情報をキャッチするために必要で、正常とも異常とも言えない。排除していいのかどうか一概には言えない」と答えた。
 同委員会は、校長、教頭などが職員会議の議題などを調整するために管理者側が開催することになっている。
 
 

 
 
平成12年2月25日(金)付三重タイムズの記事
稿
                   
三重の公教育を憂える
        ―教師は法を守るべし ― 下
                                                
皇學館大學助教授 新田均
 
 
 一月二四日の県議会では、公立学校の教職員の政治活動や選挙活動についても議論がなされた。教員が、法律に違反して、政治的団体の役員になっていたり、政治運動や選挙活動に電話その他の学校の施設を使用している、というのである。
今回はこの公立学校教職員の政治活動の問題を取り上げてみたい。
 教育公務員に対する政治活動の制限について、今ひとつ確認しておきたいのは、「公立学校の教職員は公務員」であるということである。そして、教育公務員は、さまざまな法律によって一般人よりも、また一般公務員よりも強く政治活動を制限されている。
 具体的な法律の名前を挙げれば
 
       「教育基本法第八条第二項」
       「義務教育諸学校における教育の政治的」
       「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」
       「公職選挙法第一三六条の二」
       「政治資金規制法第二二条の九」
       「教育公務員特例法第二一条の四」
       「国家公務員法第一〇二条」
       「人事院規則一四七」である。
このような多くの法律によって、教育公務員の政治活動が厳しく制限されているのは、一方では、心身ともに未成熟な児童生徒に対して強い影響力を有する教育という事業そのものの性質から、他方では、公務員としての身分を有することから、教育公務員には政治的中立性が強く求められているからである。
このような趣旨に基づいて定められている諸法律について、これから少し解説してみようと思う。しかしここの法規をいちいち説明すると、かえって複雑になって、読者の理解が難しくなることが予想される。そこで、県議会で提出された具体的事例にもっとも関わりの深い
 
      「教育公務員特例法第二一条の四(以下「教特法」と略す)」
       「国家公務員法第一〇二条(以下「国公法」と略す)」
       「人事院規則一四七(以下「人事院規則」と略す)」
 
について解説し、必要に応じてほかの法規にも触れることにしたい。
 
 
 「教特法」 「国公法」「人事院規則」  について
 
地方公務員たる教職員に適用されるのは、一般には地方公務員法である。ところが政治的行為の制限については、「教特法」の規定によって、地方公務員法よりも政治的活動を強く制限している「国公法」が適用されることになっている。これは、前に述べたように、教育公務員の特殊性に鑑みて、その政治活動を一般の地方公務員よりも厳しく制限されるためである。この「国公法」によって禁止されている政治的行為、次の三つである。
@政党又は政治的目的のために寄付金その他の利益を求め、受領し、あるいはこれらの行為に関すること
A公選による公職の候補になること
B政党その他の政治団体の役員、政治的顧問などになること。
このほかの禁止行為を規定しているのが「人事院規則」であり、一定の「政治的目的」をもって一定の「政治的行為」を行うことを禁止するという規定の仕方になっている。この「人事院規則」によれば、「政治的目的」とは「公選による公職の選挙において、特定の候補を支持し又はこれに反対すること」「国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則、又は条例に包含されたものを含む)の実施を妨害する事」等々であり、「政治的行為」とは「政治的目的を有する文書又は図面を国の庁舎、施設、資材又は資金を利用し又は利用させること」等々である。
 
 
 
公職選挙法について
 
なお、選挙活動については、特に「公職選挙法第一三七条」によって、「教育者は、学校の児童、生徒、及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙活動をすることができない」と規定されている。教師の政治的行為の中でも、特に、教育上の地位を利用した選挙運動の禁止が公職選挙法で規定されていることには重要な意味がある。
それは「国公法」や「人事院規則」違反には行政処分の対象になるにすぎないが、公職選挙法違反の場合には行政処分の対象になるにすぎないが、公職選挙法違反の場合には「一年以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処せられ、又、選挙権及び被選挙権の停止の制裁」を受ける、すなわち刑事罰を課されるということである。
ところで文部省地方課法令研究会編著『新学校管理読本』(第一法規)は、「教育上の地位の利用」について、次のように解説している。「教育者である立場を利用して、児童生徒などに直接又は間接に父母に働きかける場合はもちろん、選挙演説を行ったり、推薦人として名を連ねることも地位利用と考えられる」(七二頁)
 
法律違反の具体例
 
 このように見てくると、県議会で指摘された、現職の教員が「三重県民主教育政治連盟」なる団体の役員に名を兼ねているという事態は、明らかに「国公法」違反である。「政治連盟」という名を掲げ、しかも、特定の政党の議員が会長・副会長を務めている以上、この団体は「政治的団体」と考えざるえないからである。
 また公共施設である職員室に選挙ポスターをはったり、電話などの学校の施設を選挙活動に使うなどということも、明らかに「人事院規則」違反である。
 それにしても、どうして教師の中に、このようにいとも簡単に法規を無視するものがいるのであろうか。「罰せられなければ、法規を無視してもいい」などというのは、これからの国家社会を担う若者達を教育する教師のあり方として全く相応しくない、「また都合のよい法規は守り、都合の悪い法規は無視すればよい」というのも言語道断である。
 こんなことを考えて意図的に法規を無視しているものが教師に中にいるとは思いたくない。ならば、多くの教師が法規を無視している原因は、教員養成過程で地方公務員たる公立学校の教師に服務に関する法規が教えられず、また、教員採用試験にも出題されないために、多くの教員が、教育公務員に関する具体的な責任と義務を知らないからではあるまいか。
そうだとすれば、公務員としての常識を伝えるという視点から、教員養成過程・採用試験・教員研修などの再検討を要望したい。
 なお広島県では、二月八日、「破り年休」問題について、教員個人を特定した住民監査請求が提出された(さらに十日には、広島県教委が給与の返還と処罰を断行した。)
三重県で提出された勤務時間中の組合活動に対する監査理由の却下が「個人が特定されていないため」というものであったことを考えると、広島の監査請求は受理される可能性が高い。三重県でも、給与の返還と処罰がスムーズに進まなければ同様の監査請求が提出されるのではないか、と懸念される。そんな過酷な状況にならないよう、県教委と職員団体の適切な対応を望みたい
 
平成12年3月17日付伊勢新聞
県議会行革調査特別委 
【県同和教育研究協議会】
芝博一議員(県政会)は同協会への県の補助について、文部省が教育研究団体への助成廃止を決め、各都道府県に通達を出す中、同協議会だけを助成対象に残した理由を質問。 
 中林教育長は「文部省は文部省の考えでなくしたが、県では同協会を今後の同和教育の振興に必要な団体と考え残した」と説明した。十二年度は一千百万円を助成するという。
さらに芝委員は、同協議会の事務局職員は研修として派遣されている教職員が移めており、在職期間が九年間が一人、六年間が一人、二年から五年までが五人と、長期にわたっていることを指摘。これに対し中林教育長は「確かに研修は長期で一年と決まっている。厳密な意味での法違反ではないが、私も見直すべきだと思う」と答えた。
 芝委員は「同和教育は重要だが、同協議会の組織の在り方や特別扱い的な補助金の助成は、県民に対して説明がつかない」と改善を求めた。橋川委員長も「組織などについて綿密に調査し、報告してほしい」と要求し、中林教育長は了承した。
 

NEW(最新の記事)
平成12年3月17日付産経新聞
県議会行革調査特別委
県教職員への不正給与
県、実態調査し報告へ
4カ月かけ会計検査院に
 県教委に対して会計検査院が二月二十八日から三月三日までの日程で会計検査に入ったことにからみ、中林正彦教育長は十六日開かれた県議会行政改革調査特別委員会で、「会計検査院としても教職員の給与が国庫負担金の対象額でもあるので、引き続き調査、検討するとともに、三重県の実態調査結果の報告を待つーとの講評をいただいた」と報告した。
 期間中、担当六人が財務内容などをチェック。平成十年七月に続く通常の会計検査で、前回は国費の不正流用などが発覚している。
 中林教育長の報告によると会計検査院は、勤務時間中の県教職員組合(三教組)活動にかかわる県教委の調査で、年次有給休暇など所要の手続きをとらず、給与を受けながら組合活動をしていた教職員が多数見られ、正規の勤務をしない時間についても給与が支払われている状況があることを認識。義務教育諸学校の教職員の給与については国が原則として二分の一を負担しており、この問題は国庫負担金の対象額にかかわるものであるので、会計検査院として今後も引き続き調査検討するーという。さらに県教委の調査結果報告も待つ−という。
県教委としては約四力月かけ、同調査をまとめ、不正給与額などを算出し、その後、会計検査院に報告するとした。
 この日の県教委にかかわる審議では県教委が、組織機構・定員の見直し▽開かれた学校づくり▽職員の身分・勤務体制の見直し−など三十一項目にわたる県教育行政システム改革の進ちょく状況を説明。学校評議員設置要綱の前倒し制定など十二項目がすでに実施ず
み−と報告した。
 しかし、委員の間からは校長をサポートし助言し、各校の管理者としての地位を確立させるための学校評議制度などで質疑が相次ぎ、この日で終了予定だった同委員会を五月臨時議会の役員改選までの間に、引き続き開催して審議していくことを決めた。
 また、浜田耕司委員(自民)は同改革に関して県教育委員としての対応をただし、作野史朗県教育委員長は「学校はともすれば閉鎖的になる社会で、県教育行政システム改革は意義深いこと。教育委員会としても改革を見守りたい」とした。
 岩名秀樹委員(自民)は、「県教委の改革への態度は、慇懃(いんぎん)無礼で、上手に言い訳をするが、その場しのぎ(の答弁や対応)で、上っ面だけの改革にしかみえない。県民はもっと真剣な議論を求めている」と手厳しく批判した。
 松田直久委員(県政会)も[学習者起点の教職員の意識改革というが、この間の改革は現場の教職員にとっては、なにかテレビをみているような(他人事の)改革にすぎないのではないか」と批判。
 中林教育長は「確かに今は(県教委側から教職員側への)一方通行の働きかけだが、今後は教職員自身にさまぎまなことを考えてもらい、意識改革をはかってもらうよう努力する」と述べていた。
 
 
祖国と青年 
           三重の教育正常化運動はいま(中)
          日教組王国・三重県に教育は蘇るか。

                                          皇學館大学助教授
                                           新田均
 祖国と青年12年3月号
 自民党県議団と三数組幹部との対決
 

 平成十ニ年十二月十四日、自民党三重県議団と三教組幹部との意見交換会が内々で開かれた。この意見交換会の開催については「波動21」 の勉強会で私たちも予告されており、一部の人々の間では「自民党は三教組と妥協するつもりではないのか」との不安もささやかれていた。しかし、これは杷憂にすぎなかった。自民党県議団の岩名秀樹幹事長 (四日市市選出)、山本教和政調会長 (志摩郡選出)、橋川すきや行政改革調査特別委員会委員長 (度会郡選出) らの教育改革にかける決意は並々ならぬもので、その追求は厳しく、三教組幹部はタジタジだったらしい。漏れ聞いたその内容をまとめれば次のようである。
一、自民党側は、政治的行為の制限を定めた地方公務員法を引用して、公立学校の教職員が選挙活動をおこなっている事実について三教組の考えを質した。これに対して、三教組幹部は「選挙活動は教師の立場ではできないが一般市民の立場ではできる」と答えた。そこで 「学校の教師という看板をかかげて活動しないと約束できるのか」と追及されると、「完全にやめるわけ にはいかない」 と開き直ったらしい。この点に関して、ある議員からは 「ある教師は右に子ども達の父母の名簿、左に三教組が推す候補者のポスターを置いて、その家庭に電話をかけるという活動をさせられた。それを断れなかったのは、やらなければ村八分にされるからだった」という生々しい現場の報告まであったという。
二、組合幹部は、松浦論文で指摘された「オールB開示」 や「不正出張」などの事実を全面的に認め、是正に努めていると回答した。その上、松浦論文で指摘された楠町立楠中学校の道徳の時間における偏向教育についても、その内容が偏ったものであることを認めた上で、 「すべての公立中学においてそのような授業が行われているわけではない」 と弁解したらしい (ところが、この中学の授業は、三重県を代表する模範授業として、平成十年一月の日教組の全国教研で発表されたようである)。
三、国旗の掲揚・国歌の斉唱について、組合幹部は「法律ができる前とは違う」と答えた。「それなら、積極的に行うように組合としても通知を出してはどうか」という大胆な提案に対して、「とにかく、今後の実績を見て欲しい」とかろうじて答えている。
四、松浦氏や私の言論活動について、三教組が皇學館大學に圧力をかけているのではないかという追及に対して、三教組幹部は「そんなバカなことはしていない。この前東京からも問い合わせがあったが、そんなバカなことはしていないと答えた」 と言いつつ、あわてて 「ただし、皇學館大学卒業生の教員が、そのような手紙を書くと言っていたことは知っている」 と付け加えたそうだ。組合ではなく、〃皇撃館の卒業生の教員が自分の判断でやったこと〃と言いたかったらしい。
 この自民党と三教組との意見交換会以降、教育正常化運動の舞台はいよいよ県議会へと移り、様々な問題が噴出し、色々な事件が勃発することとなる。それを一挙に述べるわけにはいかないので、とりあえず、一番展開の激しかった勤務時間中の組合活動を正す動きにしぼって述べていきたい。
 
 教育警察常任委員会と第二回代表者会議
 

 中林県教育長が十一月二十四日に勤務時間中の組合活動を戒める通知を出したことは既に述べたが、これは私たちの予想を遥かに越えた効力を発揮した。この日以来、勤務時間中に組合活動を行う教師は年休をとるようになり、四日市市では三学期から時間割を組み替えるという異例の措置をとってまで組合執行委員の授業時間を増加させた。勤務時間中の不正な組合活動は姿を消し、二二二人という大量の先生が子ども達のいる現場へと復帰したのである。
 このような状況の中で、十二月十五日に県議会教育警察常任委員会が開かれた。この委員会で、浜田耕司県議が「教育長も勤務時間内の組合活動があったことを認めている。
県はカラ出張の裏金をOBも含めて返還したが、組合活動によるヤミ手当ともいえる不当な給与を返還させる考えはないのか」と質した。これに対して、中林県教育長は「それも含めて学校管理に関する代表者会議で検討していただくが、一般論として法に照らせば、不当利益は(返還して)けじめをつけるべきだと考える」と述べて、単に過去の真実を調査するばかりでなく、不正給与の返還も視野に入れていることをはじめて明らかにした。
 また、この日の夕方に開かれた第二回の「学校管理に関する代表者会議」(以下「代表者会議」略す)では、勤務時間に関する実態調査を「個人申告」形式とし、学校長などの所属長が「聴き取り」を行うことなどを決めた。そして調査対象事項は、今回はとりあえず、勤務時間内の組合活動の総時間数だけに限定することになった。
 
 史上初の 「決算」継続審査
 
 十二月十六日に開かれた県議会予算決算特別委員会では県教委の勤務実態調査が終わっていないことを理由に、平成十年度の三重県歳入歳出決算を「継続審査」とした。戦後の三重県議会史上はじめての出来事である。
 この件について、自民党県議団は当初「不認定」に持ち込む決意だったようだが、県政会(旧新進党系) との話し合いのすえ、結局、継続審査ということになったらしい。
しかし、結果的には県教委にとって「不認定」よりも「継続審査」の方が厳しい選択となったのではないか、というのが自民党県議団の見方のようだ。何故なら、継続審査の期限である二月中旬ころまでに不正給与の究明を行わねばならず、その上で「不認定」となれば正に「傷口に塩」という結果になってしまうというのである。
 明けて平成十二年一月二十日、再び予算決算特別委員会が開かれたが、県教委の勤務実態調査が終了しておらず、改善策も示されていないことから、再び「継続審査」となった。
 二月十六日、三たび予算決算特別委員会が開かれた。この日の委員会でも、自民党県議団と共産党県議団が、いまだ県教委の調査結果がまとまっておらず、対応策も示されていないことを理由として、さらに「継続審査」とすることを主張したが、これに対して、県政会と県民連合(社民党・三教組系)が、県教委関係費以外は審査を終えているとして、教育費だけを分割して継続審査とすることを主張して対立した。そして、採決の結果、教育費を除いた決算を認定するという、これまた県政史上初の「部分認定」となった。このまま行けば、県教委の決算は「不認定」となる、という見方が新聞などで伝えられている。
 
 住民監査請求の衝撃
 
 県議会が決算の継続審査をはじめて決定した十二月十六日、同一の問題について住民監査請求が提出された。市民団体「三重の教育を正す会」代表の山野世志満氏ら三人が、県監査委員に対して、公立学校教職員の勤務時間中の組合活動は不正な給与の受け取りに当たるとして、年間約八〜十億円の給与の返還を求める請求を提出したのである。
 十二月二十八日、県監査委員は、この請求を却下したが、却下理由は、山野氏らの請求が「住民監査請求」 の要件を満たしていないというものであった。住民監査請求の場合には、どの職員の、どのような行為に関する、どの機関の支出行為が、違法もしくは不当な公金の支出にあたるのかを具体的に特定しなければならず、単に監査のきっかけとなる程度に特定するだけでは不十分だ、というのである。簡単に言えば、教員個人、その具体的行為、そしてそれに対する不当な給与の支出の事実、さらにその支出を行った機関を特定しろ、というのである。残念な結果ではあったが、この経験は、後に広島の市民団体によって活かされることになる。
 
一万五千人に対する実態調査
 
 十二月十七日の行政改革調査特別委員会において、芝博一県議(県政会・鈴鹿市選出)の質問に対し、中村正昭県教育次長は「文部省に出向き、勤務時間管理や国旗・国歌への対応の事情を説明をした」事実を明らかにした。これについて芝県議は、文部省の直接介入の有無に関係なく、県教委として自主的に、文部省が広島県教委に対して行った指導項目について検討する意思があるのかどうかを質した。これに対して、中林県教育長は「十二月二十日に県教委内にプロジェクトチームをつくり、そこで検討していく」と答えた。十二月二十日、そのプロジェクトチームが結成された。「学校運営改革担当」という名称で、勤務評定制度、勤務時間管理、主任制のあり方、職員会議の位置付け、校長権限の再確認などを検討し改善することを使命とするものである。
 同日、勤務時間内の組合活動の実態調査を開始するにあたって管理職の意思疎通をはかるために、中林県教育長は、県内六十九市町村の教育長と小中学校長ら約七百人を久居市の市民会館に集めた。また、県立高校長ら約七十人は津市内に集められた。寒風吹きすさぶなか全県下の教育長・公立学校長が召集されたことだけでも画期的であるが、そこでは、全県下の公立学校の教職員とOBに対して、勤務時間中の組合活動の実態を「過去三年にさかのぼって調査する」 ことが通知された。
 この調査の開始を、各学校長は沈痛な面もちで、職員会議の場で報告したという。ほとんどの学校では、シンと静まりかえったまま職員会議が終わり、あたかも大政奉還を告げられた時の幕臣たちのようなありさまだったという。
 
 調査の進展と変わりゆく現場
 
 三重県で実態調査が開始されて間もない十二月二十九日、広島県教委は、「破り年休」問題で、勤務時間中の組合活動の自己申告を求めた職務命令に従わなかった教職員一三一一人を戒告処分とした。この処分が三重県の調査の進展にどのような影響を与えたのかは定かでないが、現場では「広島のようにはなりたくない」という悲鳴に近い声が聞かれたという。年が明けた平成十二年一月十四日の「代表者会議」において、中村県教育次長は調査の進捗状況について「予想以上に先生方が協力的」と報告している。
一月二十四日に開かれた行政改革調査特別委員会で、芝県議は「三重県に会計検査院が来るのが遅れているのは、不正出張の調査が完了するのを待っているためだという噂を聞いているがどうか」と質した。これについて、中林県教育長は「一月六日に来る予定だったが、二月二十八日になったと聞いている」と答えた。芝県議がさらに「来たら調査結果を見せるのか」と追及したのに対し、教育長は「当然伝えます」と答えた。会計検査院の来県が遅れた理由は明らかにされなかったが、とにかく〃県教委の調査結果がまとまる時期に会計検査院がやってくる″ということは現実のものとなった。
 ちなみに、「衆議院決算行政監視委員会」に不正給与の支出に対する苦情を申し立てていた複数の市民の下へ、一月二十七日付けで、同委員長中村正三郎氏の名で
   「過日受け付けました苦情は、包括的に国政に反映される資料として、
   決算行政監視委員会理事会に報告されました」
という文書が届けられている。
 このころから、インターネット上で、現場の混乱を伝える情報が乱れとぶようになった。松浦、新田、自民党県議などを名指しで攻撃するものあり、三教組幹部のふがいなさを非難するものあり、こんなことになったのも三教組が「ぐるみ選挙」を押しっけてきたからだと嘆くものあり。
三教組幹部を非難する記事には「三教組幹部の恥ずかしい 『全面屈伏』」との見出しがつけられ、「今の三教組幹部には、もう闘争を組織する智恵も経験も持ち合わせていないと言わざるを得ません」「『大変だ、大変だ』としか言えず今頃、付け焼き刃的にやっと支部長らを集めて『自由主義史観の学習会』をして取り繕って、下部組合員からの批判をかわそうとしています」などと書かれていた。
 また、一月二十八日付けの『三重タイムズ』は、以前は勤務時間中の組合活動に対して肯定的な発言をしていた三教組支部や学校長が「世論の風向きが自分たちに不利と分かると手のひらを返すように態度が豹変し」、反省の弁を口にするようになったと伝えている。
 さて、一月二十七日に開かれた「代表者会議」において、中村県教育次長は、不正勤務時間の集計はまだなされていないが、実態として不正勤務があることが分かったので「今後は、その責任の所在と返還方法を検討していく」と述べた。この三重県の動きと連動してでもいるかのように、二月八日、広島県では「教育の正常化をめざす市民オンブズマンの会」によって「破り年休」問題に関して″教員個人を特定した″住民監査請求が提出された。さらに、二月十日、広島県教委は、勤務時間中の組合活動が特定できた教職員二立国人に給与返還を求めるとともに、勤務時間中の組合活動を認めた一三七〇人を口頭による厳重注意処分とした。
 ことここに至って、これまでどちらかといえば、中林県教育長や三教組の主体的対応に任せている感のあった北川正恭三重県知事も、積極的に発言するようになってきた。
二月八日に行われた講演会で、「『この辺で許してもらえないか』とばかり動いていては全く解決にならない。(教育改革は)中途半端では絶対駄目」「この際全部出して、あるべき姿はこうだ、という決意が、学校の先生、校長先生、教委になければ、きっと不幸な目にあう」と、県教育事務所職員らにハッパをかけたのである。
 二月二十一日に調査結果が公表され、二月二十八日には会計検査院が来県し、三月二日には県議会本会議が開かれる。自民党関係者によれば、三重県議団は、この三月の県議会で教育改革の大勢を決する、という腹積もりのようだ。二月下旬から三月上旬にかけて、三重県の教育界は戦後史上初ともいえる大きな山場をむかえることになる(なお、こうした騒ぎの中で、年度末の人事異動に関する三重県教育界の長年の悪しき慣行であった「内々示」も、いつの間にか消えてしまったらしい)。
 
 
この記事は部落解放同盟と対立関係にある全解連の記事です
2000年3月15日 解放の道
三重県立松阪商業高校長自殺事件
 “確認・糾弾路線から手をひけ”
 
真相解明へ「県民の会」が県教委と懇談
 【三重】
「解同」の確認・糾弾会が続けられているなかで、学校長の自殺という傷ましい事件がおこった問題に対し、「三重県立松阪商業高校長自殺の真相を明らかにする県民の会」は二月二十七日に県教委と懇談をもちました。当初から「県民の会」は交渉を強く要求していましたが、県教委は交渉に難色を示し、懇談こいうかたちをとったものです。
 懇談会で県教委同教課は、表向きは遺族への気配りを装っていますが、自らの責任と良心の呵責の回避、他への責任の転嫁をはかるものに終始しました。また、あくまでも差別意識に固執し、「県民の会」との部落差別に対する認識・見解の相違が歴然とするものとなりました。とくに、運動団体と一体化した「糾弾学習会」行為の姿勢を崩しませんでした。
 懇談で、全解連本部から参加した村崎勝利副委員長は、文部省も法務省も特定団体の確認・糾弾を否定していることを指摘、「確認・糾弾路線から何を学ぶのか」と厳しく指弾しました。他の参加者らも、「同和行政・教育からも手をひくべきだ」と強調しました。
 懇談後、「県民の会」は県教育委員会委員長宛に公開質問状を提出し、記者会見もおこないました。なお、同月二十五日に県教委から回答が出されましたか、従来通りの姿勢でなんらまともな回答となっていません。
 すでにこの事件では、新聞各社が報道、「週刊新潮」が、自殺の疑惑とともに「県民の会」の意向を反映させた記事を掲載し、反響を呼んでいます。
「県民の会」では、校長自殺の真相を明らかにするためひきつづき奮闘していくことにしています。

(参考)
月刊 解放の道3月号より引用
 福岡県同教への教諭派遣・人件費支出
 の違法をただし、同和教育をおわらせる
 住民監査請求・住民訴訟     植山 光朗
 
1 研修規則、給与条例等に違反
 
 一 全国初の住民監査請求
 
 福岡県教育委員会は、民間の研究団体である福岡県同和教育研究協議会(県同教)事務局に小・中学、高校から教諭十三人を「長期研修」の名目で派遣し、人件費年間約一億数千万円を支出しています。教諭としての職務に従事しない十三人に人件費を支出するのは適法・不当として、県内の元教師や弁護士、全解連福岡県連の役員など約七十人が呼びかけ人になって、麻生渡福岡県知事を相手に、支出相当額の損害賠償をもとめる住民監査請求を三月に提起します。県同教事務局への教諭派遣の違法性を監査請求で争うのは全国ではじめてのケースです。
 県同教事務局への教諭派遣は全国的にみてもゼロの県が多く、派遣している県でも三人から五人程度。多い県では、三重県の九人と熊本の八人です。そのなかで福岡県の十三人はとびぬけており、部落解放同盟に屈服した「同和教育」行政の歪みがきわだっています。
 今回の住民監査請求・住民訴訟は学校の教師として本来の職務に専念しないのに、教育公務員としての給与(一人平均年額八百九十万円)をもらっているのはおかしいとする、公費の不正支出をただすことが目的ですが、わたしたち全解連や福岡県人権共闘、福岡県同和教育研究会(自前で運営している民主的研究団体)にとっては、「同和」教育を終わらせることにあります。
 
 二 校長も知らない県同教人事
 
 福岡県は、同和対策(加配)教員の配置数でも八百三十六人(九九年度)と、兵庫県の四百四十三人のほぼ二倍、熊本県の百四人の八倍も配置しています。県教委同和教育課はこのうち十三人を「福岡県教育公務員の長期にわたる研修に関する規則」で「同和教育に関する研究業務に従事する」ことを名目に県同教事務局に派遣しています。教育公務員の長期研修の期間は、同規則では「一週間以上六カ月まで」となっていますが、県同教派遣の場合、平均で専従期間は四・四年、全国同和教育研究協議会会長を兼務する副会長は十年間という長さです。
 「県長期研修規則」は、教育公務員特例法第二十条 (研修の機会) 二項(教員は授業に支障のない限り本属長一校長―の承認をうけて学校を離れて研修を行うことができる) を根拠法にしています。
 同規則によれば、研修員は 「公募」 し、研修の志望は 「本人の志望に基づき」、「本属長(校長等) の承認」を必要とし、「研修員の費用の一部を補助することができる」としています。
 ところが派遣の経過を十三人の在籍校のうち数校を訪問し、直接、校長と教頭に「実際のところ、どうなのですか」とただしてみました。校長らは異口同音に、県同教派遣教諭の人事は 「すでに内示の段階で『その他』 の別枠あつかいで、決まっている」 「長期研修は校長の権限外のあつかい。
誰を派遣するかは上 (県教委、市教委) から下りてくる。校長推薦がひとり歩きしている」 ということで共通していました。
 ある学校では、県同教教遣の教諭の籍はあるものの、一年間、まったく学校に顔をださず、卒業アルバムに名前も写真もないということでした。
 A市教委の説明では 「県同教への派遣は県からくる加配枠の中で操作される。たとえば四人派遣すれば別枠で四人の加配がくるシステム。だから手続上、市の推薦になっているが 『事後承諾』が実態。この表向きのほかに、県同教や市同研からの推薦という裏ルートもあり、二本立てになっている」といいます。
 このように県同教派遣は 「公募」もしなければ、当該校の校長も知らない、市町村教育委員会も県教委人事を「事後承諾」 しているのが実態です。県同教派遣は、すべて規則に 「例外」という異例の特別あつかい。教育現場ではまさに 「同和」は聖域で侵すことも、批判することも、うわさをすることも憚られる状況です。そんな雰囲気が、残念ながら福岡県の教育界に存在しています。
 
 三 法、条例違反の特別扱い
 
 十三人は、県同教では会長、副会長、事務局長が「事務主査」、事務局次長と事務局員が「主任主事」と学校事務職の肩書きで研究業務に従事しています。学校事務職員には教育公務員特例法は適用されません。
 教特法第十九、二十条の 「研修」は 「児童の教育をつかさどる教諭は、憲法、教育基本法が定める教育目的や教育条理」 にもとづき自主的な教育研究と人間的な修養を内容とするものです。学校事務員の研修は、地方公務員法第三十九条などで、任命権者の教育長が計画、実行する「勤務能力の発揮、増進」 のための技術の習得で、双方の研修内容はまったく違うものです。
 十三人は、教諭として本来の職務に従事せず、学校事務職として県同数の運営に従事し、給与は教諭として受給しています。
そのうえ、長期研修規則では 「研修員にはその費用の一部補助」 ですが、給与は全額支給されています。住民監査請求は知事にたいし、このように法律、条例・規則に違反し、違法に支出された公費の損害賠償をもとめるのが、わたしたちの住民監査請求です。
 
 2 県同教は 「解同」の実働部隊 
 
 一 研究業務は不透明
 
 県同教はどういう団体なのか。県教委は「法人格のない民間の研究団体」といいます。事務局派遣の十三人は学校業務という一職務専念義務を免除され、同和教育に関する研究業務に従事することを命じられています。研究業務に従事することが十三人の職務専念義務と県教委は説明しています。
 研究業務に従事している十三人の業務内容を知るために福岡県情報公開条例をつかって出勤簿と業務日誌、旅行命令簿を開示請求しました。ところが、業務日誌は作成していないとして不存在。出勤簿は個人情報ということで非開示。出勤簿の管理場所、責任者もはっきりしません。唯一、開示できたのは旅行(出張)命令簿だけです。
一人の教諭の旅行(出張)命令簿(九六年十月から九七年三月末までの半年間) をみると、旅行回数は八十一回、延べ日数は九十六日間です。土日、休日をのぞく勤務日数は半年間で百十九日ですからこの教諭の旅行率は八一%で、週のうち四日は出張。
事務局勤務はわずかに一日ということになります。
 同様に別の教諭の旅行 (出張) 命令簿で九五年の一年間をみると百四十七回、延べ日数は百七十三日です。出張率七二%。命令簿のなかには新年早々、同和地区のない岩手県盛岡市に「同和教育の情報収集」として五日問、出張という記載もあります。
 このように十三人の出張業務は、軒並み「同和教育に関する研究業務」「同和教育に関する情報の収集」 という項目が多く、そのほか解放教育研究大会、解放保育実行委員会、事務連結など、研究業務の実態が抽象的であいまいです。出張に関しては研究業務を命じた同和教育課も「そのいちいちは把握していない」ということですから、事実上、放任している状況にあります。
 

 二 いい加減な研究成果の報告
 
 また、「県研修規則」の第九条では業績報告を義務づけています。 これも情報公開で十三人の研究業務の報告書を開示請求してみました。
 請求したのは九六、九七、九八年度の三年分です。業務報告書はいずれもA4判二枚に「研究主題」「研究の概要」「成果、課題」をまとめた簡単なものです。
 ある人の「研究成果」の報告は、三年間、まったく同じ内容でした。
 まず、九六年度の研究成果の報告は、「自尊感情の高揚、自学自習の力の育成、地域の教育力を高めるを切口として授業創造、九年間のカリキュラムづくりを中学校区総体として進めることで、学力向上の展望をもつことの大切さが確認できた」というもの。九七年度の同報告は「自尊感情の高揚、自学自習の力の育成、地域の教育力を高めるを切口として授業創造、九年間のカリキュラムづくりを中学校区総体として進めることで、学力向上につながることが確認できた」で、九八年度のそれは「自尊感情の高揚、自学自習の力の育成、地域の教育力を高めるを切口として授業創造、学校改革、人権のまちづくりを中学校区総体として進めることで、学力向上につながることが確認できた」と報告しています。一の部分だけを年度ごとにすこしずつ変えているだけです。
 さらに、九六年度と九八年度の研究成果がまったく同じ内容もあります。それは「全ての教科、全ての領域で、同和教育の営みがすすむことで、同和地区児童・生徒をはじめ、低学力にある全ての児童・生徒の確かな学力保障に結びつくことが確認できた」というものです。一字一句、同じ内容です。学校教育については門外漢のわたしでも、このような研究成果の報告では、一年間の研究実践の内容を疑りたくもなります。この研究実践がはたして八百九十万円の公費の支出に該当するのでしようか。
 
 三 「狭山事件」を教育課題に
 
 福岡県同教は「部落解放の教育を確立する『同和」教育の研究と実践につとめ、真に民主教育の実現を期することを目的」に一九六一年一月に発足しました。
 ところが、大阪の矢田事件(六九年)、兵庫の八鹿高校事件 (七四年) を契機に 「解同」の暴力的な確認・糾弾路線が、同和教育運動を変質させると、七六年には「解同」の「狭山闘争」「部落民宣言」が教育実践として学校教育にもちこまれるようになりました。
 すると、なんの疑問もはさまず、県同教のスタンスは 「解同」寄りというよりも、「解同」 べったりになったのです。県同教は七六年の定期総会で 「狭山闘争を部落の解放をめぎす教育のもっとも中心的な課題として位置づけ」(七六年五月、県同教会報)て以来、毎年、運動方針の重要な柱にするようになりました。
 九三年四月には、「解同」が狭山裁判の再審請求の意見書を東京高裁に提出し、全国的に五・二二狭山集団ゼッケン闘争の運動方針をうちだしたとき、これに呼応するかのように 「今、改めて狭山を教育課題に」という県同教事務局の通達を各市同研に送りつけ、「『運動』を『教育』 にもち込もうとすると 『教育介入』 という口実でとりくみを拒否する。この姿勢こそが部落差別そのもので、差別を温存させる」と狭山ゼッケン登校を指導しています。
 「同和教育と政治・社会運動の明確な区別。運動そのものも数奇という考え方の排除」は六五年の同和対策審議会答申、八四年六月の地対協意見具申、最近では九六年の地対協意見具申でもかさねて指摘されていることです。しかし、いまでも県同教は「狭山の教育課題は、学力保障のうえでも極めて重要な視点と課題を包含している」
(九九年度活動方針、同年五月) と依然として 「狭山」 に固執しているのです。
 
 四 部落解放基本法制定の事務局
 県同教が、研究団体よりも運動団体になっている典型的な事例に部落解放民本法制定要求国民運動福岡県実行委員会の事務局として、「解同」の運動の一端を担っていることがあります。県同教会長が同実行委員会の副会長に就任しているのもそのひとつ。
 県同教の九五年度定期総会 (同年五月)活動方針は 「部落解放基本法の制定を強く国に迫らなければなりません。そのために教育と運動の結合が必要である」 と公然と「運動と教育の一体化」を強調しています。
 九六年五月、「解同」が国会に同基本法の制定をせまって波状攻撃をかけているとき、西日本新聞に 「今国会で部落解放基本法を制定させよう」(同十五日)の全面広告を掲載、「解同」と一体の運動を展開しました。九九年度の活動方針書の中でも「県同教は、部落解放基本法制定要求国民運動福岡県実行委員会に参加し、部落問題の総合的・抜本的解決を図る基本法の制定をもとめる運動にとりくんできた」とあからさまに主張しています。このどこが研究団体といえましよう。むしろ「解同」以上に運動団体らしく行動しています。
 
 3 「解同」の確認・糾弾を下支え
 
 一 小郡中校長が糾弾直後に自殺
 
 県同教の果たしているもう一つの役割は、「解同」 の 「確認・糾弾」行為を下支えしていることです。九三年九月二十五日の午後、小郡市文化ホールで小郡中学校の教師全員が糾弾されました。その年の五月、一年の男子生徒の喧嘩が 「差別発言」とされ、学校の同和教育が不十分として糾弾されたものです。糾弾会の二日後、同校の校長 (当時、54歳) が失踪、十日後に熊本県の菊池渓谷で遺体が発見されました。
 校長自殺という惨事をひきおこした糾弾会は名称は 「公開学習会」 でしたが、出席者からの匿名はがきによれば「集団によるつるしあげそのもの」 でした。糾弾会には「解同」筑後地協側から組坂繁之県連書記長(現在、「解同」中央本部委員長)ら六十人、県教委北筑後事務所、県同教へ団体加盟している小郡市同和教育研究協議会、小郡市内の各校の同推教員ら百五十人が参加して、中学校側を追及したものです。
 校長の失踪直後に、家族が警察に捜査願いをだすと「解同」筑後地協は市教委や校長会に 「失踪は個人的な問題。学習会とは無関係」と箝口令をしき、市同研も「整然とかつ内容のある公開学習会だった」とわざわざ「市同研だより」(九三年十月二日、第二十五号)を発行し、もみ消しにかかりました。
 ところが同紙面に、糾弾会に参加した女性教諭の手記が載っていました。それは「あなたたちは部落差別の深刻さ、差別発言の重大さをどのようにとらえているのか、…地区のひとたちが自分たちの生い立ちや怒りや痛みを叫ぶように語り、厳しい言葉も…」と正直に語っているものです。
 この女性教諭の手記は、その後、参加者の何人かから匿名でわたしたちに寄せられた手紙などで事実であることがわかりました。糾弾会は 「中学校側へ厳しい無理な要求・暴言などがつぎつぎだされ、学習会の枠をこえた集団によるつるしあげそのものだった。参加者は中学校へ同情する反面、『解同』 の横暴さを再認識した」という激しい内容だったのです。事件直後、現地で調査をした全解連や日本共産党など民主団体の調査団に、小郡市の教育長は「校長の自殺と公開学習会は無関係とはいえない」と素直に糾弾会と自殺の関係を認めたほどでした。
 
 二 稲築中では県同教副会長が糾弾の
    急先鋒
 
 九六年十二月から翌九七年三月にかけて、「解同」嘉飯山地協は、稲築中学校で九二年から九七年の間にあった生徒の「発言」や「落書き」など五件を「差別事件」としてむしかえし確認・糾弾をくりかえしました。その時の状況を町教委が録音した議事録をまとめた報告によると、「解同」県連役員で県同教副会長が、確認会の席上、学校側を恫喝していたことが明らかになっています。
 その下りを簡単に再現すると
 「解同」県連で
 県同教副会長…「おたく、どこと確認会をしているか知っているの?どこの団体と確認 会してい  るか。わたしたちはどこの団体か、知っていますか?」
 稲築中の同和教育推進教員…嘉山地協!
 同副会長…その頭は?
 稲築中同推…部落解放同盟!
 同副会長…この事件はなんの事件ですか。女性差別ですか?
 稲築中同推…部落差別です。
 同副会長…なぜ、部落差別と確認できないの?部落差別ではないということですか?
 
というものです。この結果、すでに学内では教育課題として解決、整理していた過去の問題を「部落差別事件」として確認させられたのです。相手に一切の反論を許さないこのやり方は、およそ教育、学習とは縁遠く、脅し、恫喝以外のなにものでもありません。
 それでも、福岡県や県教委は、地対協意見具申などが 「反社会的な私的行為でむしろ部落問題解決に逆行するもの」と否定している「確認・糾弾行為」について、「その社会的教育効果まで否定できない」と容認しています。小郡中の校長自殺事件の時など「真相を県民に明らかにせよ」と究明をもとめた全解連側に、県教委や市同研らは「ビラなどまいて騒ぐと学校が混乱し、むしろ県民の差別意識を助長拡大する」と言論の封殺にでたのも、糾弾については一切の反論、批判はゆるさないという「解同」や県教委、県同教の傲慢さによるものです。
三月十六日に住民監査を請求 今回のわたしたちの住民監査請求は、このように実質上、「解同」の運動団体となり、「狭山人権・学習」を学校教育にもちこみ、その結果、子どるたちの間で「発言」「落書き」問題を誘発させ、確認・糾弾をくりかえしている県同教や傘下の各地区同研、同推などによる偏向教育をやめさせることにもあります。
 教育基本法第一〇条は 「教育は不当な支配に屈することなく、国民全体に直接責任を負う」ことを明記しています。「解同」という運動団体に追従する県同教に公費で十三人の教諭を派遣することは教育基本法に違反し、「福岡県教育公務員の長期にわたる研修に関する規則」 や県給与条例にも違反するものです。
 住民監査請求を準備しているわたしたちは、三月十六日に県監査事務局に住民監査請求書を提出します。監査委員会は住民監査請求書を受けつけて二、三週間以内に口頭陳述を召集し、二カ月以内に結論をださなければなりません。
 万が一、わたしたちの住民監査請求が却下されたときは、却下の通知があった日から一カ月以内に、住民訴訟を提訴します。ひきつづき裁判の中で県同教の教諭派遣の適法性、公費の不正支出を明らかにし、偏向した「同和」教育の在り方を問い、県教委の「同和」教育行政の責任を追及していきます。
 わたしたちは、一人でも多くの県民に住民監査請求・住民訴訟に参加してもらうために、仮称「福岡県同教への適法な県費支出を是正させ、『同和』教育を一掃する監査請求・住民訴訟を支援する会」を県下の各地区ごとに組織して、この運動をひろめていきます。そのために県同教や県教委による 「狭山」教育や確認・糾弾で学校教育が混乱している実態を資料としてまとめ、パンフ『みんなでかえよう』 (三十ページ、五百円) を編集しました。
 県同教への学校の教諭の派遣、その人件費の支払いを違法不当とする監査請求・住民訴訟ははじめての経験です。このたたかいはけっして福岡県といういち地域だけの問題ではなく、同和教育を終焉させたいという、全国のみなさんの願いでもあり、大事な歴史的なたたかいです。このたたかいは息のながいたたかいになります。ぜひ、全国のみなさんの激励と支援をお願いします。
 (うえやま・みつろう 福岡県連書記長)
 
平成11年12月26日付 中日新聞
平成十年七月に続く通常の会計検査で、前回は国費の不正流用などが発覚している。
 
 
根深い腐敗の温床
県教委の不正流用
 会計検査院の指摘で昨年秋、発覚した県教委の文部省委嘱教育関連事業費不正流用問題は、今年になって三重市民オンブズマン(代表・松葉謙三弁護士)が県教委幹部らを津地検に刑事告発する事態に発展した。
 会計検査院が不正流用を指摘したのは、文部省が委嘱する教育関係の各種調査、各学校が実施する研究指定校事業などの一九九三(平成五)−九七年の事業費の一部、計二千六百三十万円。カラ謝礼やカラ出張などで浮かし、他の事業に流用したり、備品購入などに充てていたという。
 県教委は▽文部省からの事業費支払いが年度末になるため、年度途中の事業の費用をプールしておく必要があった▽費目間の用途の変更手続きが煩雑−などを理由に挙げた。田川敏夫・前教育長の減給のほか関係者三十九人の処分を発表し、流用金も幹部職員が私費で文部省に返還した。
 しかし、九六年に発覚した県庁ぐるみの裏金問題に続く不祥事に、県民は大きく失望。オンブズマンらは「金を返せばいいという問題か。教育者として、あるまじき組織的な犯罪だ」と厳しく追及する姿勢を崩さなかった。
一日十九日、県庁講堂で県教委との「対話集会が開かれた。「不正支出の管理者はだれか。指揮命令系統は」 「もっとひどい不正を隠しているのでは。県教委に対し「厳しい質問が相次ぎ、田川前教育長は、釈明しながら「根本から正していきたい」と陳謝の言葉を繰り返した。
 しかし、オンブズマンはこうした県教委側の説明に納得しなかった。三月、県教委幹部ら十五人を有印私文書偽造、同行使や詐欺などの疑いで津地検に告発捜査は今も続いているとみられる。
 松葉弁護士は「裏金問題後も不正が続いていたことに、ショックを受けた」と振り返る。教育者たちが起こした事態だけに、問題の根は深い。
 
平成12年3月17日付伊勢新聞
県議会行革調査特別委 
【県同和教育研究協議会】
芝博一議員(県政会)は同協会への県の補助について、文部省が教育研究団体への助成廃止を決め、各都道府県に通達を出す中、同協議会だけを助成対象に残した理由を質問。 
 中林教育長は「文部省は文部省の考えでなくしたが、県では同協会を今後の同和教育の振興に必要な団体と考え残した」と説明した。十二年度は一千百万円を助成するという。
さらに芝委員は、同協議会の事務局職員は研修として派遣されている教職員が移めており、在職期間が九年間が一人、六年間が一人、二年から五年までが五人と、長期にわたっていることを指摘。これに対し中林教育長は「確かに研修は長期で一年と決まっている。厳密な意味での法違反ではないが、私も見直すべきだと思う」と答えた。
 芝委員は「同和教育は重要だが、同協議会の組織の在り方や特別扱い的な補助金の助成は、県民に対して説明がつかない」と改善を求めた。橋川委員長も「組織などについて綿密に調査し、報告してほしい」と要求し、中林教育長は了承した。
 
平成12年3月17日付産経新聞
県議会行革調査特別委
県教職員への不正給与
県、実態調査し報告へ
4カ月かけ会計検査院に
 県教委に対して会計検査院が二月二十八日から三月三日までの日程で会計検査に入ったことにからみ、中林正彦教育長は十六日開かれた県議会行政改革調査特別委員会で、「会計検査院としても教職員の給与が国庫負担金の対象額でもあるので、引き続き調査、検討するとともに、三重県の実態調査結果の報告を待つーとの講評をいただいた」と報告した。
 期間中、担当六人が財務内容などをチェック。平成十年七月に続く通常の会計検査で、前回は国費の不正流用などが発覚している。
 中林教育長の報告によると会計検査院は、勤務時間中の県教職員組合(三教組)活動にかかわる県教委の調査で、年次有給休暇など所要の手続きをとらず、給与を受けながら組合活動をしていた教職員が多数見られ、正規の勤務をしない時間についても給与が支払われている状況があることを認識。義務教育諸学校の教職員の給与については国が原則として二分の一を負担しており、この問題は国庫負担金の対象額にかかわるものであるので、会計検査院として今後も引き続き調査検討するーという。さらに県教委の調査結果報告も待つ−という。
県教委としては約四力月かけ、同調査をまとめ、不正給与額などを算出し、その後、会計検査院に報告するとした。
 この日の県教委にかかわる審議では県教委が、組織機構・定員の見直し▽開かれた学校づくり▽職員の身分・勤務体制の見直し−など三十一項目にわたる県教育行政システム改革の進ちょく状況を説明。学校評議員設置要綱の前倒し制定など十二項目がすでに実施ず
み−と報告した。
 しかし、委員の間からは校長をサポートし助言し、各校の管理者としての地位を確立させるための学校評議制度などで質疑が相次ぎ、この日で終了予定だった同委員会を五月臨時議会の役員改選までの間に、引き続き開催して審議していくことを決めた。
 また、浜田耕司委員(自民)は同改革に関して県教育委員としての対応をただし、作野史朗県教育委員長は「学校はともすれば閉鎖的になる社会で、県教育行政システム改革は意義深いこと。教育委員会としても改革を見守りたい」とした。
 岩名秀樹委員(自民)は、「県教委の改革への態度は、慇懃(いんぎん)無礼で、上手に言い訳をするが、その場しのぎ(の答弁や対応)で、上っ面だけの改革にしかみえない。県民はもっと真剣な議論を求めている」と手厳しく批判した。
 松田直久委員(県政会)も[学習者起点の教職員の意識改革というが、この間の改革は現場の教職員にとっては、なにかテレビをみているような(他人事の)改革にすぎないのではないか」と批判。
 中林教育長は「確かに今は(県教委側から教職員側への)一方通行の働きかけだが、今後は教職員自身にさまぎまなことを考えてもらい、意識改革をはかってもらうよう努力する」と述べていた。
 
 
祖国と青年 
           三重の教育正常化運動はいま(中)
          日教組王国・三重県に教育は蘇るか。

                                          皇學館大学助教授
                                           新田均
 祖国と青年12年3月号
 自民党県議団と三数組幹部との対決
 

 平成十ニ年十二月十四日、自民党三重県議団と三教組幹部との意見交換会が内々で開かれた。この意見交換会の開催については「波動21」 の勉強会で私たちも予告されており、一部の人々の間では「自民党は三教組と妥協するつもりではないのか」との不安もささやかれていた。しかし、これは杷憂にすぎなかった。自民党県議団の岩名秀樹幹事長 (四日市市選出)、山本教和政調会長 (志摩郡選出)、橋川すきや行政改革調査特別委員会委員長 (度会郡選出) らの教育改革にかける決意は並々ならぬもので、その追求は厳しく、三教組幹部はタジタジだったらしい。漏れ聞いたその内容をまとめれば次のようである。
一、自民党側は、政治的行為の制限を定めた地方公務員法を引用して、公立学校の教職員が選挙活動をおこなっている事実について三教組の考えを質した。これに対して、三教組幹部は「選挙活動は教師の立場ではできないが一般市民の立場ではできる」と答えた。そこで 「学校の教師という看板をかかげて活動しないと約束できるのか」と追及されると、「完全にやめるわけ にはいかない」 と開き直ったらしい。この点に関して、ある議員からは 「ある教師は右に子ども達の父母の名簿、左に三教組が推す候補者のポスターを置いて、その家庭に電話をかけるという活動をさせられた。それを断れなかったのは、やらなければ村八分にされるからだった」という生々しい現場の報告まであったという。
二、組合幹部は、松浦論文で指摘された「オールB開示」 や「不正出張」などの事実を全面的に認め、是正に努めていると回答した。その上、松浦論文で指摘された楠町立楠中学校の道徳の時間における偏向教育についても、その内容が偏ったものであることを認めた上で、 「すべての公立中学においてそのような授業が行われているわけではない」 と弁解したらしい (ところが、この中学の授業は、三重県を代表する模範授業として、平成十年一月の日教組の全国教研で発表されたようである)。
三、国旗の掲揚・国歌の斉唱について、組合幹部は「法律ができる前とは違う」と答えた。「それなら、積極的に行うように組合としても通知を出してはどうか」という大胆な提案に対して、「とにかく、今後の実績を見て欲しい」とかろうじて答えている。
四、松浦氏や私の言論活動について、三教組が皇學館大學に圧力をかけているのではないかという追及に対して、三教組幹部は「そんなバカなことはしていない。この前東京からも問い合わせがあったが、そんなバカなことはしていないと答えた」 と言いつつ、あわてて 「ただし、皇學館大学卒業生の教員が、そのような手紙を書くと言っていたことは知っている」 と付け加えたそうだ。組合ではなく、〃皇撃館の卒業生の教員が自分の判断でやったこと〃と言いたかったらしい。
 この自民党と三教組との意見交換会以降、教育正常化運動の舞台はいよいよ県議会へと移り、様々な問題が噴出し、色々な事件が勃発することとなる。それを一挙に述べるわけにはいかないので、とりあえず、一番展開の激しかった勤務時間中の組合活動を正す動きにしぼって述べていきたい。
 
 教育警察常任委員会と第二回代表者会議
 

 中林県教育長が十一月二十四日に勤務時間中の組合活動を戒める通知を出したことは既に述べたが、これは私たちの予想を遥かに越えた効力を発揮した。この日以来、勤務時間中に組合活動を行う教師は年休をとるようになり、四日市市では三学期から時間割を組み替えるという異例の措置をとってまで組合執行委員の授業時間を増加させた。勤務時間中の不正な組合活動は姿を消し、二二二人という大量の先生が子ども達のいる現場へと復帰したのである。
 このような状況の中で、十二月十五日に県議会教育警察常任委員会が開かれた。この委員会で、浜田耕司県議が「教育長も勤務時間内の組合活動があったことを認めている。
県はカラ出張の裏金をOBも含めて返還したが、組合活動によるヤミ手当ともいえる不当な給与を返還させる考えはないのか」と質した。これに対して、中林県教育長は「それも含めて学校管理に関する代表者会議で検討していただくが、一般論として法に照らせば、不当利益は(返還して)けじめをつけるべきだと考える」と述べて、単に過去の真実を調査するばかりでなく、不正給与の返還も視野に入れていることをはじめて明らかにした。
 また、この日の夕方に開かれた第二回の「学校管理に関する代表者会議」(以下「代表者会議」略す)では、勤務時間に関する実態調査を「個人申告」形式とし、学校長などの所属長が「聴き取り」を行うことなどを決めた。そして調査対象事項は、今回はとりあえず、勤務時間内の組合活動の総時間数だけに限定することになった。
 
 史上初の 「決算」継続審査
 
 十二月十六日に開かれた県議会予算決算特別委員会では県教委の勤務実態調査が終わっていないことを理由に、平成十年度の三重県歳入歳出決算を「継続審査」とした。戦後の三重県議会史上はじめての出来事である。
 この件について、自民党県議団は当初「不認定」に持ち込む決意だったようだが、県政会(旧新進党系) との話し合いのすえ、結局、継続審査ということになったらしい。
しかし、結果的には県教委にとって「不認定」よりも「継続審査」の方が厳しい選択となったのではないか、というのが自民党県議団の見方のようだ。何故なら、継続審査の期限である二月中旬ころまでに不正給与の究明を行わねばならず、その上で「不認定」となれば正に「傷口に塩」という結果になってしまうというのである。
 明けて平成十二年一月二十日、再び予算決算特別委員会が開かれたが、県教委の勤務実態調査が終了しておらず、改善策も示されていないことから、再び「継続審査」となった。
 二月十六日、三たび予算決算特別委員会が開かれた。この日の委員会でも、自民党県議団と共産党県議団が、いまだ県教委の調査結果がまとまっておらず、対応策も示されていないことを理由として、さらに「継続審査」とすることを主張したが、これに対して、県政会と県民連合(社民党・三教組系)が、県教委関係費以外は審査を終えているとして、教育費だけを分割して継続審査とすることを主張して対立した。そして、採決の結果、教育費を除いた決算を認定するという、これまた県政史上初の「部分認定」となった。このまま行けば、県教委の決算は「不認定」となる、という見方が新聞などで伝えられている。
 
 住民監査請求の衝撃
 
 県議会が決算の継続審査をはじめて決定した十二月十六日、同一の問題について住民監査請求が提出された。市民団体「三重の教育を正す会」代表の山野世志満氏ら三人が、県監査委員に対して、公立学校教職員の勤務時間中の組合活動は不正な給与の受け取りに当たるとして、年間約八〜十億円の給与の返還を求める請求を提出したのである。
 十二月二十八日、県監査委員は、この請求を却下したが、却下理由は、山野氏らの請求が「住民監査請求」 の要件を満たしていないというものであった。住民監査請求の場合には、どの職員の、どのような行為に関する、どの機関の支出行為が、違法もしくは不当な公金の支出にあたるのかを具体的に特定しなければならず、単に監査のきっかけとなる程度に特定するだけでは不十分だ、というのである。簡単に言えば、教員個人、その具体的行為、そしてそれに対する不当な給与の支出の事実、さらにその支出を行った機関を特定しろ、というのである。残念な結果ではあったが、この経験は、後に広島の市民団体によって活かされることになる。
 
一万五千人に対する実態調査
 
 十二月十七日の行政改革調査特別委員会において、芝博一県議(県政会・鈴鹿市選出)の質問に対し、中村正昭県教育次長は「文部省に出向き、勤務時間管理や国旗・国歌への対応の事情を説明をした」事実を明らかにした。これについて芝県議は、文部省の直接介入の有無に関係なく、県教委として自主的に、文部省が広島県教委に対して行った指導項目について検討する意思があるのかどうかを質した。これに対して、中林県教育長は「十二月二十日に県教委内にプロジェクトチームをつくり、そこで検討していく」と答えた。十二月二十日、そのプロジェクトチームが結成された。「学校運営改革担当」という名称で、勤務評定制度、勤務時間管理、主任制のあり方、職員会議の位置付け、校長権限の再確認などを検討し改善することを使命とするものである。
 同日、勤務時間内の組合活動の実態調査を開始するにあたって管理職の意思疎通をはかるために、中林県教育長は、県内六十九市町村の教育長と小中学校長ら約七百人を久居市の市民会館に集めた。また、県立高校長ら約七十人は津市内に集められた。寒風吹きすさぶなか全県下の教育長・公立学校長が召集されたことだけでも画期的であるが、そこでは、全県下の公立学校の教職員とOBに対して、勤務時間中の組合活動の実態を「過去三年にさかのぼって調査する」 ことが通知された。
 この調査の開始を、各学校長は沈痛な面もちで、職員会議の場で報告したという。ほとんどの学校では、シンと静まりかえったまま職員会議が終わり、あたかも大政奉還を告げられた時の幕臣たちのようなありさまだったという。
 
 調査の進展と変わりゆく現場
 
 三重県で実態調査が開始されて間もない十二月二十九日、広島県教委は、「破り年休」問題で、勤務時間中の組合活動の自己申告を求めた職務命令に従わなかった教職員一三一一人を戒告処分とした。この処分が三重県の調査の進展にどのような影響を与えたのかは定かでないが、現場では「広島のようにはなりたくない」という悲鳴に近い声が聞かれたという。年が明けた平成十二年一月十四日の「代表者会議」において、中村県教育次長は調査の進捗状況について「予想以上に先生方が協力的」と報告している。
一月二十四日に開かれた行政改革調査特別委員会で、芝県議は「三重県に会計検査院が来るのが遅れているのは、不正出張の調査が完了するのを待っているためだという噂を聞いているがどうか」と質した。これについて、中林県教育長は「一月六日に来る予定だったが、二月二十八日になったと聞いている」と答えた。芝県議がさらに「来たら調査結果を見せるのか」と追及したのに対し、教育長は「当然伝えます」と答えた。会計検査院の来県が遅れた理由は明らかにされなかったが、とにかく〃県教委の調査結果がまとまる時期に会計検査院がやってくる″ということは現実のものとなった。
 ちなみに、「衆議院決算行政監視委員会」に不正給与の支出に対する苦情を申し立てていた複数の市民の下へ、一月二十七日付けで、同委員長中村正三郎氏の名で
   「過日受け付けました苦情は、包括的に国政に反映される資料として、
   決算行政監視委員会理事会に報告されました」
という文書が届けられている。
 このころから、インターネット上で、現場の混乱を伝える情報が乱れとぶようになった。松浦、新田、自民党県議などを名指しで攻撃するものあり、三教組幹部のふがいなさを非難するものあり、こんなことになったのも三教組が「ぐるみ選挙」を押しっけてきたからだと嘆くものあり。
三教組幹部を非難する記事には「三教組幹部の恥ずかしい 『全面屈伏』」との見出しがつけられ、「今の三教組幹部には、もう闘争を組織する智恵も経験も持ち合わせていないと言わざるを得ません」「『大変だ、大変だ』としか言えず今頃、付け焼き刃的にやっと支部長らを集めて『自由主義史観の学習会』をして取り繕って、下部組合員からの批判をかわそうとしています」などと書かれていた。
 また、一月二十八日付けの『三重タイムズ』は、以前は勤務時間中の組合活動に対して肯定的な発言をしていた三教組支部や学校長が「世論の風向きが自分たちに不利と分かると手のひらを返すように態度が豹変し」、反省の弁を口にするようになったと伝えている。
 さて、一月二十七日に開かれた「代表者会議」において、中村県教育次長は、不正勤務時間の集計はまだなされていないが、実態として不正勤務があることが分かったので「今後は、その責任の所在と返還方法を検討していく」と述べた。この三重県の動きと連動してでもいるかのように、二月八日、広島県では「教育の正常化をめざす市民オンブズマンの会」によって「破り年休」問題に関して″教員個人を特定した″住民監査請求が提出された。さらに、二月十日、広島県教委は、勤務時間中の組合活動が特定できた教職員二立国人に給与返還を求めるとともに、勤務時間中の組合活動を認めた一三七〇人を口頭による厳重注意処分とした。
 ことここに至って、これまでどちらかといえば、中林県教育長や三教組の主体的対応に任せている感のあった北川正恭三重県知事も、積極的に発言するようになってきた。
二月八日に行われた講演会で、「『この辺で許してもらえないか』とばかり動いていては全く解決にならない。(教育改革は)中途半端では絶対駄目」「この際全部出して、あるべき姿はこうだ、という決意が、学校の先生、校長先生、教委になければ、きっと不幸な目にあう」と、県教育事務所職員らにハッパをかけたのである。
 二月二十一日に調査結果が公表され、二月二十八日には会計検査院が来県し、三月二日には県議会本会議が開かれる。自民党関係者によれば、三重県議団は、この三月の県議会で教育改革の大勢を決する、という腹積もりのようだ。二月下旬から三月上旬にかけて、三重県の教育界は戦後史上初ともいえる大きな山場をむかえることになる(なお、こうした騒ぎの中で、年度末の人事異動に関する三重県教育界の長年の悪しき慣行であった「内々示」も、いつの間にか消えてしまったらしい)。
 
 
この記事は部落解放同盟と対立関係にある全解連の記事です
2000年3月15日 解放の道
三重県立松阪商業高校長自殺事件
 “確認・糾弾路線から手をひけ”
 
真相解明へ「県民の会」が県教委と懇談
 【三重】
「解同」の確認・糾弾会が続けられているなかで、学校長の自殺という傷ましい事件がおこった問題に対し、「三重県立松阪商業高校長自殺の真相を明らかにする県民の会」は二月二十七日に県教委と懇談をもちました。当初から「県民の会」は交渉を強く要求していましたが、県教委は交渉に難色を示し、懇談こいうかたちをとったものです。
 懇談会で県教委同教課は、表向きは遺族への気配りを装っていますが、自らの責任と良心の呵責の回避、他への責任の転嫁をはかるものに終始しました。また、あくまでも差別意識に固執し、「県民の会」との部落差別に対する認識・見解の相違が歴然とするものとなりました。とくに、運動団体と一体化した「糾弾学習会」行為の姿勢を崩しませんでした。
 懇談で、全解連本部から参加した村崎勝利副委員長は、文部省も法務省も特定団体の確認・糾弾を否定していることを指摘、「確認・糾弾路線から何を学ぶのか」と厳しく指弾しました。他の参加者らも、「同和行政・教育からも手をひくべきだ」と強調しました。
 懇談後、「県民の会」は県教育委員会委員長宛に公開質問状を提出し、記者会見もおこないました。なお、同月二十五日に県教委から回答が出されましたか、従来通りの姿勢でなんらまともな回答となっていません。
 すでにこの事件では、新聞各社が報道、「週刊新潮」が、自殺の疑惑とともに「県民の会」の意向を反映させた記事を掲載し、反響を呼んでいます。
「県民の会」では、校長自殺の真相を明らかにするためひきつづき奮闘していくことにしています。

(参考)
月刊 解放の道3月号より引用
 福岡県同教への教諭派遣・人件費支出
 の違法をただし、同和教育をおわらせる
 住民監査請求・住民訴訟     植山 光朗
 
1 研修規則、給与条例等に違反
 
 一 全国初の住民監査請求
 
 福岡県教育委員会は、民間の研究団体である福岡県同和教育研究協議会(県同教)事務局に小・中学、高校から教諭十三人を「長期研修」の名目で派遣し、人件費年間約一億数千万円を支出しています。教諭としての職務に従事しない十三人に人件費を支出するのは適法・不当として、県内の元教師や弁護士、全解連福岡県連の役員など約七十人が呼びかけ人になって、麻生渡福岡県知事を相手に、支出相当額の損害賠償をもとめる住民監査請求を三月に提起します。県同教事務局への教諭派遣の違法性を監査請求で争うのは全国ではじめてのケースです。
 県同教事務局への教諭派遣は全国的にみてもゼロの県が多く、派遣している県でも三人から五人程度。多い県では、三重県の九人と熊本の八人です。そのなかで福岡県の十三人はとびぬけており、部落解放同盟に屈服した「同和教育」行政の歪みがきわだっています。
 今回の住民監査請求・住民訴訟は学校の教師として本来の職務に専念しないのに、教育公務員としての給与(一人平均年額八百九十万円)をもらっているのはおかしいとする、公費の不正支出をただすことが目的ですが、わたしたち全解連や福岡県人権共闘、福岡県同和教育研究会(自前で運営している民主的研究団体)にとっては、「同和」教育を終わらせることにあります。
 
 二 校長も知らない県同教人事
 
 福岡県は、同和対策(加配)教員の配置数でも八百三十六人(九九年度)と、兵庫県の四百四十三人のほぼ二倍、熊本県の百四人の八倍も配置しています。県教委同和教育課はこのうち十三人を「福岡県教育公務員の長期にわたる研修に関する規則」で「同和教育に関する研究業務に従事する」ことを名目に県同教事務局に派遣しています。教育公務員の長期研修の期間は、同規則では「一週間以上六カ月まで」となっていますが、県同教派遣の場合、平均で専従期間は四・四年、全国同和教育研究協議会会長を兼務する副会長は十年間という長さです。
 「県長期研修規則」は、教育公務員特例法第二十条 (研修の機会) 二項(教員は授業に支障のない限り本属長一校長―の承認をうけて学校を離れて研修を行うことができる) を根拠法にしています。
 同規則によれば、研修員は 「公募」 し、研修の志望は 「本人の志望に基づき」、「本属長(校長等) の承認」を必要とし、「研修員の費用の一部を補助することができる」としています。
 ところが派遣の経過を十三人の在籍校のうち数校を訪問し、直接、校長と教頭に「実際のところ、どうなのですか」とただしてみました。校長らは異口同音に、県同教派遣教諭の人事は 「すでに内示の段階で『その他』 の別枠あつかいで、決まっている」 「長期研修は校長の権限外のあつかい。
誰を派遣するかは上 (県教委、市教委) から下りてくる。校長推薦がひとり歩きしている」 ということで共通していました。
 ある学校では、県同教教遣の教諭の籍はあるものの、一年間、まったく学校に顔をださず、卒業アルバムに名前も写真もないということでした。
 A市教委の説明では 「県同教への派遣は県からくる加配枠の中で操作される。たとえば四人派遣すれば別枠で四人の加配がくるシステム。だから手続上、市の推薦になっているが 『事後承諾』が実態。この表向きのほかに、県同教や市同研からの推薦という裏ルートもあり、二本立てになっている」といいます。
 このように県同教派遣は 「公募」もしなければ、当該校の校長も知らない、市町村教育委員会も県教委人事を「事後承諾」 しているのが実態です。県同教派遣は、すべて規則に 「例外」という異例の特別あつかい。教育現場ではまさに 「同和」は聖域で侵すことも、批判することも、うわさをすることも憚られる状況です。そんな雰囲気が、残念ながら福岡県の教育界に存在しています。
 
 三 法、条例違反の特別扱い
 
 十三人は、県同教では会長、副会長、事務局長が「事務主査」、事務局次長と事務局員が「主任主事」と学校事務職の肩書きで研究業務に従事しています。学校事務職員には教育公務員特例法は適用されません。
 教特法第十九、二十条の 「研修」は 「児童の教育をつかさどる教諭は、憲法、教育基本法が定める教育目的や教育条理」 にもとづき自主的な教育研究と人間的な修養を内容とするものです。学校事務員の研修は、地方公務員法第三十九条などで、任命権者の教育長が計画、実行する「勤務能力の発揮、増進」 のための技術の習得で、双方の研修内容はまったく違うものです。
 十三人は、教諭として本来の職務に従事せず、学校事務職として県同数の運営に従事し、給与は教諭として受給しています。
そのうえ、長期研修規則では 「研修員にはその費用の一部補助」 ですが、給与は全額支給されています。住民監査請求は知事にたいし、このように法律、条例・規則に違反し、違法に支出された公費の損害賠償をもとめるのが、わたしたちの住民監査請求です。
 
 2 県同教は 「解同」の実働部隊 
 
 一 研究業務は不透明
 
 県同教はどういう団体なのか。県教委は「法人格のない民間の研究団体」といいます。事務局派遣の十三人は学校業務という一職務専念義務を免除され、同和教育に関する研究業務に従事することを命じられています。研究業務に従事することが十三人の職務専念義務と県教委は説明しています。
 研究業務に従事している十三人の業務内容を知るために福岡県情報公開条例をつかって出勤簿と業務日誌、旅行命令簿を開示請求しました。ところが、業務日誌は作成していないとして不存在。出勤簿は個人情報ということで非開示。出勤簿の管理場所、責任者もはっきりしません。唯一、開示できたのは旅行(出張)命令簿だけです。
一人の教諭の旅行(出張)命令簿(九六年十月から九七年三月末までの半年間) をみると、旅行回数は八十一回、延べ日数は九十六日間です。土日、休日をのぞく勤務日数は半年間で百十九日ですからこの教諭の旅行率は八一%で、週のうち四日は出張。
事務局勤務はわずかに一日ということになります。
 同様に別の教諭の旅行 (出張) 命令簿で九五年の一年間をみると百四十七回、延べ日数は百七十三日です。出張率七二%。命令簿のなかには新年早々、同和地区のない岩手県盛岡市に「同和教育の情報収集」として五日問、出張という記載もあります。
 このように十三人の出張業務は、軒並み「同和教育に関する研究業務」「同和教育に関する情報の収集」 という項目が多く、そのほか解放教育研究大会、解放保育実行委員会、事務連結など、研究業務の実態が抽象的であいまいです。出張に関しては研究業務を命じた同和教育課も「そのいちいちは把握していない」ということですから、事実上、放任している状況にあります。
 

 二 いい加減な研究成果の報告
 
 また、「県研修規則」の第九条では業績報告を義務づけています。 これも情報公開で十三人の研究業務の報告書を開示請求してみました。
 請求したのは九六、九七、九八年度の三年分です。業務報告書はいずれもA4判二枚に「研究主題」「研究の概要」「成果、課題」をまとめた簡単なものです。
 ある人の「研究成果」の報告は、三年間、まったく同じ内容でした。
 まず、九六年度の研究成果の報告は、「自尊感情の高揚、自学自習の力の育成、地域の教育力を高めるを切口として授業創造、九年間のカリキュラムづくりを中学校区総体として進めることで、学力向上の展望をもつことの大切さが確認できた」というもの。九七年度の同報告は「自尊感情の高揚、自学自習の力の育成、地域の教育力を高めるを切口として授業創造、九年間のカリキュラムづくりを中学校区総体として進めることで、学力向上につながることが確認できた」で、九八年度のそれは「自尊感情の高揚、自学自習の力の育成、地域の教育力を高めるを切口として授業創造、学校改革、人権のまちづくりを中学校区総体として進めることで、学力向上につながることが確認できた」と報告しています。一の部分だけを年度ごとにすこしずつ変えているだけです。
 さらに、九六年度と九八年度の研究成果がまったく同じ内容もあります。それは「全ての教科、全ての領域で、同和教育の営みがすすむことで、同和地区児童・生徒をはじめ、低学力にある全ての児童・生徒の確かな学力保障に結びつくことが確認できた」というものです。一字一句、同じ内容です。学校教育については門外漢のわたしでも、このような研究成果の報告では、一年間の研究実践の内容を疑りたくもなります。この研究実践がはたして八百九十万円の公費の支出に該当するのでしようか。
 
 三 「狭山事件」を教育課題に
 
 福岡県同教は「部落解放の教育を確立する『同和」教育の研究と実践につとめ、真に民主教育の実現を期することを目的」に一九六一年一月に発足しました。
 ところが、大阪の矢田事件(六九年)、兵庫の八鹿高校事件 (七四年) を契機に 「解同」の暴力的な確認・糾弾路線が、同和教育運動を変質させると、七六年には「解同」の「狭山闘争」「部落民宣言」が教育実践として学校教育にもちこまれるようになりました。
 すると、なんの疑問もはさまず、県同教のスタンスは 「解同」寄りというよりも、「解同」 べったりになったのです。県同教は七六年の定期総会で 「狭山闘争を部落の解放をめぎす教育のもっとも中心的な課題として位置づけ」(七六年五月、県同教会報)て以来、毎年、運動方針の重要な柱にするようになりました。
 九三年四月には、「解同」が狭山裁判の再審請求の意見書を東京高裁に提出し、全国的に五・二二狭山集団ゼッケン闘争の運動方針をうちだしたとき、これに呼応するかのように 「今、改めて狭山を教育課題に」という県同教事務局の通達を各市同研に送りつけ、「『運動』を『教育』 にもち込もうとすると 『教育介入』 という口実でとりくみを拒否する。この姿勢こそが部落差別そのもので、差別を温存させる」と狭山ゼッケン登校を指導しています。
 「同和教育と政治・社会運動の明確な区別。運動そのものも数奇という考え方の排除」は六五年の同和対策審議会答申、八四年六月の地対協意見具申、最近では九六年の地対協意見具申でもかさねて指摘されていることです。しかし、いまでも県同教は「狭山の教育課題は、学力保障のうえでも極めて重要な視点と課題を包含している」
(九九年度活動方針、同年五月) と依然として 「狭山」 に固執しているのです。
 
 四 部落解放基本法制定の事務局
 県同教が、研究団体よりも運動団体になっている典型的な事例に部落解放民本法制定要求国民運動福岡県実行委員会の事務局として、「解同」の運動の一端を担っていることがあります。県同教会長が同実行委員会の副会長に就任しているのもそのひとつ。
 県同教の九五年度定期総会 (同年五月)活動方針は 「部落解放基本法の制定を強く国に迫らなければなりません。そのために教育と運動の結合が必要である」 と公然と「運動と教育の一体化」を強調しています。
 九六年五月、「解同」が国会に同基本法の制定をせまって波状攻撃をかけているとき、西日本新聞に 「今国会で部落解放基本法を制定させよう」(同十五日)の全面広告を掲載、「解同」と一体の運動を展開しました。九九年度の活動方針書の中でも「県同教は、部落解放基本法制定要求国民運動福岡県実行委員会に参加し、部落問題の総合的・抜本的解決を図る基本法の制定をもとめる運動にとりくんできた」とあからさまに主張しています。このどこが研究団体といえましよう。むしろ「解同」以上に運動団体らしく行動しています。
 
 3 「解同」の確認・糾弾を下支え
 
 一 小郡中校長が糾弾直後に自殺
 
 県同教の果たしているもう一つの役割は、「解同」 の 「確認・糾弾」行為を下支えしていることです。九三年九月二十五日の午後、小郡市文化ホールで小郡中学校の教師全員が糾弾されました。その年の五月、一年の男子生徒の喧嘩が 「差別発言」とされ、学校の同和教育が不十分として糾弾されたものです。糾弾会の二日後、同校の校長 (当時、54歳) が失踪、十日後に熊本県の菊池渓谷で遺体が発見されました。
 校長自殺という惨事をひきおこした糾弾会は名称は 「公開学習会」 でしたが、出席者からの匿名はがきによれば「集団によるつるしあげそのもの」 でした。糾弾会には「解同」筑後地協側から組坂繁之県連書記長(現在、「解同」中央本部委員長)ら六十人、県教委北筑後事務所、県同教へ団体加盟している小郡市同和教育研究協議会、小郡市内の各校の同推教員ら百五十人が参加して、中学校側を追及したものです。
 校長の失踪直後に、家族が警察に捜査願いをだすと「解同」筑後地協は市教委や校長会に 「失踪は個人的な問題。学習会とは無関係」と箝口令をしき、市同研も「整然とかつ内容のある公開学習会だった」とわざわざ「市同研だより」(九三年十月二日、第二十五号)を発行し、もみ消しにかかりました。
 ところが同紙面に、糾弾会に参加した女性教諭の手記が載っていました。それは「あなたたちは部落差別の深刻さ、差別発言の重大さをどのようにとらえているのか、…地区のひとたちが自分たちの生い立ちや怒りや痛みを叫ぶように語り、厳しい言葉も…」と正直に語っているものです。
 この女性教諭の手記は、その後、参加者の何人かから匿名でわたしたちに寄せられた手紙などで事実であることがわかりました。糾弾会は 「中学校側へ厳しい無理な要求・暴言などがつぎつぎだされ、学習会の枠をこえた集団によるつるしあげそのものだった。参加者は中学校へ同情する反面、『解同』 の横暴さを再認識した」という激しい内容だったのです。事件直後、現地で調査をした全解連や日本共産党など民主団体の調査団に、小郡市の教育長は「校長の自殺と公開学習会は無関係とはいえない」と素直に糾弾会と自殺の関係を認めたほどでした。
 
 二 稲築中では県同教副会長が糾弾の
    急先鋒
 
 九六年十二月から翌九七年三月にかけて、「解同」嘉飯山地協は、稲築中学校で九二年から九七年の間にあった生徒の「発言」や「落書き」など五件を「差別事件」としてむしかえし確認・糾弾をくりかえしました。その時の状況を町教委が録音した議事録をまとめた報告によると、「解同」県連役員で県同教副会長が、確認会の席上、学校側を恫喝していたことが明らかになっています。
 その下りを簡単に再現すると
 「解同」県連で
 県同教副会長…「おたく、どこと確認会をしているか知っているの?どこの団体と確認 会してい  るか。わたしたちはどこの団体か、知っていますか?」
 稲築中の同和教育推進教員…嘉山地協!
 同副会長…その頭は?
 稲築中同推…部落解放同盟!
 同副会長…この事件はなんの事件ですか。女性差別ですか?
 稲築中同推…部落差別です。
 同副会長…なぜ、部落差別と確認できないの?部落差別ではないということですか?
 
というものです。この結果、すでに学内では教育課題として解決、整理していた過去の問題を「部落差別事件」として確認させられたのです。相手に一切の反論を許さないこのやり方は、およそ教育、学習とは縁遠く、脅し、恫喝以外のなにものでもありません。
 それでも、福岡県や県教委は、地対協意見具申などが 「反社会的な私的行為でむしろ部落問題解決に逆行するもの」と否定している「確認・糾弾行為」について、「その社会的教育効果まで否定できない」と容認しています。小郡中の校長自殺事件の時など「真相を県民に明らかにせよ」と究明をもとめた全解連側に、県教委や市同研らは「ビラなどまいて騒ぐと学校が混乱し、むしろ県民の差別意識を助長拡大する」と言論の封殺にでたのも、糾弾については一切の反論、批判はゆるさないという「解同」や県教委、県同教の傲慢さによるものです。
三月十六日に住民監査を請求 今回のわたしたちの住民監査請求は、このように実質上、「解同」の運動団体となり、「狭山人権・学習」を学校教育にもちこみ、その結果、子どるたちの間で「発言」「落書き」問題を誘発させ、確認・糾弾をくりかえしている県同教や傘下の各地区同研、同推などによる偏向教育をやめさせることにもあります。
 教育基本法第一〇条は 「教育は不当な支配に屈することなく、国民全体に直接責任を負う」ことを明記しています。「解同」という運動団体に追従する県同教に公費で十三人の教諭を派遣することは教育基本法に違反し、「福岡県教育公務員の長期にわたる研修に関する規則」 や県給与条例にも違反するものです。
 住民監査請求を準備しているわたしたちは、三月十六日に県監査事務局に住民監査請求書を提出します。監査委員会は住民監査請求書を受けつけて二、三週間以内に口頭陳述を召集し、二カ月以内に結論をださなければなりません。
 万が一、わたしたちの住民監査請求が却下されたときは、却下の通知があった日から一カ月以内に、住民訴訟を提訴します。ひきつづき裁判の中で県同教の教諭派遣の適法性、公費の不正支出を明らかにし、偏向した「同和」教育の在り方を問い、県教委の「同和」教育行政の責任を追及していきます。
 わたしたちは、一人でも多くの県民に住民監査請求・住民訴訟に参加してもらうために、仮称「福岡県同教への適法な県費支出を是正させ、『同和』教育を一掃する監査請求・住民訴訟を支援する会」を県下の各地区ごとに組織して、この運動をひろめていきます。そのために県同教や県教委による 「狭山」教育や確認・糾弾で学校教育が混乱している実態を資料としてまとめ、パンフ『みんなでかえよう』 (三十ページ、五百円) を編集しました。
 県同教への学校の教諭の派遣、その人件費の支払いを違法不当とする監査請求・住民訴訟ははじめての経験です。このたたかいはけっして福岡県といういち地域だけの問題ではなく、同和教育を終焉させたいという、全国のみなさんの願いでもあり、大事な歴史的なたたかいです。このたたかいは息のながいたたかいになります。ぜひ、全国のみなさんの激励と支援をお願いします。
 (うえやま・みつろう 福岡県連書記長)
 
平成11年12月26日付 中日新聞
平成十年七月に続く通常の会計検査で、前回は国費の不正流用などが発覚している。
 
 
根深い腐敗の温床
県教委の不正流用
 会計検査院の指摘で昨年秋、発覚した県教委の文部省委嘱教育関連事業費不正流用問題は、今年になって三重市民オンブズマン(代表・松葉謙三弁護士)が県教委幹部らを津地検に刑事告発する事態に発展した。
 会計検査院が不正流用を指摘したのは、文部省が委嘱する教育関係の各種調査、各学校が実施する研究指定校事業などの一九九三(平成五)−九七年の事業費の一部、計二千六百三十万円。カラ謝礼やカラ出張などで浮かし、他の事業に流用したり、備品購入などに充てていたという。
 県教委は▽文部省からの事業費支払いが年度末になるため、年度途中の事業の費用をプールしておく必要があった▽費目間の用途の変更手続きが煩雑−などを理由に挙げた。田川敏夫・前教育長の減給のほか関係者三十九人の処分を発表し、流用金も幹部職員が私費で文部省に返還した。
 しかし、九六年に発覚した県庁ぐるみの裏金問題に続く不祥事に、県民は大きく失望。オンブズマンらは「金を返せばいいという問題か。教育者として、あるまじき組織的な犯罪だ」と厳しく追及する姿勢を崩さなかった。
一日十九日、県庁講堂で県教委との「対話集会が開かれた。「不正支出の管理者はだれか。指揮命令系統は」 「もっとひどい不正を隠しているのでは。県教委に対し「厳しい質問が相次ぎ、田川前教育長は、釈明しながら「根本から正していきたい」と陳謝の言葉を繰り返した。
 しかし、オンブズマンはこうした県教委側の説明に納得しなかった。三月、県教委幹部ら十五人を有印私文書偽造、同行使や詐欺などの疑いで津地検に告発捜査は今も続いているとみられる。
 松葉弁護士は「裏金問題後も不正が続いていたことに、ショックを受けた」と振り返る。教育者たちが起こした事態だけに、問題の根は深い。
 

平成10年11月17日付産経新聞
 
広島県同和教育研究協
研修で派遣の職員給与
国庫負担対象でない
会計検査院、県教委へ指摘
 
 広島県内の公立小・中学校教員を、広島県同和教育研究協議会(広同教)に派遣する県教委の研修事業について、会計検査院が「教育関係団体に常駐する教職員の給与は国庫負担の対象にはならない」指摘していることが十六日分かった。 文部省が返還を求めれば、県教委は指摘された七、八年度分の千数百万円を返還することになる。
 県教委は毎年度、研修事業として教員を大学院などに派遣するほか、広同教にはた、八年度に小・中学校の教員を三人ずつ派遣した。公立小・中学校の教職員給与の半額は国庫負担で、研修中の教職員給与も同じ扱いとなる。
このため県教委は、広同教研修職員の給与も半額分の国庫補助を受けており、平成七、八年度の国庫負担金は千数百万円になる。
「教育関係団体の事務局に常駐し、その事務に従事する教職員(の給与)は、国庫負担の対象にならない」との会計検査院の指摘に、県教委は「広同教での研修には意義がある」との解釈を示している。 


平成10年11月17日付産経新聞
 
広島県同和教育研究協
研修で派遣の職員給与
国庫負担対象でない
会計検査院、県教委へ指摘
 
 広島県内の公立小・中学校教員を、広島県同和教育研究協議会(広同教)に派遣する県教委の研修事業について、会計検査院が「教育関係団体に常駐する教職員の給与は国庫負担の対象にはならない」指摘していることが十六日分かった。 文部省が返還を求めれば、県教委は指摘された七、八年度分の千数百万円を返還することになる。
 県教委は毎年度、研修事業として教員を大学院などに派遣するほか、広同教にはた、八年度に小・中学校の教員を三人ずつ派遣した。公立小・中学校の教職員給与の半額は国庫負担で、研修中の教職員給与も同じ扱いとなる。
このため県教委は、広同教研修職員の給与も半額分の国庫補助を受けており、平成七、八年度の国庫負担金は千数百万円になる。
「教育関係団体の事務局に常駐し、その事務に従事する教職員(の給与)は、国庫負担の対象にならない」との会計検査院の指摘に、県教委は「広同教での研修には意義がある」との解釈を示している。 



 
 
『三重タイムズ』平成12年3月24日
[日々想々]
続・三重の公教育を憂う(上)ー同和問題解決に向けた政府の方針について
                               皇學館大學文学部助教授・新田均
 
 県立松坂商業高校長の自殺に関連して、県議会で同和問題解決に向けた政府の方針(総務庁の文書)を中林県教育長が読み上げ、その周知徹底を進めると述べたことが、本紙や雑誌『正論』で報じられた。この後、私のところに「そのような文書の存在は知らなかった。政府の方針がどのようなものなかの解説してほしい」といった内容の手紙が、多くの読者(特に教員)から寄せられた。たしかに、同和問題の解決が国民的課題である以上、政府がこの問題をどのような方向で解決しようとしているのかを知っておくことは大切だろう。そこで、教育長が周知を進めるとした政府の文書とはどのようなものなのか、その基本的な部分を紹介することにした。
 
 新たな差別を生む要因の提示
 
  昭和五七年四月、同和問題に関する基本的事項を審議調査するために、同和対策協議会にかわって地域改善対策協議会(以下「地対協」)が設けられた。この「地対協」は、昭和五九年六月に首相や関係大臣宛に「今後における啓発活動のあり方について」と題する意見具申を行い、この中で同和問題の現状は「同和地区住民の社会的経済的地位の向上を阻む諸要因の解消という目標に次第に近づいてきたといえる」との認識を示す一方、「心理的な面にかかわる分野に問題が残されている」と指摘した。
 さらに「地対協」は、昭和六一年一二月の意見具申の中で「新たな差別意識を生む様々な要因が存在している」と指摘し、克服されるべき要因として四点を挙げた。それを抄出すれば以下のようである。
  「第一は、行政の主体性の欠如である。現在、国及び地方公共団体は、民間運動団体の威圧的な態度に押し切られて、不適切な行政運営を行うという傾向が一部にみられる。このような行政機関としての主体性の欠如が、公平の観点からみて一部に合理性が疑われるような施策を実施してきた背景となってきた。」
 「第二は、同和関係者の自立、向上の精神のかん養の視点の軽視である。ー中略ー特に、個人給付的施策の安易な適用や、同和関係者を過度に優遇するような実施は、むしろ同和関係者の自立、向上を阻害する面を持っているとともに、国民に不公平感を招来している。」
 「第三は、えせ同和行為の横行である。民間運動団体の行き過ぎた言動に由来する同和問題はこわい問題であり、避けた方が良いとの意識の発生は、この問題に対する新たな差別意識を生む要因となっているが、同時に、また、えせ同和行為の横行の背景となっている。」
 「第四は、同和問題についての自由な意見の潜在化傾向である。同和問題について自由な意見交換ができる環境がないことは、差別意識の解消の促進を妨げている決定的な要因となっていることは否定できない。いわゆる確認・糾弾行為は、差別の不合理性についての社会的認識を高める効果があったことは否定できないが、被害者集団によって行われるものであり、行き過ぎて、被糾弾者の人権への配慮に欠けたものとなる可能性を本来持っている。また、何が差別かということを民間運動団体が主観的な立場から、恣意的に判断し、抗議行動の可能性をほのめかしつつ、さ細なことにも抗議することは、同和問題の言論について国民に警戒心を植え付け、この問題に対する意見の表明を抑制してしまっている。」
 
  差別事件の処理の在り方の提示
 
  この意見具申を受けて、昭和六二年三月に、総務庁は長官官房地域改善対策室長名で「地域改善対策啓発推進指針」と題する文書を各都道府県知事・各指定都市市長に通知した。総務庁はこの文書の中で、啓発の主要な目的は「同和関係者に対する差別意識の解消」と「同和関係者の自立向上精神のかん養」にあるとし、六一年の意見具申で指摘された「四つの課題の実現のためには、積極的な啓発が必要である」と強調した。
  この文書では、四つの課題の克服に関連して、差別事件の処理の在り方を具体的に示した。すなわち「差別事件を起こしたと指摘された個人、企業は、法務省設置法により権限を付与された法務省人権擁護局並びに地方法務局の人権擁護(部)課(以下「人権擁護行政機関」という。)の人権侵犯事件調査処理規定(昭和五十九年八月三十一日法務省権調訓第三百八十三号)に基づいた事件処理等に従うことが法の趣旨に忠実である」というのである。
 そして、他方で「今一つのみちとしては、全く任意に民間運動団体の主催する確認会、糾弾会に出席することが考えられる」としながらも、「理想的な確認・糾弾会が開かれることは、これまで皆無に近かった。前述の法の定めるところに従った人権擁護行政機関の事件処理によることが適当であるとされるゆえんである」と述べている。
  さらに、確認・糾弾会に公務員たる教育委員会職員や公立学校の教師が出席することについては、次のように戒めている。「憲法の趣旨に従い、法を率先して遵守すべき国又は地方公共団体の職員が確認・糾弾の場に出席し、差別事件の処理を私的制裁にゆだねるがごとき印象を一般国民に与えていることは、行政職員として好ましくないことである。さらには、確認・糾弾については、民間運動団体の間にも厳しい批判があるところであり、このような場に行政職員が出席することは、行政の中立性の要請からみても、望ましくないことは明らかである。行政職員が憲法の趣旨に忠実な法の遵守と中立性の堅持を第一義とすることなく啓発を行っても、国民の心からの受容を期待し難いのは当然である。行政が姿勢を正さずして、真の啓発はあり得ない。」
  また、学校現場で差別発言などがあった場合についても、次のように述べている。「児童・生徒の差別発言は、先生から注意を与え、皆が間違いを正し合うことで十分である。差別事件に限らず、どのような場合にも教育の場へ民間運動団体の圧力等を持ち込まないよう、団体は自粛することが望ましい。団体の自粛がない場合には、教育委員会及び学校は、断固その圧力等を排除すべきである。部会報告にもあるとおり、団体の行為が違法行為に該当するときは、警察の協力を求めることが重要である。」
  つけ加えれば、同和教育についても次のように釘を刺している。「民間運動団体の運動目標等をそのまま行政の行う啓発素材として取り入れているものが一部の地方公共団体の啓発にみられるが、行政の主体性の確立の観点から自粛すべきである。」
  さて、四つの課題の克服は、その後も「地対協」の意見具申で繰り返し強調され、平成八年七月の「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」と題する閣議決定に盛り込まれた。その後、平成九年に「地対協」が廃止され、同和対策の主体は人権擁護推進審議会へと移された。これは同和問題だけを特別視せず、人権問題の一つという観点から総合的に解決していこうとの考えの反映のようである。しかし、そうは言っても、同和問題の解決が「国民的課題」であることに変わりはない。特に我が三重県はその解決に力を注いでいる。したがって、同和問題解決に対する政府の考え方が周知され、自由な意見交換を経て形成された合意の上に解決されていくことを望みたい。なお、基本的な資料集として総務庁長官官房地域改善対策室編『同和問題の早期解決に向けて』(中央法規)があることを付け加えておく。
 
「月曜評論」平成12年3月号より転載
 
月曜寸言
 
久保教授解任騒動の怪

  呆れた勝田吉太郎学長の言動
 
今年1月17日、三重県にある鈴鹿国際大学(学長勝田吉太郎) に勤務する久保憲一教授が解任され、学園本部事務職員に更迭された事件 (その後教授職と兼務の辞令出るも、未だに教授会出席や講義は許されず)は、奇々怪々なものであつた。
 
 解任理由は、「公的機関である三重県人権センターに対する誹謗ともとられかねない発言などが、学園の名誉と品位を害し、生徒・学生の募集に悪影響を及ぼし、関係諸機関との信頼関係を著しく失墜させるものであつた」のださうである(2月25日付『三重タイムズ』)。
 しかし、久保教授同人権センターの偏向振りを指摘しただけで、どうしてこれが「学園の名誉と品位を害し、生徒・学生の募集に悪影響を及ぼし、関係諸機関との信頼関係を著しく失墜させる」ことになるのか、筆者には不可解至極である。
 
『正論』4月号でも編集部の上島嘉郎氏がこの問題を取り上げてゐるが、(「校長が自殺し、教授が解任される!」)、「憶測」を避けて慎重な姿勢で書かれてゐるため、今ひとつ問題が見えてこない憾みが残る。確かに部落解放同盟並びに三重教組とこの問題の関わりについては、未だにはつきりしないことが多い。ただ一つはつきりしてゐることは、理事長以下、学園側が「廃校の危機」に戦々兢々とし、勝田学長また何者かに怯えきつてゐることである。
 例えば、昨年11月29日に久保教授に語つたといふ学長の言葉など、その典型であらう。
「大変なことをしてくれたね。問題になつてゐるんだよ。君、部落問題は本当に恐いんだよ。彼らが大学に押しかけてきたらどうするのかね。その時は君に責任をとつてもらうしかない」(前掲『三重タイムズ』)
 
 たまたま筆者は、渦中の久保憲一教授とは知らない仲ではないので、事件の実際の経緯を詳しく聞いてみた。するとおどろくべし、勝田学長の醜聞が次々に口をついで出るではないか。
 故高坂正堯氏とは犬猿の仲で、京都大学教授時代には、氏の博士号取得を悉く妨害したこと、「来る者は拒まず」で、研究室は左翼の溜まり場になつてゐたこと。
 それでも勝田氏は、久保氏のことだけは可愛がり、二人は学内に「さざれ石」の庭園を造るべく、一緒に台湾まで出かけたほどの仲である。同志とばかり思つてゐた学長の掌を返すような仕打ちに、「長い人生の中で初めて人に裏切られたといふ実感を味はつた」と、氏はしみじみ述懐してゐた。
 
 それにしても勝田氏と言へば、いやしくも保守的知識人の代表ではないか。信じられぬ思ひで知り合いの皇學館大学の先生に聞いてみると、彼一言の下に曰く、「勝田なんて偽物ですよ。営業保守。教え子には『僕は本当は右でも左でもいいんだ』と言っていたらしいですよ。そのくせ年賀状には『部落のことを恐れて誰も言はないけど、誰か言ふ勇気のある奴はゐないのか』と書いて寄越すんですからね。」
 私「だから久保先生が言つてくれたぢやないか」
 彼「いや、自分には迷惑が掛からないやうに言つてくれつてことでしょ。」
 いやはや、呆れて物が言へないとはこのことである。      (勝)
 
 
日本時事評論(平成12年3月17日付)
 
      教授解任は大学の自殺行為
解放同盟の影に怯えて学問の自由も放棄
                                                       
  鈴鹿国際大
 
 学問の自由と共に表現や言論、思想の自由を最も尊ばなければならない大学で、これらを踏みにじる教授解任事件が発生した。この処分は不当なものであり、直ちに取り消さなければ、大学の存在基盤すら失いかねない重大問題だ。同時に、この解任劇には憲法が保障している自由権の問題だけでなく、部落解放同盟批判がタブー化されるという教育現場が抱える特有の病理が見える。解放同盟に怯えるのを止めるべきだ。
 

 
処分は不当
 
 解任されたのは、鈴鹿国際大学(三重県鈴鹿市、勝田吉太郎学長)の久保憲一・国際学部教授で、解任したのは、同大学を経営する学校法人享栄学園(本部・名古屋市、堀敬文理事長)。
 今年の一月十七日に久保教授の教授職を解任し、学園本部付事務職員に降格したのが処分内容だが、その理由として、@平成十一年十一月五日付「三重タイムズ」紙上で、鈴鹿国際大学教授の肩書きにおいて行った発言、A東条英機に関する映画の鑑賞を強要するかのような指導など、これまでの講義方法、B公的機関である三重県人権センターに対する誹謗ともとられかねない発言、を挙げている。
 @の肩書きの問題は、教授がそれぞれの大学名を名乗って、意見、見解を述べるのは、日常的に行われている。発言内容が名誉毀損などの犯罪行為でない限り、表現の自由として許されている。
 しかも、今回の発言は、「歴史認識の見直し気運高まる」「史観の押しつけが問題」 「先人の功罪を正しく評」などの三重タイムズの見出しでも分かるように、比較政治の研究者にとって避けて通れない問題に関する発言であり、学問的信念に基づく見解を示すことは、学者としての責務で何ら問題とはならない。
 要するにBで問題とされている発言以外に、発言内容で争うところはないのである。
Aについては学校側の事実誤認であり、鑑賞した学生が一割程度だったことからも、強要は行われていない。
 また、仮に強要であったとしても、議題にどのような教材を使うかは教授の専権事項であり、講義方法としては何ら問題にならない。
 

 発言に問題なし
 
 問題点はBに集約される。 三重タイムズでの発言は、「三重県人権センターを調査されたようですがどのような問題点がありました」との問いに対して、久保教授は「想像以上にひどいものでした。人権センターといってもほとんどが部落問題で占められている。あとの二割ほどが反日、自虐史ですね。どういう子どもや日本人を育てようとしているのか疑問を感じるような施設です。このセンターで真面目に勉強する子どもがいたら、将来が本当に心配になります。このような施設を公費で建設したこと自体疑問ですね」と答えている。
 これが、「誹誇ともとられかねない発言」に該当しないのは明らかだ。
 誹謗とは、他人を悪く言ったり、けなしたりすることであり、公的な施設の展示内容に対する批判は、誹謗という次元の問題ではない。
 公的施設の展示内容、とりわけ小、中学生が見学する教育的施設の展示内容について、批判し、改善を求めるのは、国民の権利であり、教育者には責務とも言える。
 ましてや、人権センターの責任者などから、具体的な抗議もないのに、どうして問題となるのか。
久保教授の発言が処分対象となり得ないのは明らかだ。
 

 堂々と議論を
 
 それではなぜ、享栄学園は久保教授に対して、教授職解任という厳しい処分を行ったのであろうか。
 それは、堀副理事長や勝田学長の発言などにその真意が現れている。
 人権センター批判が、同和問題批判というより部落解放同盟批判と受け止められかねないからだ。
部落解放同盟が圧倒的に強い三重県では、今回の久保発言を解放同盟が「差別」と断定し、糾弾ということになったら、大学が混乱して大変だ、と学園側は恐れた。
 久保教授、個人の糾弾にとどまらず、学園が対象となり、幹部も同和研修を義務付けられるなど、学園全体が巻き込まれてしまうことを懸念したのであろう。
 しかも、小中高の教職員がほぼ一〇〇%近く加入している三重県教職員組合は、解放同盟と連帯しているというより、同和問題においては下部機関的な役割を果たしているので、解放同盟から抗議されることは、三重教組を敵にするに等しい。
 そうなれば、生徒募集にも影響がでて、学校の存続にも関わると怯えたことが、真の理由と推測できる。
 実際に何らかの接触、そうした示唆があったらしい。
 しかし、今回の対応は学問の府である大学として、行ってはならないことだ。真理を追究するには、既存の真理と認められているものにまで疑問、批判の日を向けることが不可欠であり、そのことは政治、経済、宗教を問わず、既成の権力に対する批判的言論となる。
タプーなき言論が、学問の進歩にとって重要だからこそ学問の自由が保障され、大学の自治が尊重されている。
学問の自由、表現の自由、言論の自由を制約することは、大学の存在そのものの否定になりかねないのである。
 解放同盟から抗議があれば、公開の場で同和問題を論じることこそ、大学の役割である。
 鈴鹿国際大学は、直ちに処分を取り消すべきである。
 

 タブ―を排除
 
今回の事件の背景には、教育関係者が解放同盟を怖がっていることがある。
 ようやく解放同盟の名称が新聞紙上で見られるようになったが、やはり直接的な解放同盟批判はタブーに近い。
 教育現場では、差別問題は解放同盟の専決事項であり、その決定に従うしかないのが現状だ。
 学校が主体性を失い、被差別者を絶対的善として、一切の批判が許されないことが、差別問題を歪め、同和問題の解決を困難にしている。
 そのために、全国各地の人権センターの運営や展示内容の批判すらできないのが実情である。
 久保教授は勇気を持ってタブーに挑戦したのであり、ここで不当な処分が容認されれば、同和問題の解決すら遠ざかってしまう。
今回の事件で明らかなように、すべての教育関係者が、解放同盟をいたずらに怖がるのを止めなければ、教育正常化はできない


三重タイムズ3月31日号「1面トップ記事」

●前例ない任意団体入居  三重県人権センターの実態に迫る
事務局には教員派遣  「公共性高い」なら情報公開を

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 三重県の県立施設に任意団体が入居し、事業費補助のほか施設使用料補助まで受けていたことが本紙の調査で判明した。この施設は津市にある三重県人権センター。任団体は三重県同和教育研究協議会(三同教)など四団体。県立施設に任意団体が入居することは前例がない。しかも任意団体に公立学校の現職教員が長期にわたって派遣されることもほかに例がない。多額の県費を支給されながら、三同教などはこれまで県民に対して情報公開をまったくしていない。鈴鹿国際大学久保憲一教授がなぜ教授職を解任されたのか。久保教授が批判した人権センターに、その原因のひとつがあるのではないか。人権センターの実態に迫ってみた。
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 今月初め人権センターの馬場所長らに取材した。なぜ三同教が県の施設に入居しているのかとの質問に、馬場所長は「教員の団体で公共性が高い。人権センターと一体になって活動している。使用料はもらっている。契約は一年更新となっている」とした。
 契約書には、地方自治法第二三八条の四第四項の規定に基づいて、五二・九六平方メートルの使用を許可するとなっている。これは人権センター二階の三同教事務局室で、年間の使用料は二百十一万八千四百二十九円。
 男女共生や障害者の社会参加、外国人、高齢者、虐待問題など、教員らがメンバーに入っている人権関係団体は多くある。NPO法人などと比べて、三同教がどれだけ公共性が高いのか。地方自治法に基づいて使用させているというが、ほかの任意団体にも使用させている例があるのか。
 本紙の質問に馬場所長は、「同和差別はまだ存在している。国の重要課題だ」「三同教以外の任意団体には使用させていない」と答えたが、本紙の調査で
人権問題研究所と三重県解放保育研究会、IMADR(反差別国際運動)という、同和に関係した三つの任意団体が人権センターに入居していることが分かっている。
 人権センターは、平成八年十一月にオープン。三階建て。県財政の悪化で、県立博物館構想などいわゆる“箱物”の建設がすべて抑制されているなか、人権センターが建てられた。三同教など四つの任意団体は人権センターのオープンと同時に入居。図書室を除く二階部分を占拠している。
 また、三同教などには現職の公立学校の教員が事務局員として派遣されている。三同教の桑原成壽事務局長(小学校教諭)は「教育公務員特例法第二十条(教特法)で派遣されている。派遣されている教員は九人。派遣期間は九年が一人、六年が一人、二年から五年が五人、一年が二人だ」と答えた。 
 教特法の主旨は、教員の資質の向上と研修の成果を現場の教育(児童・生徒)に還元することにある。派遣期間についても大学院で二年、大学や企業などで一年、ほかは三カ月から六カ月となっているが、任意団体への派遣は、人権センターに入居している四団体以外に例がないという。
 この点について桑原事務局長は「九年や六年というのは確かに長いと思う」としたものの、明確な答えはなかった。
 三同教は昭和二十八年に設立。人権センター入居前は、三重県教育文化会館などに入っていたという。県下六十九市町村に同和教育研究会(同研)を持っている。同研の会員は校長や教員だが、同和教育推進教員が実質的な役割を果たしている。  
三同教の主な事業は、研修会や研究会、出版、機関紙「三重の同和教育」の発行などとなっている。役員は九人。元校長の葛山博次委員長のほか、元校長、教員ら七人と部落解放同盟三重県連合会森下勝幸委員長が副委員長となっている。
 三同教問題については取材を進めるほど、県の特例的優遇的な措置が目につく。 「公共性が高い」と人権センターの馬場所長はいうが、それだけ公共性の高い三同教事務局の電話番号が、なぜ電話帳に掲載(公表)されていないのか。本紙が求めた、
総会資料や役員名簿、決算報告の提出をなぜ拒否するのか。ほかのNPO法人などと比べて、どれだけ公共性が高いといえるのかなど明確ではない。
 それとも“同和”と名がつけば無条件に特例扱いとなるのか。 
 教員の派遣についても、「研修制度の名目を使って、三同教の事務局に(事務員として)教員を派遣しているのが実態だ。教特法を拡大解釈してきたといえる。是正すべき点は是正していきたい」(県教育委員会)など、問題点は多い。 
 三同教事務局員九人の内訳は、六人が市町村学校教員、三人が県立学校教員となっている。これらの教員は任意団体の事務局の仕事をしながら、給料はすべて税金で賄われている。
 本紙の調査で、人権センターの一階には県の分室や出先機関が入居しているが、二階はすべて任意団体が入居。しかも三階の会議室は、任意団体が無料で自由に使用するなど、県立施設としてのあり方が問われる内容となっている。  


■三重タイムズ3月31日号「読者の声」

●人権センターも討議の対象に

 人権センターは県民の税金で作られ運営されている。長崎の戦争資料館、ピース大阪、東京の平和祈念館など偏向性が指摘され、活発な論議が交わされた。三重県の人権センターも公的機関であるならば、広く県民の声を聞き入れ、自由な討議の対象とされてもよいと思う。
 久保事件によって、議論すらも封じ込めようとする企みをはらんでいるなら許しがたいことだ。久保教授には復職願い、今後も県民を指導する立場でのご活躍を願っている。 一県民

●他人事でない久保教授事件
 
   享栄学園と勝田吉太郎鈴鹿国際大学長には呆れはてました。こんな人物が保守派(信念ある自由主義者)を、自称し得たことは情けない限りです。 私も北朝鮮の拉致問題の会を福岡で立ち上げた途端に、総連がやってきて抗議され、学長から注意を受けるということがありました。他人事ではありません。 大学教員


●久保教授の名誉回復を

 久保憲一教授を支援します。享栄学園に抗議し、久保教授の名誉回復を強く求めます。名誉と品位を害しているのは一体誰でしょうか。いまこそ我が国は自主・自尊を回復しなければなりません。「久保教授を支援する会」のご奮闘を祈ります。 山口
県山口市・上田俊成





『三重タイムズ』平成12年3月31日

県教委の姿勢を問う
                                                皇學館大學文学部助教授・
新田均
  県教育委員長の答弁に疑義あり

 『伊勢新聞』によれば、三月九日の県議会において、作野史朗教育委員長は、部落解放同盟が行う糾弾学習会についての真弓俊郎県議(共産党)の質問に答えて「教職員が同和教育を推進するため、差別の現実に深く学ぶことは何よりも重要なことと考える。その一つの方法として、糾弾学習会から学ぶこともあるので
はないかと考える」と述べて、行政職員(含む教師)の糾弾会・確認会への出席を一部容認したという。前回本紙で政府の同和問題解決についての方針を紹介したので、まず、作野教育委員長に質問と提案をしておきたい。
 一、作野教育委員長は行政の中立性の確保の重要性をどのように考えているか。「地対協」の見解に異議があるのか、あるならば、それを明確にした上で、啓発指針の訂正を総務庁に申し入れるべきではないか。それをしないで、運用段階で無視ないし骨抜きにするのは行政にあるまじき行為なのではないか。
  二、松坂商業高校の差別事件に関して、県教委は二十数回の調査を行ったという。それでもなお民間運動団体の力をかりなければならない(「糾弾学習会から学ぶことがある」)と言うのは、県教委の能力を信用していないと委員長自身が告白しているようなものである。それならば、委員長はすみやかな人事刷新の断行を提案すべきではないか。

  教育委員会の人員構成について

  さて、昨年末から今年二月までの県議会でのやりとりを通じて、教育委員会事務局には多数の教員出身者がおり、中には教育委員会に来てからも職員団体の構成員である者もいるという実態が明らかになった。また、県教委職員の四五パーセントが教員出身者で占められており、中には職員団体の幹部経験者も含まれて
いるという事実も指摘された。
 このような実態について、浜田耕司県議は、本年二月二一日の行政改革調査特別委員会において「教育委員会事務局に入る時には職員団体をやめるシステムにしてはどうか」と提案した。これに対して、中林正彦県教育長は「教育委員会の職務を第一とすることは言うまでもないが、やめるシステムにするのはむずかしい」と答えた。思うに、教育長の答えは、地方公務員法第五六条に、職員団体の構成員であることによって不利益な取扱を受けてはならない旨の規定があることを根拠にしているのであろう。

  管理職員等は職員団体に入れない

 この私の推測が正しいとすれば、教育長は同じく地公法の第五二条第三項に次のような規定があることを見落としているのではなかろうか。「重要な行政上の決定を行う職員、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限をもつ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒
若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが職員団体の構成員としての誠意と責任とに直接抵触すると認められる監督的地位にある職員その他職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員(以下「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができず、管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織する団体は、この法律にいう「職員団体」ではない。」
  この規定の趣旨は、教職員を管理する立場にある者は、管理される立場にある教職員が組織する職員団体の構成員となることは出来ない、というにある。簡単に言えば、「管理職になったら職員団体をやめなければならない」という規定である。
  このようなことが法律で決められている理由はいくつかある。まず、「労使相互不介入の原則」が存在する。また、地公法第三四条によって「職員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と定められている。さらに、管理職と、管理職に対して職員の利益を擁護すべき職員団体の構成員とを兼ねることは、職務上の立場と団体構成員としての立場との間で葛藤を生じ、どちらかの立場に対して不誠実とならざるをえない状態に陥る可能性が高いことなどである。

  教育委員会は組織全体が管理機関

 ところで、一般には、地公法にいう「管理職員等」は、校長(園長)、教頭、盲・聾・養学校の部主事、事務長などを指すと解説されている。この解説に従えば「教育委員会の中でも同一の職員団体を構成できないのは一部の管理職だけ」という解釈が成り立ちそうだが、果たしてそうだろうか。  というのは、教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二三条によって、その組織全体が公立学校の管理運営に当たる機関とされているからである。組織自体が管理機関だとすれば、教育委員会の構成員は、その組織内の地位の上下にかかわらず、「管理職員等」に含まれるとするのが法理であろう。したがって、教育委員会に入った者が職員団体の構成員を兼ねられないのは、校長や教頭が職員団体の構成員を兼ねられないのと同じ理屈である。もしこれが無視されているとすれば、職員団体としての認可の取り消しに至るほどの大問題である。

  人事構成の弊害は明白

 次に、職員団体の元幹部が教育委員会に入っているという問題であるが、これは倫理常識の観点から判断されるべき問題だと思う。昨日まで職員団体の幹部として当局との対決の先頭に立っていたものが、一片の辞令によって、今度は当局の側に立つ。こんな人物を、職員団体にしろ、教委側にしろ、指導者に任命できるものだろうか。そこで、私は管理職への道と、職員団体の幹部への道とは、明確に区別して、どちらを選ぶかは教員一人一人の判断に委ねるというのが妥当なのではないかと思う。
  ところで、三月二日の県議会本会議において、森本繁史県議(自民党、熊野市)は教育委員会の事務局に教員出身者が多いことを問題にして、「教育委員会の主体性を守るために人員構成の比率を変えてはどうか」という趣旨の提案を行った。これに対して、中林県教育長は、「職種の専門性や職場との連携も考える必要がある」として、この提案の採用に難色を示した。
 教育委員会事務局に教員出身者が多いのは単なる「慣例」であって、法的に義務づけられているわけではない。この「慣例」の意味を、中林県教育長は「職種の専門性と職場との連携の必要性」と説明した。それがどんなプラスの具体的事実を指しているのか私はしらない。私が知っているのは、その専門性と連携とは、三教組の不正を正すのに何の役にもたたなかった、むしろそれを隠蔽する方向で機能した、ということである。
 三教組の不正に対する追及は常に外部から提起された。そのたびに県教委は「知らなかった」と答え、「本当に知らなかったのか」と追及されると「知らないものは知りません」と開き直ってきた。この答弁の真偽は知らない。ただ、「知っていて隠していた」とすれば「不正」であり、「知らなかった」とすれば「無能」である。いずれにしろ、癒着に起因する不正に対して、現場との連携は無力ないし有害であることだけは確かなようだ。
  教育委員会と学校現場との人事交流の中で、特に問題なのは、教委から現場への流れであろう。教委から現場に帰ることを運命づけられている人間が、現場を厳しく監督できようはずがない。帰る場所で嫌われたくないのは、誰にでも容易に理解できる心理である。ならば、県教委と現場とをできる限り分離するしかない。それでは、現場の実状がつかめないというのであれば、「現場から教委への流れは認めて、教委から現場へという流れは遮断する」、あるいは「事務局ではなく、教育委員に教師経験者を任命する」などの対策も考えられよう。とにかく、けじめのない円滑さこそ癒着・腐敗の温床であることを肝に銘ずるべきである。



新しい歴史教科書をつくる会会報『史』19号、平成12年3月

「三重の教育正常化運動ー私たちの考え方ー」
                                              皇學館大學文学部助教授・新田均
 なぜ三重県では、新しい歴史教科書の普及を目的とする「つくる会」支部の会員たちが、日教組(三重県では三重県教職員組合を略して「三教組」という)の活動を正面から批判し、その是正を求める運動に立ち上がったのか、また、この運動と教科書の採択とはどのように関係しているのか。
 教科書採択に向けた取り組みを、三重県教育界の状況の調査からはじめた私たちが得た結論は「このままでは採択運動をやってもムダ」というものだった。日教組が反日自虐を本質としていることは周知のことであるが、三重県教育界は思想的にも、また物理的にも三教組の完璧な支配下にあることが分ったからである。幼稚園から高校まで一つの組織で束ねられている日教組は、全国でも三重県だけである。組織率は九八パーセントで全国第一位、構成員一万数千人、年間の収入は組合費だけで約十二億円。この巨大な組織力を背景に、三教組は三重県教育界を完全に牛耳ってきた。
  完璧な自給自足体制を整え、その中で安逸をむさぼっている城塞都市の外で、いくら正論を叫んでみても何の効果も期待できない。ならば、やるべきことは何か。この体制の堅固さの理由を解明し、そこに風穴をあけ、新しい風を入れる以外にない。そう考えた私たちは、三教組支配の秘密を明らかにすべく研究を進めた。

    勤務時間中の不正な組合活動

  その結果、まず分ったことは、三教組の強さの秘密の一つは「公の時間に公の資金を使って自由に活動できること」にある、ということだった。「労働慣行」の名の下に勤務時間中の組合活動が黙認されている結果、二百人以上の教師が毎日午後、正規の給与を受け取りつつ、組合活動に専念してきた(この中には、人権教育に名をかりた反日自虐教育のための資料づくりや研修も当然含まれている)。
  もしこれが「私の時間に私の資金を使って行う」状態になったらどうなるか。「勤務時間外に、自分の時間を犠牲にして職員団体のために働け」と言われたら、組合の活動力は大幅に減少するだろう。しかも、それこそが法に則った正常な状態なのだ。そこで、私たちは、勤務時間中の不正な組合活動の実態を指摘し、それを止めさせることから運動をはじめた。この作戦は予想以上の効果を上げ、中林正彦県教育長の通知により、平成十一年十一月二十四日以降、数十年続いた勤務時間中の組合活動が、全県下の教育現場から姿を消した。
 その後、勤務時間中の組合活動の実態が過去三年にさかのぼって調査され、その結果が平成十二年二月二十一日に公表された。不正な組合活動に参加していた教職員数は延べ三二、○六四名で、調査対象者全体の実に六六・三パーセントに当たり、総時間数はなんと六七九、四二二時間にも達していた。県教委は、このような不正な勤務実態を黙認してきたとして、県教育長以下九七名を処分するとともに(これには小中学校の校長などが含まれておらず、最終的な処分者の数は八百名近くになるものと予想されている)、勤務時間中の組合活動は「給与返還の対象となる」として、今後、三、四カ月をかけて返還金額と返還方法を確定すると決定した。

    人事権の掌握

  三教組の強さの秘密の第二は、教育委員会との間でさまざまな「申し合わせ事項」や「慣行」を作り上げることによって、実質的に人事権を掌握してきたことにある(むろん、これは地方公務員法違反である)。
 例えば、「同一校三年以内の勤務および五五才以上の教員は異動無し」「同一校三〜七年勤務の者の異動には本人の同意を要する」(高校)などいった申し合わせ事項や、「異動の希望や内示に対する苦情は組合が集約して教育事務所と交渉する」といった慣行によって、三教組は、組合員の教師を「ぬるま湯づけ」にしてきた。
 他方で「教頭の人事は現場教員の推薦によって行う」といった慣行を定着させて、組合員以外の教師は「一生ヒラ」の状態におき、組合に媚びを売る者しか昇進出来ないようにしてきた。まさに「飴と鞭」である。『正論』(平成十一年十月号)で三教組批判を行った渡邊毅氏は非組合員である。彼は障害児教育で素晴らしい成果を上げ、それは三教組でさえ認めるところであるが、それでも三重県では「一生ヒラ」を運命づけられている。採用時に組合加入を拒否した時点で、彼はそのことを覚悟していたという。
 私たちが問題にした勤務評定「オールB・開示」は、実は、この点に大きく関係している。つまり、勤務評定一律「オールB・開示」ということは、正規の勤務については何ら評価がなされず、人事や給与にも反映されないにもかかわらず、その裏側では、組合活動に対する忠誠の程度によって、しっかりと査定が行われているということなのである。
 組合のもっている人事上の特権の一つに、教科書採択委員がある。現在三重県では九つの採択ブロックのうち八つのブロックで「大阪書籍」の社会科教科書が採択されているが、この採択を実質的に行っているのが三教組の幹部であるらしいことが、情報公開によって開示された資料から判明しつつある。
 このような三教組による人事介入は、すでに県議会で問題とされ、中林県教育長はその是正を明言した。しかし、「申し合わせ事項」や「慣行」の全体像が依然として不明であるため、どの程度の是正が行われるのかもまた、不明確である。したがって、私たちは是正の前提として、これに関する全般的な調査と情報の公開を要望していきたいと考えている。

    研修権の掌握

 三教組の強さの秘密の第三は、教員研修を完全に支配していることである。ある三教組支部の資料によれば、教育委員会が行う研修は「官制研」と呼ばれ、これについては三教組と県教委との間で「事前協議で基本的合意を得て開催する」申し合わせになっている。要するに「県教委は三教組の意向に添った研修しか行うことが出来ない」のである。
 またこれとは別に、三教組は、校内研修、地域研修、全県研修、全国研修と、どこまでいっても教員が三教組の思想圏から出られないように閉鎖的な研修体制を敷いている。例えば、地域研修についていえば、教育研究会や教育研究協議会といった組織をつくり、そこに校長会や教頭会ばかりでなく、市町村まで巻き込むことによって排他的な研修体制を構築しているのである。職員団体は研修に関して法的には何ら特権を与えられていない。にもかかわらず、公的機関を巻き込むことによって、独善的な研修体制を構築し、採用から停年まで、教師を思想的に「三教組サティアン」の中から一歩も出られないようにし、マインド・コントロールしてきたのである。
 研修の問題については、ようやく県教委が「問題あり」と認めた段階で、まだ、改革の目途はたっていない。これについては、今後、県民の問題意識を高めていきたいと思う。
 要するに、私たちがやろうとしていることは、「教育界で法がそのまま実行されるようにする」という一語に尽きる。回り道のように見えるかもしれないが、「良い果実を得るためには良い樹木を育てねばならない」というのが、私たちの基本的な考え方である。教育に関する様々な「法」が遵守されるようになれば、その時こそ、三重県でも新しい歴史教科書が採択される可能性が生まれる、と私たちは考えているのである。


三重タイムズ4月7日号掲載
 
「寄稿」

● 組合活動の弊害について
   県立学校教員  木戸口 良樹

 勤務時間内の組合活動に関しての問題が表面化し、広く一般に認識されるように
なってきたことは、正常な教育活動を進める上で評価されるものです。しかし問題は決してそれだけにとどまるものではありません。実際に教育現場においては、学校運営上より深刻な問題が存在します。
 例年二月、三月の年度末になると教職員の人事異動があります。打診、内示、辞令という手順を踏むわけですが、三月の内示が発表されたその直後に、間髪をおかずに校内や支部役員の選出が行われます。
 この時期に組合役員の選出が行われることの弊害は大きい。なぜなら、この時点での校内の人事に関しては、何の決定もされていないからです。つまり、まるで白紙のところに組合の手が最初に入ることになるからです。
 組合活動に要する人員は一般的に、各学校では分会長、副分会長、書記、人事対策委員、青年部、さらに年によっては支部の執行委員などが当番として指定されます。
現在まで慣行として組合の役職に就くものには、クラス担任、校務分掌の長などを外れることになっています。これには負担の軽減という意味があります。
 実際に年度末に行われる組合役員選出では、立候補するものは皆無に近く、長時間、何日もかけて最終的に根負けするものを選出しているのが実態です。
 このような状態では何らかの特典が絶対に必要になると思います。しかしここに大きな問題があります。特典をつけなければ役員の選出は難しい。けれども実際にその特典を行使されると、自分たちの首をしめることになってしまいます。
 学校には生徒数に対する教員数、つまり定数があります。この規模の学校ではこの数の教員が適当であると県教委が定めます。当然のことですが生徒数が少ないと、教員数も少ない。けれども教員数に関係なく選出すべき組合役員数は、ほぼ一定になっています。
 生徒数の減少が目立ちはじめた現在、この慣行がもたらす弊害は実に大きい。端的にいえば、定数以下の教員数で学校運営をすることになってしまいます。このことは同時に、さまざまな問題の発生を促す要因になります。
 このような実態を毎年経験すると、一体何のための組合なのかということになります。組合員である前に教員であるという、ごく単純な事実が忘れ去られてしまっていると思います。適正な学校運営を行うためには、あくまで任意の団体である教職員組合を離脱することが望ましいと思います。そして一般的で常識的な組合を再構築することが最善の方法だと思います。
 労働組合の意義は決して否定されるものではありません。一部の良識ある組合員の中から、この問題に対する真摯な発言が聞かれるようになってきました。けれども、旧態依然たる教職員組合の一員である限り、また大幅な組織改革が行われない限り
、長年続いてきた悪習から逃れることはできないと思います。
 唯一、現時点でできることは、組合活動の行き過ぎ、矛盾、悪習を指摘することで組織
の自浄作用に期待することです。

■三重タイムズ4月7日号掲載
 「日々想々」

続・三重の公教育を憂う?
県教委は「研修」を精査せよ
   皇學館大學文学部助教授  新田 均

●三教組も認める「不正研修」の存在
 二月二一日、県教委は勤務時間中の職員団体(三教組)のための活動に関する実態調査の結果を発表した。その結果、不正な教組活動が三年間で六八万時間近くあることが明かとなり、この是正を怠ってきたとして、教育長以下九七人が処分され、最終的な処分者の数は八〜九百名、返還金額も一六億円近くにのぼると予想されている。
 県教委の努力に敬意を表したいが、今回の勤務実態調査では、何故か、教員の「研修」は調査対象とされなかった。ところが、学校現場において「不正研修」とでも言うべき  「慣行」が行われていることは、三教組自身が認めている。平成一二年三月一○日の『三重県教組新聞』(号外)には、次のように記されている。
 「わたしたちは教育界内部でのみ認知されてきた『慣行』をこれからも維持していくべきだとは考えません。『研修』という名のもとに別の活動をしていたり、実態として八時間勤務になっていないところ等については早急に反省をし、『慣行』に甘えてきた意識も改めていかなければなりません」。
 また、ある三教組支部の文書によれば、勤務時間中の教組活動を禁じられた結果、不足する活動時間を補うために、各地域の教育研究会の学習会を利用するという計画が進められているようだ。
 このような事実に基づいて、教員研修の実態を調査し、不正なものについては処罰と給与返還を行い、再び不正が行われないように監督することを県教委に要望した。
い。
●研修体制の改革を
 これまでの教員研修が三教組主導でおこなわれてきた実態は、すでに県議会で明らかにされている。ある三教組支部の議案書には「初任者研修制度の形骸化」をはかるとか、「三重県での官制研は三教組と県教委の確認により、事前協議で基本的合意を得て開催することを定着させています」などと記されている。
 これらの文書によって、県教委の行う研修が全く骨抜きにされていた実態が明らかにされた。
 他方で、三教組は、校内研修、地域研修、全県研修、全国研修という一貫した独自の研修体制を構築し、この中に教員を閉じこめることによって、三教組以外のものの見方、考え方に接する機会を奪ってきた。教員を「三教組サティアン」の思想圏に閉じこめてきたといえるだろう。
 この一貫した研修体制の中で特に問題なのは、各地域の教育研究会である。各市町村や校長会・教頭会は、この組織に加入することによって、研修に関しては本来何の権限もない職員団体が、公的な装いで排他的な研修組織を築き上げる手助けをしてきた。このような下部組織が存在する限り、多様な研修に教員が自由に参加することは事実上不可能である。
 したがって、市町村や校長会は、このような組織から手を引き、多様な研修組織の自由競争が行われるようにすべきだと思う。
 県教委は「総合教育センター」を中心として、研修体制を再構築することを考えているようだが、この組織も今のところ教員出身者が中心のようだ。人員構成の再検討が行われなければ「いつか来た道」になりかねないと危惧される。
  付け加えれば、教員が各種の研修に参加する場合、その研修の内容が「学習指導要領」に沿ったものであるべきことは言うまでもない。教育委員会や校長は、この点に特に留意していただきたい。
 また県教育長が三教組をめぐる不正を反省して、地方公務員法などの関係法規に関する研修を行うと述べたことは評価できるが、さらに、同和問題の解決という観点から昭和六一年の地域改善対策協議会の意見具申や六二年の地域改善対策啓発指針などの公文書に関する研修を、教育関係者はもちろん、県職員全体に対して実施すること
を要望しておきたい。
●公教育についての「観」の転換を
 三月二の県議会において櫻井義之県議(県政会)は「公教育の役割とは何か」と、中林県教育長に質した。これに対して、教育長は「教育の機会均等、多様なニーズへの対応、地域格差の是正」などと答えた。一応もっともな回答に聞こえるが果たしてそうだろうか。
 教育長の答え通りであるとすれば、公教育は単なる行政サービスの一つにすぎない。単なる行政サービスなら、「費用対効果」の観点から見て、県費持ち出しの少ない私学を主体とし、公立は補完的な立場におく体制に転換すべきである。
 私学には期待できない本質的な役割が公教育にはないのか。もちろん、ある。それは「国民(公民と言い換えてもいい)を育てること」である。そもそも、何故、「義務教育」制度があるのか、何故、国家が教育を強制するのか。それは、民主主義国家は国家を担う自覚をもった「国民」を必要とするからである。「知らしむべからず、
頼らしむべし」の独裁国家や植民地は人民を教育したりなどしない。(共産主義国家における人民に対する「洗脳」は国民教育の名に値しない)。
 こういうと「国家主義」などと言われそうだが、「思想の左右が分かれるのは政府の運営方針についてであって、国を愛する信条や国民の自覚などは思想以前の問題である」というのが世界の常識である。県教委がこのような常識に立ち戻らないかぎり、如何なる研修も「的外れ」のものとなるだろう。
  最後に一言。私たちが三教組の解体を画策しているなどと宣伝している人々がいるようだが、とんでもないデマである。私たちは福利厚生に努める職員団体の解体など考えてはいない。それどころか、会員の福利厚生のために全力をつくす団体になってほしいと心から願っている。私たちが批判してるのは、思想運動や政治運動を行う集団としての三教組である。
 理由は簡単。政治的中立性を強く求められる教育公務員がそのような団体を組織することは「違法」だからである。三教組が正真正銘の「職員団体」になることこそ、私たちの切望なのである。態然たる教職員組合の一員である限り、また大幅な組織改革が行われない限り、長年続いてきた悪習から逃れることは出来ないと思います。
 唯一、現時点でできることは、組合活動の行き過ぎ、矛盾、悪習を指摘することで組織の自浄作用に期待することです。



■三重タイムズ4月7日号掲載「読者の声」

●教え子に対する不当処遇に怒り
 雑誌「正論」四月号を読んでいたところ、三重県教育界についての報道の中に、私の教え子である久保君が大学で不当なる処遇を受けておられるとの記述があり、初めて貴君の現状を知り驚きました。
 同誌によりますと、三重県人権センター展示の件や映画「プライド」の件が書かれていましたが、三重県人権センター展示への貴君のご意見は極めて適切な助言であり、また映画「プライド」について学生に話されたことは、東京裁判を国際法の上で考える一助として、貴君の立場からは当然のことと思います。
 しかるに三教組を恐れ生徒募集に差し支えるとの思惑から、正当な言論を圧迫するという不当な態度に出た享栄学園経営者の卑劣卑屈な態度に怒りを感じます。不当な処遇を受けられた貴君の胸中お察し申し上げます。困難な状況の中におられると推察致しますが、どうか屈することなく頑張って下さい。−匿名希望
● 思想・信条の自由が危機に
 最近「思想・信条の自由」が危機的な状況になっているように思う。鈴鹿国際大学の久保教授しかり、筑波大学の中川八洋教授の講演発言しかり。共通していることは二人とも政治学者だということ。政治学者が発言する場合には、学者としての研究成果を踏まえて発言することは当然のことといえる。これまでの常識を覆す発言になっても何ら不思議ではない。
 問題は「人権を守れ」とか「自由を守れ」という人たちに限って、自分たちと違う主張をする人に対して、言論や表現の自由を認めがらないことだ。今回の久保教授の事件などは、まさに典型的なケースだといえる。私はこれまでタブー視されてきた問題について、考えるきっかけを与えてくれた久保教授の発言を支持したいと思う。−
東京都・安保克也

平成12年4月21日付産経新聞三重版より転載
 
「教育文書公開に努力を」
講師の豊島・三重大学助教授
新条例研修県立高校長らに訴え
 
職員会議録や内申書の情報開示請求などに対応するため二十日、県立高校長と事務長ら約二百人を対象とした「新情報公開条例研修会」が県庁講堂で開かれた。講師を務めた豊島明子・三重大人文学部助教授(行政法担当)は「これまでの県の教育関係者は過度の秘密主義だったが、県民の信頼を得てお互いが透明な関係になるため、情報公開や情報提供の努力を続けるべき」と述べた。
 県の情報公開条例は四月から改正され、私生活などにかかわる特別な個人情報以外ははとんどすべて公開対象になった。
 また、これまで公開対象外だった審議途中のメモや決裁印のない文書も公文書とされ、原則的にすべて公開対象になったため、学校現場でもさまざまな文書や情報が公開対象になっている。
 同時に県内でも職員会議録の開示請求や内申書指導要録、教員採用試験関係文書などの開示請求が増え、今後もますます増えてくることが予想されるため、現場の校長らに情報公開に対する姿勢や現状を把握してもらうため開催した。
 新情報公開条例の解説と意義付けは豊島助教授が説明。豊島助教授は「今回の条例改正は画期的で、これまでは懇談会などの個人名はふせられていたが、今後は職務上であればはぼ公開対象になっていく。また保護者らに学校運営の現状を理解してもらうために開示請求がなくても学校自らが情報を提示していく義務が明記された」としたうえで、「(名古屋市の五千万円恐喝事件など)いじめ問題、教師自身の問題行動など今や教育にかかわる問題は、全国民の関心事。三重でも今後は学校が抱える問題を率直に公開して、保護者らとともに問題を考え解決していくべき。そうすることで信頼も回復するだろうし、保護者らにも自己責任を自覚してもらえる」などと述べた。
 また「私自身の(助教授経験も踏まえて)とかく先生は人を評価することは多いが、人から評価されたり批判されたりすることに慣れていないので、思いきった意識改革が必要。いきなり開かれた学校になることは難しいが、徐々に努力してほしい」とした。
 参加したある校長は「時代の変化を感じるが、公開への努力をしていきたい」と話していた。

 
伊勢新聞平成12年4月23日一面トップ記事より転載       
 
君が代斉唱なぜ100%?
 
全国でほとんど最下位状態だった県下公立学校の国歌斉唱率が、昨年七月国会で日章旗を国旗、君が代を国歌とする「国旗国歌法」が成立した途端、昨年度の卒業式から本年度の入学式と続くこの三、四月の学校行事で急上昇し、ほぼ一〇〇%になった。戦前の軍国教
育から戦後の民主教育へのコペルニクス的転換を、学校現場は再び体現したが、それをめぐる議論は不思議なほど静まりかえっている。(特報郡 岡 正勝)
 
実施率急上昇の背景
 「卒業式、入学式ともに今回は、前に比べて少し楽になりました。職員の国歌斉唱に反対する声も以前に比べて、ちょっと減ったかと思います」。十一日の県立高校入学式。校長は淡々と語る。
 この高校では前年の入学式、日章旗は掲げたものの君が代は斉唱しなかった。校長と各教諭との間で行われた協議で「歴史的な経緯を含め、君が代斉唱に反対するさまざまな意見が出た」というのが当時、君が代を斉唱しなかった理由だ。
 今年は卒業式、入学式ともに壇上に国旗を掲げ、国歌を斉唱した。校長は「公立学校としては法や学習要領、文部省・県教委通達に従い、公式行事で国旗掲揚や国歌斉唱を行うのは当然。(国旗や国歌に対し)先生それぞれの思いもあるでしょうが…」と話している。
 
■国旗国歌法
 平成十年度の県立高校卒業式で日章旗が掲揚されたのは六十二校中五十五校。これに対し君が代斉唱はわずか三校にとどまっていた。入学式も似たようなもので、日章旗掲揚約九〇%に対し、君が代斉唱は三・二%だった。
 それが今回は一気に跳ね上がり、入学式は国旗・国歌ともに一〇〇%を記録。国旗掲揚は小中学校、盲聾(ろう)養護学校ともに一〇〇%、国歌斉唱は公立小学校で九九・五%、中学校で九八・八%、盲聾養護学校一〇〇%。いずれも一〇〇%、もしくはそれに近い数値になった。
 県教委学校教育課の見並頁一主幹は、国歌がほぼ一〇〇%斉唱された理由を議論された時間とは裏腹に「学習指導要領に則した議論がなされた結果」と分析する。
 文部省の″強い指導″もあり、県教委は昨年二月、文部省通達とともに学校長らに「適切な処置」を求める通知文を初めて出している。十一年度に入り、県立高校の校長会や市町村の小中学校長会、教育長会などの話し合いで指導したという。
 国旗国歌法の施行も斉唱率アップに大きく寄与したと見られている。ある教育長「法律の後ろ盾(だて)があるのとないのとでは全然違う。学習指導要領には公式行事での国旗掲揚、国歌斉唱が以前から述べられていたが、『なんで君が代、なんで日の丸の話が先に立ち、議論があいまいになってしまっていた』と聞いている」と語る。
 これまで「前例に倣う」慣行的な部分も多分にあった。国旗掲揚九十%に対し、国歌については一ケタ台というのがそれを物語る。「国旗はともかく、国歌は去年もやらなかったんだから、今年もやらないでいい」と、議題にさえよらなかった学校もあるという。
 
■批判を恐れ
一方で、「政治的な意味合いが濃い」と指摘する声もある。元教諭は「県議会で追及があった『教職員の勤務時間中の組合活動問題』などが各教諭に自重させたのではないか。反対することで何かにつけ、またつるしあげられるのをおそれたのかも」と推測する。
 県議会行革特別委員会での追及に端を発したこの問題は、県教委の調査の結果、過去約三年間で教職員が勤務時間中、一人当たり平均七・七回、時間にして約二十一時間を県教職員組合(三教組)の活動に費やしていた実態が明らかになった。
 教育長や校長ら管理職は処分され、勤務時間中に組合活動を行った教職員に対してはその分の給料返還要請に発展。原因はやはり「慣行」だった。
これらの指摘に対し、三教組の長尾邦弘執行委員は「勤務時間中の組合活動が影響したという考え方が出てくるのは分からないではない。しかし、国旗国歌問題で組合員に職員会議での意見を自粛を求めたことはないし、その必要もないだろう。
「基本的に別の問題だ」と勤務時間中の組合活動問題との関与を否定する。
 そして、国歌の斉唱率が急激に上がったことについては「ちゃんとした分析はしていないが県教委の徹底した指導の結果ではないか」と話す。
従来教育関係者を集めて行っていた国旗国歌の指導を、県教委事務局職員自らが各地区に足を運んで訴えたからという。
 「指導される人にもよるだろうが、県に呼ばれるのと、県が自分のところへ来るのでは全然意味合いが違うと思う」と話し、県教委の熱意が学校幹部を動かしたと見る。
 三教組は今年、国旗国歌問題の運動方針を部分修正した。これまで「強制には反対、だが斉唱そのものに反対していない。職場会議での話し合いを尊重していた」が”聞かれた学校″を目指し、議論対象を学校内部だけでなく地域や家庭、子供にもに広げたという。
 
■中身が重要
 県教委の指導などいくつかの要因が上げられてはいるものの、結局のところ国歌斉唱率アップの明確な答えは教育関係者の間でまだ出ていない。ただ「法制定のきっかけにもなった広島県世羅高校で起きた校長の自殺が教職員、、校長の立場を問わず、大きな衝撃を与えたことは間違いない。「教職員、校長の立場の違いこそあれ、同じ職場で働く仲間。一人だけに負担させ、自殺にまで追いやってはならない」(ある教育長)。「そこまでしてやろうというものでもないはず。自殺者が出るのはおかしいし、そうなってはいけない」(三教組)  これら管理職・教職員双方の共通の感情が、国歌斉唱へと静かに導き、「これまでやってこなっかたんだからという慣例を変化させたのかもしれない。
 しかしそうした場合、国旗・国歌について深い議論があったとはあまり言えず、ただ数字が上がっただけということになる。県教委学校指導課の見並主幹は「これからは実施率より」国際的な勉強の中で国旗、国歌を教えていくなど中身が重要となってくるのではないだろうか」と話している。



■三重タイムズ4月21日号掲載1面「トップ記事」
教員が勤務時間内活動
同和教育研究会への補助金に問題
他団体の資金源にも
会費収入は予算のわずか3割


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 本紙三月三十一日号で、久保憲一鈴鹿国際大学教授の「教授解任」に関連して、三重県人権センターに入居している三重県同和教育研究協議会(三同教)など任意団体の問題を取り上げたが、新たに、別の任意団体の問題が浮上している。三重県では、県内のすべての市町村(六十九)に「同和教育研究会」(同研)という任意団体が設置され、多額の補助金を受けているほか、教員の勤務時間中の事務局活動なども認められている。さらに同研活動に支給されている補助金がさまざまな名目で、三同教などの資金源として吸い上げられていることが分かった。津同研の実態を取材した。
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 津市同和教育研究会(津同研)は昭和四十六年に発足。市の補助金は、記録上では昭和六十一年までしかたどることが出来ないが、発足時から支給されていたことはほぼ間違いない。補助金の額は昭和六十一年度から平成五年度までが六十万円(年間)。
平成六年度から十一年度まで七十万円。十二年度は五十万円となっている。
 平成十年度の決算報告では、収入総額が約百二十万円。内訳は前年度繰越金十六万一千円、津市補助金七十万円、会費三十万八千円、雑収入(利子など)三万円などとなっている。支出総額は九十六万六千円で、残金二十三万四千円が十一年度に繰り越されている。
 十年度の決算報告を取材して、いくつかの疑問が出てきた。なにを対象に補助金が支給されているのか。毎年十六万円とか二十数万円もの残金がなぜ出るのか。また本来、任意団体は構成員の自助努力と責任で運営されるべきもので、実質的予算の七割が補助金というのはほかの団体と比べても突出しているのではないか。
 これに対して津市教育委員会同和教育室(現人権教育課)は、「毎年多くの繰越金があるため、十二年度から補助金を五十万円に減額した。会員の会費についても、自助努力の観点から年間三百円を五百円に増額した」としている。
 民間の任意団体が公的補助金を受ける場合、予算書や事業計画、実施時期など一つ一つについて厳しく精査される。これは税金を投入する限り、それだけの“公益性の担保”が必要だということにほかならない。
 “同和”と名がつくと、使うあてのない多額の残金(繰越金)が出ても認められるのか。どういう事業計画や積算根拠で予算を付けたのか、との本紙の質問に当局は答えられなかった。
 会員の会費についても年間三百円を五百円にしたと当局はいうが、ほかのNPOや民間団体の年間会費と比べても格段に低いといえる。   
 津同研の役員は会長に津市公立小学校長会会長。副会長は同中学校長会会長と三教組津支部長が慣例として就任することになっている。実質上は同和教育推進教員六人で構成する事務局員が取り仕切っているとされている。会員は津市立の保育園、幼稚園、小中学校教員、園長、校長ら約千五百人。事務局は会長をしている校長の小学校(現在は敬和小)に置かれている。
 「会員はすべて教員であり、校長が会長をしている。公益性が高い。任意団体といってもまったく民間団体とはいえない」(田中彌教育長)としている。しかしその津同研の事業活動に支給された市の補助金が、ほかの任意団体に流れていることが本紙の調べで判明した。
 十年度の支出一覧によると、津同研の事業費として支出された金額が七十九万六千三百五十円。一方、三同教などほかの任意団体への支出は十四万九千七百三十円となっている。  
 「公益性が高い」とされて補助金を受けた任意団体が、さらに別の任意団体に参加費や分担金などの名目で補助金を流し、他団体の事実上の活動資金になっているのではないか。
 三同教を取材した時に、担当者が「同和地区のある市町村同研からは五万円、そうでない同研は三万円の分担金を徴収している(年間約二百八十万円)。大会などの収益金(参加費など)が八百万から九百万円ある」と豪語していたが、この金は住民がに汗して市町村に納めた税金ではないのか。
 津市民の税金が、津同研の活動に使われているのならともかく、なぜ三同教や全同教という、津市民に直接関係のない任意団体に毎年、十数万円もの大金が流れているのか。なぜ市教委は黙認しているのか。   津同研の情報公開と共に、市教委の主体性、公正公平性が強く求められている。

三重タイムズ4月21日号掲載3面「読者の声」

● 教師の仕事は教壇に立つこと
 四月七日号の「寄稿」に現職の先生の声が掲載されました。拝読して驚いたのだが、組合の役員を選出することが先んじられ、教員が定数以下になっている学校があるという。この先生が述べられているように教師は教壇に立つことが仕事ではないのか。
夢と希望をもって教職につかれた先生方の現実が、組合活動や他団体の専従になっているなんて、こんなに気の毒な話はないと思う。
 「嫌だ」といえない圧力があることが予想される。学級崩壊などで学校現場が大変な時に、本気で子どもたちのためにと思ってやっているのか。三教組のいっていることがいよいよ口先だけに思えてならない。最近の時勢をみて勇気を出して、誰もが声を挙げる時なのではないだろうか。 一読者

● 市民大学で同和問題を
 三重タイムズ社の「市民文化大学」に出席させて頂き、上杉、松浦両先生の「魂」を聞くことができて大変感銘しました。松浦先生の最近の女子高生の“動物”のたとえ話には、笑うに笑えないものがあり、国家崩壊の現実が確実に迫っていて恐怖を感じたものでした。
 私は県外の出身ですが、三重県にきて同和問題がさかんにいわれているのに驚いています。私は同和問題にまったく無知なので、同和教育の実態について話を聞く機会があればと思っています。「市民文化大学」のテーマに相応しくないかも知れません
が、一度、その問題に詳しい先生のご指導を頂けたらと思います。 四日市市・一読者

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『祖国と青年』4月号

三重の教育正常化運動はいま(下)
                                                    皇學館大學助教授 新田均
   処分・返還の決定


 二月二一日、ついに県教委から勤務時間中の組合活動に関する調査結果が発表された。調査対象教員は三年間で延べ四万八千人。その内の六六%に当たる約三万二千人が不正な組合活動を行っており、その総時間数は約六八万時間にものぼることが明らかになった。県教委は、勤務時間中の組合活動を地方公務員法違反と断定し、給与返還の対象となるとの認識を示すとともに、今後は三、四カ月をかけて集計結果を確認・精査して、返還作業を進めていくと発表した。新聞報道によれば、その金額は一六億円にものぼると予想されている。
 また、これに対する是正措置を怠ってきたことを理由として、県教委は、県教育長・教育次長(二人)・前教育次長を減給処分、審議監・教職員課長・前教職員課長を戒告、事務局各課長等(八人)・教育事務所長(七人)、県立学校長(七五人)を戒告処分とした。その後、三月末をめどとして、順次、県内六九の市町村教委においても教育長および小中学校長の処分が進み、最終的な処分者は八〜九百人にのぼると予想されている。
 なお、この調査に応じなかった教員が一四名おり、これについては再度調査に応じるよう要請し、それでもダメな場合には職務命令を出すこともありえる、と県教育長は述べている。このような県教委の発表を受けて、三重県議会予算決算特別委員会は、同日、平成一○年度決算の「不認定」を決定した。県職員のカラ主張の発覚以来二度目の出来事である。平成一二年二月二一日という日は「三重県教育界の一番長い日」として、後世まで語り継がれるに違いない。
 さらに、二月二八日から三月三日まで会計検査院の六人の担当者が監査に入った。ある公務員によれば、この人数の多さ、期間の長さは、「通常の監査」としては異例であるという。中林県教育長によれば、会計検査院は「この問題は国庫負担金の対象金額にかかわるものであるので今後も引き続き調査検討する。さらに県教委の精査・確認結果の報告を待つ」との講評を述べたらしい。
  三月二日には、県内公立高校の卒業式における国旗掲揚率、国歌斉唱率が発表された。それによれば、国旗掲揚率は昨年の九一・九%から一○○%に、国歌斉唱率は六・五%から、なんと九八・四%にはねあがった。三教組幹部の自民党への約束は、どうやら果たされたと言えそうだ。それにしても、「それでは今までは何だったのか」と皮肉の一つも言いたくなるのは私だけではあるまい。

   自民党県議団「車がかりの戦法」

  三月二日に開かれた県議会の一般質問において、自民党県議団は教育改革の大勢を決すべく、上杉謙信ばりの「車がかりの戦法」に出た。橋川すきや県議(度会郡)が全ての質問を教育改革一本に絞ったのを皮切りに、津田健児(四日市市)・浜田耕司(伊勢市)・中村敏(鈴鹿市)・山本勝(桑名市)・森本繁史(熊野市)といった一期生議員が「教育問題プロジェクトチーム」を結成して次々に関連質問に立ち、さらに貝増吉郎県議(桑名市)も一般質問で教育問題を取り上げて追い打ちをかけたのである(『中日新聞』は、この日の議会を「さながら教育問題集中審議」と評している)。
 橋川県議と中林県教育長とのやりとりは以下のようである。問い「教員の意識改革をどのようにすすめるのか」。答え「中途半端ではダメで徹底した改革を行う。学校運営に関するマネイジメント研修を実施する。自己評価システムを構築する」。
問い「勤務評定の基準の見直しはどうなっているか」。答え「勤務評定の見直しは、知事部局の案を参考にして、実施は知事部局に着かず離れずでおこなう」。

問い「教員の研修をどのように考えているか」。答え「研修の大幅な見直しを行う。個々の教員の研修やグループ研修を県教委がサポートする」。
問い「職員団体や運動団体との関係をどのように考えているか」。答え「主体的に行政を推進し、職員団体は緊張感のあるパートナーと考えている。運動団体に対しては行政の中立性を守り、是々非々で対応する」。
問い「今後、人事システムをどのように構築していくのか」。答え「見直しをおこなう」。
問い「教員の公務員としての自覚や遵法精神をどのようにして高めるのか」。答え「各種の研修に関係法規に関する研修を取り入れ、公務員の義務や自覚を強化するようにする」。
  つづいて五人の県議が関連質問をあびせかけた。津田県議は、「国旗・国歌を実施しなかった校長や教員を処罰する権限が県教委にあるのか」「職員団体への加入・不加入を理由に、昇進や学校運営において、優遇策や不利な扱いをすることは許されるのか」と、人事委員会委員長に質した。これに対して、同委員長は、「教育委員会の権限に属することなので判断を控えさせていただきますが、申し立てがあれば、その時に対応します」「地方公務員法の規定により、不利な取扱を受けてはならないことになっております。申し立てがあれば、対応いたします」と答えた。また、県教育長は、「授業数などについて優遇されることはない。研修についても、授業を犠牲にするようなことがあってはならない」とした。
  浜田県議が「教師の選挙活動についてどのように考えているのか」と質したのに対して、県教育長は「その都度通知してきたが、県民の疑惑を招くことのないように対処したい」と、県警本部長は「法に触れるような行為があれば主体の如何を問わず取り締まります」と、選挙管理委員会委員長は「父母に働きかけることも教師の地位利用にあたり公職選挙法違反です」と、それぞれ答えた。
  中村県議は「三教組が編集し、三教組幹部が役員を務める有限会社・三重県学校厚生会が発行している夏休みの宿題帳『夏休みの友』(県内の小学校の約八五%で使用)について、その内容に「学習指導要領」を逸脱した部分のあること、三教組幹部が理事を務める財団法人・三重県教育文化会館所有のビルに、校長会が職員団体とともに入居していること」を問題にした。教育長は、「『夏休みの友』の内容が、『学習指導要領』や昭和四九年九月の『学校における補助教材の適正な取扱いについて』と題する文部省の通達に照らして問題があることを認め、市町村教育委員会に学校を指導するように要請すること、発行元である有限会社・三重県学校厚生会に内容の是正を申し入れること」を約束した。また、「任意団体である校長会が、財団法人のビルに入居していることは法的には問題はない」としながらも、「県民の疑惑を招く恐れがあることを校長会に申し入れる」とした。中村県議はさらに「教育文化会館が主宰し、学校が協力し、三重県や県教委が後援している『三重県小中学校書初め展』の出品用紙が、有限会社・三重県学校厚生会のものに限られている事実」を指摘するとともに、「旅行代理業や建物の維持管理業務もこの会社の事業に含まれている」と述べて、「公平な商取引が行われるように県教委が監督すること」を要望した。
  山本県議は 「主任の選出が四月始めの組合の職場会議で、校長・教頭のいないところで行われている実態」「教員には教職調整額という名で四%の時間外勤務手当が一律に支給されているにもかかわらず、三重県では『回復時間』と称して、勤務時間外の勤務に対して後日休暇が与えられている事実」「事務職員も教師と同様に休みをとり、仕事の有無に関わらず一定の超過勤務手当を請求することが認められている事実」を指摘した。
教育長は「主任は校長の責任で任命するように強く指導する」「『回復時間』の慣行は、制度上認められないことなので、管理職へさらに指導する」「事務職員に関する慣行は、公務員にあるまじき行為なので厳正に対処する」と答えた。
  森本県議は「県教委に教員出身者が多く(約四五%)、中には教組幹部を務めたものや、組合に所属したままの職員もいる事実を指摘し、県教委の主体性を守るために人員構成の比率を変えてはどうか」と提案した。
  最後に一般質問に立った貝増県議は「教科書採択の情報公開について」「国旗・国歌に関する教育について」「歴史教育の内容の早期是正について」質した。これに対して、教育長は、「教科書採択については、本年度からはある程度公開してきた。これからは議事録や選定委員名の公開も検討していく」「国旗・国歌については、『学習指導要領』にそって小学校から中学校まで尊重する態度を育てる。教える科目は社会科・音楽・特別活動。年間指導計画に入れるように指導する」「歴史教育については、国民としての自覚を育てるような教育が大切。『正論』一二月号で指摘された授業は、一面的で不適切であり、校長・担当教員を指導した。今後、歴史教育の是正を指導していく」と答えた。最後に貝増県議は「『三教組新聞』では嵐が過ぎ去るのを待てばよいというようなことを言っているが、我々はずっとチェックを続けていく」と釘を刺した。

   芝博一県議の奮戦

  三月六日の県議会では、知事与党・県政会の芝博一県議(鈴鹿市)が質問に立ち、再び教育問題を追及した。芝県議はまず、三月一日の参議院予算委員会において、自民党の上杉光広議員と中曽根文部大臣との間で次のようなやりとりが行われたことを紹介し、北川正恭知事の見解を質した。
上杉氏「広島や三重で勤務中に組合活動をした日教組組合員が不正に給与を受け取っていた。各都道府県教委を指導すべきだ」。
中曽根文部大臣「公立学校職員が給与を受けながら、勤務時間中に職員団体のための活動を行うことは地方公務員法で禁止されている。各教委で適正な勤務管理が行われるよう指導していきたい」。
 この質問に対して北川知事は「重く受けとめている。県民に説明できるように県教委が対応することを期待している」と述べた。
 つづいて芝県議は、作野史朗県教育委員長に対して「これまで県教委事務局が提案した議案が、委員による審議の中で修正ないし否決されたことがあったか」と質した。これについて、作野委員長は「事務局が慎重に用意した議案なので、修正ないし否決されたことはない」と答えて、県教委の審議の形骸化を露呈した。また、芝県議が県教委議事録の公開を迫ったのに対し、作野委員長は公表に努めると約束した。
 さらに、芝県議は、中林県教育長に対して、次のような質問をたたみかけた。
問い「給食費などの父兄から徴収するお金を口座引き落としとする『学校徴収金制度』というものがあるが、これを財団法人・三重県教育文化会館が請負い、手数料を徴収すると同時に、父兄のデータ管理を行い、資金が教育文化会館の口座に集められる制度になっていることをどのように考えるのか」。答え「市町村教育委員会や校長の権限に属することがらなので実態を把握した上で、問題があれば是正に努めたい」。
 問い「三教組と表裏一体の三重県教育文化会館に入居している様々な団体の役員に校長が名を連ねている事実をどのように考えているのか」。答え「各種団体の性格を検討して個々に対応したい」。
 問い「新任の校長に対して、職場の労働慣行を認めさせるために『着任団交』と称する団体交渉を行っている学校があるが、これをどのように考えているのか」。答え「是正する」。
 問い「各学校には職員会議の前に開かれる運営委員会なるものがあり、その構成員に組合員の代表である職場委員が名をつらねている。これは、校長権限を束縛する制度ではないか」。答え「学校長の権限を強化するために『三重県立学校の管理に関する規則』を全面改訂し、四月一日から施行する。また、同様の改正を市町村教委にもお願いする。この趣旨に沿って運営委員会の構成メンバーも任命されるべきだと考える」。
 問い「地域によっては毎週水曜日を半日授業とし、午後に組合の職場会議や研修を行っているが、これをどう考えているのか」。答え「教職員側の都合でそのようなことになっているのであれば、是正を指導する」。
 問い「ある組合支部の議案書には、『初任者研修の意図を形骸化させる』『県教委の行う研修は三教組と県教委との確認により、事前協議で基本的合意を得て開催することを定着させている』と記されているが、これをどう考えるのか」。
答え「これは大変遺憾である。研修内容にも不適切なものが含まれていると認識している。今後は、県教委が主体的に研修を実施していく」。

    新たな局面へ

 三月初旬の三重県議会における議論を通じて、三教組に関わる不正についてはほぼ論点が出尽くした感があり、県教委はそのほとんどについて是正を約束した。ここまでの流れは、予想を絶した大勝利、まさに“パーフェクト・ゲーム”と言えそうだ。けれどもそれは、三重県教育界の「パンドラの箱を開けた」に過ぎなかったのかもしれない。三教組問題に関心が注がれている間に、予想もしないところから、いっそう深刻な問題が浮かび上がりつつあった。
 元々この連載は三回で終了する予定だったが、三教組問題についての今後の課題と、新たに出現した問題とを取り扱うために、編集部に無理を申し上げて、もうすこし継続させていただくことにした。


4月27日付産経新聞
三教組問題で代表者会議
 県教委、経過など説明

 県の公立学校教職員の勤務時間中の県教職員組合(三教組)活動問題を検討する「県教委・学校管理に関する代表者会議」が二十六日、開かれ、これまでの経過説明などをした。
 同会議(十六委員)は年度変わりで、定年退職した委員や新たに文部省から就任した上月正博教育次長、知事部局の金融・経営課長から県教委の教職員課長に就任した安田敏春課長らが初顔合わせ。
 現在実施中の勤務実態調査の精査の精度を上げることが検討されたほか、非協力者への再度の要請などが話し合われた。不正勤務時間は約二十五万回約六十八万時間だが、約十六億円とも試算される額の確定は六月ごろになるといい、その後に文部省に報告される見通し。返還方法も未定。

4月29日付産経新聞
「長期研修見直す」
 県教委行革への対応示す
県 議 会
調査特別委

 県議会行政改革調査特別委員会が二十八日、開かれ、県教委の行革経過などが審議された。中林正彦教育長は勤務実態調査は精査中で、不正勤務のうち福利厚生事業や、市町村からの依頼で出席した会議などは不正勤務集計からはずすなどとした。平成十年度に県から県同和教育研究協議会に出された補助金の使途内訳や長期間にわたる派遣問題の対応も報告された。
 十年度は八百六十万円の補助金が出され県同和教育研究大会や、県人権センターの入居費などに補助されていた。人的派遣では十二年度は、県教委から七年間派遣されている研修員が一人、二年から五年が六人、一年が一人いることが報告され、県教委側は「(長期研修などを)今後、見直していきたい」とした。

4月29日付伊勢新聞
 教職員の勤務時間内組合活動
県議会行革特別委
県教委が対応検討

 県議会行政改革調査特別委員会(橋川委員長)は二十八日開き、県教育委員会の教育行政改革を中心に審議した。この中で県教委の中林正彦教育長は、現在進めてい各教職員の勤務実態調査で、一部に調査票の未提出者がいることについて、五月中旬を予定しでいる調査終了までに提出がない場合は、未提出者に対し何らかの対応を検討する考えを示した。芝博一委員(県政会)の質問に答えた。
 【教職員の勤務中組合活動】教職員の勤務時間中の組合活動問題が昨年度明らかになったのを受け、県教委が現在、進めている勤務実態調査について、芝委員が調査票の末提出者の人数と今後の対応を質問。
 中林教育長は、昨年度の調査票回収時点の未提出者十四人のうち、現在までに六人から調査票の提出があったことを明らかにしたが、一方で残る八人が依然として調査票を出していないと述べた。
その上で、「調査報告の締め切りを五月中旬ということで作業を進めているので「調査票が出ないようならば何らかの対応を検討したい」と述べ、締め切りまでに提出がなければ、対応を検討するとした。
 また、今後の調査結果を踏まえた処分については、違法な活動をしていた時間数が明確になり次第、県教委や学校長らでつくる学校管理に関する代表者会議で「組合役員などの処分を検討していきたい」とし、給与の返還方法などは検討中とした。
 芝委員が「教職員の出勤時刻や退出時間の管理が必要だ」と指摘したのに対し、中林教育長は「勤務時間は自己管理の方向へ進んでいる。管理方法を細かくするのはいかがかと思う。校長がリーダーシップと管理能力を発揮し、教育現場の山積する課題に取り組んで
いけるようにすべきだ」と反論した。

 
三重タイムズ4月28日・5月5日合併号掲載1面記事
 
●電話代を学校が負担か
 津同研 総会資料などに元号使用せず

 本紙の調査で、任意団体の津市同和教育研究会(津同研)の新たな問題が発覚した。 津同研事務局が置かれている敬和小学校(山田英一校長)の電話使用料金(ファックス使用料含む)が、同規模校と比較して異常に高いほか、津同研発行の総会資料などで元号を使用せず、すべて西暦を使用している事実が判明した。
 敬和小学校の教員数は十六人、児童数二百十二人。平成十一年度における一カ月間の電話使用料金の最高額が二万九千三百二十五円。最低が二万千二百五十円となっている。 これに対して、同規模校の大里小学校(教員数十八人、児童数二百八十人)や高野尾小学校(教員数十三人、児童数二百二十一人)では、一カ月間の最高額が八千七百四十六円(高野尾小)。最低額は四千六百九十三円(同)と、敬和小学校の約三分の一から四分の一の使用料金となっている。
 津市で大規模校とされる西が丘小学校(教員数三十八人、児童数九百十四人)でさえ、最高額が二万六千二百六十九円となっている。
 津同研会長でもある山田英一敬和小学校長は「親との連絡で電話をすることが多いのではないか。敬和小学校が、他校に比べてなぜ使用料金が突出しているのかよく分からない。津同研でそんなに使っているとは思わない」と話している。
 また昨年度、津同研の事務局長をしていた萩下恵慈教諭は「それほど電話やファックス連絡をすることはない。使ったとしても回数も少ない」としている。
しかし学校側や津同研の言い分が社会的に通用しないことは明らかだ。誰も使っていないのに、なぜこれだけ高額の電話使用料金になるのか。
 市から多額の補助金を受けている任意団体が、学校の電話やファックスを使用して、その料金をさらに市に負担させることは許されない。徹底した原因究明が求められている。 また津同研の総会資料などの印刷物で西暦が使われ、元号が使われていないことについて、山田英一津同研会長は「これまでの慣例でそうなっていた。今後は西暦と元号を併記するようにしていきたい」と話した。
 「津同研は同和差別の根源に天皇制がある。天皇制があるかぎり同和差別がなくならないということで、元号を否定してきたのではないか」との本紙の質問に山田会長は、「過去にはそういうこともあった。しかし、いまは人権という幅広い視点でやっている」とした。三同教問題(三月三十一日号)でも取り上げたように、同和問題を巡っては不明朗な実態が多い。同和差別の解消は国民的課題といえるだけに、県民や市民に対して情報公開が強く求められている。

歴史教育で問題提起 三重タイムズ「市民大学」開く
日本文化に誇りを日本文化に誇りを
魂覆う黒雲除去は大人の責任
 
 三重タイムズ社主催の第一回「市民文化大学」が八日に、津リージョンプラザ第一会議室で開催され、津市や四日市市、菰野町、紀伊長島町などから多数の受講生が詰めかけた。著作や論文で知られている、歴史教育研究家の上杉千年さん(岐阜県高山市在住)が「南京事件と教科書問題」、皇學館大学助教授(日本思想史)の松浦光修さんが「教育改革は市民が主役」をテーマに講演を行い、歴史認識のあり方や日本人の誇りなどについて問題が提起された。
「市民文化大学」は久保憲一鈴鹿国際大学教授の「教授解任」事件をきっかけに、行き過ぎた反日自虐史観による教育の荒廃や日本人としてのアイデンティティの喪失などを検証し、日本の歴史・文化に誇りを持てる教育のあり方を考えようと開催されたもの。
 歴史教育研究家の上杉千年さんは、「南京事件と教科書問題」をテーマに講演。冒頭、国旗・国歌法成立の直接の原因となった、広島県福山市立加茂中学校の佐藤泰典教諭の取り組みを紹介した。
 佐藤さんは広島県、県教育委員会、教員組合の圧力(反日の丸・君が代)に職を賭けて、自らの信念を社会に訴えようと決意。上杉さんも平成九年から雑誌「正論」などに論文を発表し、援護射撃をしたという。
 「佐藤さん一人の努力で国を動かした。久保教授は同和イコール人権はおかしいといっただけだ。こんなことで首にするのは愚の骨頂だ」と鈴鹿国際大学の対応を切り捨てた。
 「南京事件」については豊富な資料や事例を基に、「昭和十三年四月十六日の大阪朝日新聞が、城内で千七九三体、城外で三万三一一体を埋葬した。その費用が一万数千円かかったと報道している。それが昭和五十九年から二十万人以上虐殺したとなる」「当時難民区の中に中国の私服兵が約一万人混じっていた。戦時国際法では私服兵を捕虜にするか処断するかは指揮官の判断になる。戦闘目的遂行に差し支えがあれば処断するのが普通だ。捕虜を確保するために戦闘をしているのではない」「私服兵を処断している現場を米国の記者が目撃。市民を殺していると誤解して通報したことが、南京大虐殺の下敷きになった。南京事件は通常の戦闘行為の範囲内のことであり、ナチスが行った虐殺とは本質的に違う」と持論を展開した。
 また上杉さんは、一橋出版社の「世界史B」(平成四年度申請本)や実教出版の「高校日本史B」(平成七年度―十年度使用本)など教科書の南京大虐殺に関する記述について、誤りがあるとして削除などを要求したとしている。
 「教育改革は市民が主役」をテーマに皇學館大学の松浦さんは、「駅前にたむろしている中高生の姿を見ていると日本人が“サル化”していると思う。しかしあの子たちも好きでサル化したわけではないと思う。不安やいらだちを秘めたその目を見れば分かる。本来の美しい魂を覆っている黒雲のようなものがある。その一つに教科書問題がある」と分析。「先人や高齢者に感謝する。父母や祖先に敬愛の念を持つ。日本国民統合の象徴である天皇について理解させる―。こういった学習指導要領に書かれている当たり前のことを教えないで、お前たちの父母や祖父母は人殺しだ、侵略者だ。戦後の日本は公害ばかりで悪いことだらけだ。天皇がいるから差別があるといって、元号さえも否定する。こういった反日自虐教育、つまり自己否定的な教育を実践する巨大な組織として日教組がある」と指摘した。
 松浦さんは昨年六月に「無惨やな 神の御もとの教育界」を発表。三重県の偏向教育(反日自虐史観による公教育)と学校内でのいじめや暴力行為の発生率の高さ(全国二位)について、「今からでも遅くない。三重県の少年少女や父母のためにも、少しでも早く事態を改善できないか」と訴えた。
 その後、公立学校教諭の渡辺毅さんや皇學館大学助教授の新田均さんらも論文を雑誌などに発表。これらをきっかけに、勤務時間内の組合活動や勤務評定(オールB)問題などが県議会で取り上げられた。
 松浦さんは「少子化で私立大学は大変だが、県内の私立中・高校は競争率が高くなっている。つまり三重県の親は公立学校に安心して、子どもを預けられないと思っている人が多いということだ。三重の公教育には本当にしっかりしてほしいと思う。祖国に誇りと自信の持てる教育をどのように再建するのか。これからみんなで取り組んでいく必要がある。子どもたちの魂を覆っている黒雲を取り払うのは大人の責任だと思う」と締めくくった。
 受講生は高校生から七十歳代と幅広い層から参加。親子や夫婦で参加する人たちもいて、なごやかな雰囲気で意見が交わされた。
●「三重の教育」講演会を開催 歴史教科書をつくる会
 新しい歴史教科書をつくる会三重県支部は五月十三日、津駅前の津グリーンホテル
で「新しい歴史教科書完成記念講演会・よみがえれ、三重の教育」を開催する。
 講師は皇學館大学の新田均氏、松浦光修氏、公立中学校教諭の渡辺毅氏。
 時間は午後二時から。参加費は五百円。問い合わせは?0593・37・3511
(三木さん)まで。
 

■三重タイムズ5月19日号1面トップ記事

●不明確な久保教授解任理由
問題多い勝田鈴鹿国際大学長の言い分
「慎重さ欠く」発言なし 人権センター批判は正当な提言


 月刊誌「諸君!」6月号に、鈴鹿国際大学の勝田吉太郎学長が「大学の名誉のために一言」と題して執筆。久保憲一教授問題に言及した。1月17日付で、久保教授の教授職解任を行って以来、大学側は沈黙を守り続けてきた。津地方裁判所での審尋においては、久保教授側の主張に満足な反論さえ出来ないでいるという。本紙では「諸君!」での勝田学長の言い分にあまりにも問題点が多く、このまま見過ごすことは、久保教授の名誉と本紙の社会的信用を危うくすると判断。改めて、久保教授問題の検証を行った。(編集長・北本 豊)。

 学校法人享栄学園(名古屋市・堀敬文理事長)は1月17日付で、久保憲一鈴鹿国際大学教授の教授職を解任し、学園本部付事務職員とした。
 その理由としては、「平成11年11月5日の三重タイムズ紙面で、鈴鹿国際大学教授の肩書において行った発言。これまでの講義方法等(東条英機に関する映画の鑑賞を強要するかのような指導等)。公的機関である三重県人権センターに対する誹謗ともとられかねない発言などが、学園の名誉と品位を害し、生徒・学生の募集に悪影響を及ぼし、関係諸機関との信頼関係を著しく失墜させるものであった」としている。
 今回「諸君!」6月号の中で、勝田学長はこれまでも「久保先生を庇ってきた」という。口さがない連中の「久保先生は右寄りすぎる。大東亜戦争聖戦論者だ」などの噂も耳にしたが、「あえて久保先生を庇ってきた」という。
 そして、「ついに久保先生を庇いきれない事態が発生した。それが三重タイムズに載ったインタビュー記事である。三重県立の人権センター批判の一文がどうみても、人権同和問題の重要性に関して鈍感かつ著しく慎重さを欠いたものと映じたからである」と述べている。
 さらに、「教授会は久保教授の学問・思想を裁くのでは断じてない。ただ、同氏の人権問題に対する慎重さを欠いた言辞が惹起(じゃっき)すべき結果に、同氏は責任を感じて貰いたい」としている。
 勝田学長が「庇いきれない」とした、人権センターについての久保教授発言(本紙11年11月5日号のインタビュー記事)は次の通り。
「市民活動家の山野世志満さんらと行きましたが、想像以上にひどいものでした。人権センターといってもほとんどが部落問題で占められている。あとの2割ほどが反日、自虐史ですね。どういう子どもや日本人を育てようとしているのかと疑問を感じるような施設です。このセンターで真面目に勉強する子どもがいたら、将来が本当に心配になります。このような施設を公費で建設したこと自体疑問ですね」。
 勝田学長は久保教授のこの発言を「人権問題に対する慎重さを欠いた」ものだとし、
「折しも近隣の高校(複数)でここ1、2年の間に教員の差別発言がひきがねとなり、少なからぬ混乱が発生していた。どうして久保先生はこういう状況のなかでこんな発言をしたのか。同僚の大半が困惑したのも自然の成り行きというもの」としている。
 しかし「諸君!」に掲載された勝田学長の主張には、いくつかの見過ごせない重要な問題がある。
 先ず久保教授解任の理由について、勝田学長は、久保教授が三重県人権センターを批判し「庇いきれなくなった」からだとしている。その中で、「人権問題に対する慎重さを欠いた言辞が惹起すべき結果に、同氏は責任を感じて貰いたい」としているが、具体的になにに対して「責任」を感じて貰いたいというのか、明かではない。
 久保教授の発言(人権センター批判)に対して、本紙には“激励”や“賛同”の声は寄せられたが、抗議や苦情はまったくなかった。久保教授にも抗議などはなかった。
 つまり社会的にはなんの問題やトラブルも起こらなかったという事実がある。
「近隣高校の教員の差別発言で混乱が発生していた。こういう状況のなかで、どうしてこんな発言をしたのか。同僚の大半が困惑した」と勝田学長は、久保教授を責めるかのように論じている。
 本紙には「同僚の大半が困惑した」という情報は伝わっていないが、困惑したのであれば、具体的にどのように困惑したのか。困惑するような圧力でもあったのか。明確に指摘すべきだと思う。
 久保教授は、どこかの高校の教員のように差別発言をしたのではなく、県立の人権センターのあり方について客観的に問題を提起したわけで、勝田学長の主張(こういう状況でこんな発言・・・)は、人権センターの問題をタブー視するものといえる。もっというなら、どういう状況なら勝田学長は人権センター批判を認めるというのか。
 久保教授は人権センターの問題について、これまで平成11年8月と11月の2回、関係者数人と人権センターを訪れ、馬場所長らと話し合っている。久保教授の人権センター批判は、勝田学長が問題とした「本紙インタビュー」が初めてではない。
 本紙8月20日号で久保教授(当時は助教授)は、「人権センターになっていない。実態は同和解放センターだ。もっと人権全般についての啓発をしてほしい」「戦争の扱いが偏向している。蔵書や展示に日本軍や日本人の加害ばかりが目立つ。日本人が受けた被害についてまったく触れられていない。戦争は最大の人権侵害であり、一方が絶対に正しく、一方が悪いというものではない。事実は事実としてバランスの取れた啓発をしてほしい」と要望している。
 これに対して馬場所長は「人権センターは誕生してまだ3年目だ。これまでの長い同和行政の流れがある。そのため同和関係の図書やビデオなどが多い。今後、内容を整理するなかで検討したい」などとコメントした。
 同12月3日号では、主に反日自虐史観に基づく展示などが話し合われ、久保教授は「バランスをとってほしい。明らかに間違っている資料や写真、展示内容は撤去してほしい。必要以上に自虐的なものはセンターとしても考えてほしい」などと語った。
 久保教授の発言の論旨が一貫していることは、これで明らかだといえる。それとも勝田学長は久保教授の“思想・信条”をこれまで知らなかったというのか。
 勝田学長は「(教員適格性審査委員会は)むろん、三重県の人権センターのありのままの姿をも観察した。人権センターについての評論は必ずしも事実と合致しない。随分荒っぽいセンター批判であるという指摘も出た」と書いている。
 勝田学長は久保教授が行った人権センター批判で、「事実と合致」しない部分があるという。事実でない部分があるのなら、具体的に指摘すべきだと思う。 久保教授の身分について、勝田学長は「給与は払っている。いわんや解雇したりしたわけではない」と言い切っているが、このような認識はどこから出てくるのか。本紙4月14日号に掲載したように、享栄学園側は久保教授側の反論を受けて、2度にわたって辞令を撤回している。
 現在、久保教授は教授職に復帰しているが、それまでは教授職を解任され、学園本部付事務職員になったり、事務職員兼教授などの辞令が出されていた。
 教授を辞めて事務職員になれということは、法律論の以前の問題として、どれだけ久保教授のプライドを傷つけ、精神をズタズタにしたか。勝田学長は「給与は払っている。解雇してない」という前に、なぜ久保教授を解任したのか。真の理由を述べるべきだと思う。
 現在、津地方裁判所で審尋(非公開)が行われている。久保教授側は、教授に戻してなぜ講義や教授会への出席を認めないのか、と享栄学園や大学側に反論しているという。
 久保教授は教授職を解任されるまでの勝田学長や大学当局、享栄学園側とのやり取りを録音テープやメモで残している。本裁判になればこれらが証拠として公開されることは間違いない。真相はいずれ明らかにされる。


■三重タイムズ5月19日号4面記事「読者の声」

●正直な学者はイジメられる
 日本には昔から騙したり嘘をついたりする動物に、タヌキとキツネがいる。今回の久保教授の事件は、その双方から騙されイジメられている感を抱かせる。つまり一方では、立場的に権威をもって堂々と解任したことであり、もう一方ではその背後でずる賢く圧力をかけ、自分達の非を隠し世間を騙していることである。
 「正直者はバカを見る」という言葉は、無力な庶民に対する哀歌のはずであるが、いまは「正直な学者は、イジメられる」時代なのか。いやはや世の中も変わったものだ。 東京都

●三重県の偏向教育明らかに
 「諸君!」6月号に載せられた勝田吉太郎鈴鹿国際大学学長の文章は、大学人としての矜持をかなぐり捨てて、新設間もない大学経営を守ろうと苦渋に満ちたものと拝察しました。三重県の偏向教育を進めてきた行政と三教組の恐るべき実態を逆に勝田先生は明らかにされました。
 明治15年以来、「皇国の道義を講じ、皇国の文学を修める―」ことをもって建学の精神としてきた皇學館大学ですら、松浦先生や新田先生の言論活動に対し、陰湿な介入があると聞いています。神宮皇學館時代から優れた教育者を輩出し、学風を慕ってこの大学に学んだ人も多いと思います。いまこそ三重県の教育界のために言挙げすべきではないかと思います。久保先生、松浦先生、新田先生ばかりを働かしてはいけません。 神戸市

■三重タイムズ5月12日号4面記事「読者の声」

●久保教授の姿勢を支持
 鈴鹿国際大学の久保憲一先生の件はこれまで内容がよく分かりませんでしたが、月刊「正論」はじめ、幾つかの論文で漸く理解が出来ました。まことに不可解極まる言論弾圧事件ですが、それ以上に国家解体を目論む反日勢力の陰湿な策謀だと思います。
 久保先生の断固たる姿勢を全面的に支持いたします。私の名前をご自由にお使い頂いて結構です。ご健闘をお祈り申し上げます。拓殖大学総長 小田村四郎

●改善必要な三重の公教育
 毎週楽しみに三重タイムズの記事を拝読させて頂いています。特に三重県の反日自虐史観に基づいた公教育は正す必要があります。子どもたちが一番尊敬し、誇りに思っている父母や祖父母を侵略者だ、殺戮者だ、恥さらしだと、公教育の場で洗脳していく。そして子どもたちは心に大きな傷を受けたまま成長していきます。
 いま子どもたちや青少年に悪影響が出てきています。自分を大切に出来ない人間が、どうして他人を大切に出来るでしょう。先人たちの否定は自分自身の否定にほかなりません。父母を愛し、故郷や祖国の文化・歴史を誇ることは、人としてごく当然なことだと思います。
 日教組主導の公教育は日本民族としてのアイデンティティを喪失させ、民族精神を踏みにじるものだと思います。このような異常事態を改善しようと、訴えられている貴社の信念ある報道精神に心より感謝します。また貴社の「市民文化大学」は、自虐史観の呪縛から私たちを解放してくれるものと感謝しています。 津市 (学生)

 

『祖国と青年』五月号掲載

続・三重の教育正常化運動はいま

                                                    皇學館大學助教授 新田均


同時進行の市民運動

 3月2、6日の県議会は、昨年末から今年のはじめにかけて教育警察常任委員会や行政改革調査特別委員会で積み上げられてきた議論の総決算であった。各委員会で活発な議論が行われている間、私たちのグループはどのような活動をしていたのか。私たちは現場の教師たちから寄せられてくる情報を整理し、問題点を明確にして講演会などで市民に訴えたり、議会で取り上げられた問題を法律に基づいて解説した文章を新聞・雑誌などに投稿したり、関係の公的機関に情報を伝達したり、という活動に忙殺された。
 松浦氏は『正論』3月号に「日教組は『労働組合』か?」を発表して、職員団体に過ぎない日教組には、争議権はもちろん労働協約締結権や団体交渉権も認められていないこと、人事への介入や選挙活動は違法であること、日教組はかつて「破防法すれすれの団体」とさえ言われていたこと、などを指摘した。この論文は日教組のみならず、他の公務員の職員団体にも衝撃を与えたようだ。
 次いで、私が『三重タイムズ』に「三重の公教育を憂うるー教師は「法」を守るべしー」(上)(中)(下)を連載して(2月11、18、25日)、一般教員や在職専従者の兼職問題、有限会社・三重県学校厚生会の営業内容の問題、教師の政治活動の問題などを詳細に掘り下げた。この連載は、ちょうど県議会の議論と同時並行のような形で進んだ。
 さらに、私と松浦氏と浜田県議は、『諸君!』5月号誌上で八木秀次氏の司会による対談を行い、三重県教育界の問題点を総括し、これをあらためて全国に訴えた。
 このような情報は、私たちの仲間の活躍によって、インターネット上で、あるいは手紙やファックスなどで全国の人々や関係公共機関に伝達された。情報を受けた人々の中からは、各地の有力者や関係機関に積極的な働きかけを行う人なども現れた。

教育正常化の兆し

 県政レベルでの大変動にもかかわらず、現場の校長や教員の中には、いま何が起こっているのか正確に認識できていない者がまだまだ多いようだ。だがしかし、変動の波は次第に現場にも及びつつあるらしく、以下のような情報が寄せられている。
 ○小中学校の中には卒業式に備えて「国歌」の練習を行う学校があらわれた。あるベテラン教師は、三十数年勤務したが、音楽室から「国歌」を練習する歌声が流れてきたのを初めて聞いた、と感慨深げに語っていた。
 ○授業を1週間以上も犠牲にして「反日野外劇」を練習し、文化祭で上演していた中学校でも、その中止が決定された。その過程が面白い。その地域の教育関係者によれば、「野外劇を行うかどうかは職員会議の決定に従います」という校長の「暴言」(職員会議は校長の補助機関にすぎない)によって採決が行われ、“民主的”(?)な手続きを経て、野外劇中止という“正しい結論へ”至ったというのである。
 ○勤務評定の誠実な実施が通知されたため、校長の中には「先生たちを評価するなんて、私にはできない」と、泣き言をいう者まではじめたらしい。
 ○『三重県教組新聞』(号外NO8・3月10日)には「『開かれた学校』をめざす観点から、法令に照らして問題のある事項は外からの指摘・批判をまつことなく、早急に、かつ徹底的に見直す」との記述が登場し、事実、これまで指摘されていない“見直すべき慣行”として、次のような「慣行」を自ら指摘している。「わたしたちは教育界内部でのみ認知されてきた『慣行』をこれからも維持していくべきだとは考えません。『研修』という名のもとに別の活動をしていたり、実態として8時間勤務になっていないところ等については早急に反省をし、『慣行』に甘えてきた意識も改めて行かなければなりません」。
 ○ある三教組支部の資料には「(支部の)諸会議(勤務時間内)は基本的に『年休』で実施する。また、各組織では、積極的に活動の見直しと会議の精選をはかる」「三教組の諸会合は基本的に『年休』で参加する。・・・尚、三教組の諸会議も見直しがはかられる予定である」と記されている。
 ○桑名市議の岡村信子氏から聞いたところによれば、ある真面目で熱心な先生が三教組の不合理に耐えかねて、最近、教組を辞めた、という。
 ○三教組活動の問題点を公表する教師も現れたはじめた。県立学校教員の木戸口良樹氏は『三重タイムズ』(4月7日)に「実名」の記事を寄せ、人事異動の内示直後に校内や支部の職員団体の役員人事が行われている事実を指摘した。職員団体の役員にはクラス担任免除などの特典が与えられるため、校内の人事に先立って職員団体の人事が行われることの弊害は大きく、教員数の少ない学校では定数以下の人数で学校運営をしなければならなくなっているという。
 このような状況の中で日本会議三重が作成していた『教育正常化資料T・三重の公教育が危ない!』が完成し、PTAを中心に多くの県民に配布されはじめた。この冊子は、平成11年8月1日発売の『正論』7月号に掲載された「全国高校教育偏向度マップ」から、同年12月までの雑誌や新聞に掲載された松浦氏、渡邊氏、そして私の論文や、『三重タイムズ』の記事などを集めたものである。大手マスコミのこの問題に対する「および腰」によって情報を遮断されていた県民に、正確な情報が流れはじめたのである。

三教組問題における今後の課題

 ある県教委関係者は「もう改革が後退することはありません。行政慣行を変えることは至難ですが、一旦変わってしまうと、元にもどすことはもっと難しい。それが行政というものです。それにしても三教組がこんなにもろいとは思いませんでした。結局、教員のための組織ではなく、組合貴族のための集金組織、怠慢教師を守るための人事組織だったから、現場から擁護の声があがらなかったのでしょう」と語ったという。
 確かに三教組の不正に対する戦いは圧倒的な優勢の内に推移してきた。松浦氏にいわせれば「まさに奇跡」である。この「奇跡」は、県議会議員の活躍、市民運動団体の行動、そして、現場教師たちからの情報提供に基づく私たちの言論活動とがうまく噛み合った結果、と言えるだろう。しかし、戦闘に勝利しただけでは意味がない、その後の施策の方がはるかに大切、とはGHQが日本に残した最大の教訓である。この教訓に従って、県議会では、改革の実施状況を監視する機関の設置が話題となりはじめた。当面、県教委内では「学校運営改革担当」がその役割を担っていくものと思われるが、自民党では「教育問題プロジェクトチーム」が監視役を務めるようだ。しかし、ブームはいずれ去る。ブームが去った後でも改革を後退させないシステムの構築はやはり必要だろう。それとともに、改革の意義を現場教員に徹底させる情報網の整備も不可欠だ。
 ところで、現在の教育委員会は、大政奉還後の朝廷といった趣きのようで、権限は取り戻したものの、それを的確に運用できる人材が不足しているようだ。教育委員会および校長・教頭らの管理運営能力の向上が喫緊の課題である。そのためには、斬新なアイデアに基づく管理職研修の実施と、人材登用のための大胆な刷新人事が不可欠だろう。
 これらの課題に取り組もうとする北川知事の積極的な姿勢の現れなのだろうか。3月31日に発表された人事異動において、平成11年10月に総務課内に設置された教育行政システム改革室に、教育行政システム改革監が新設され、高杉晴文・廃棄物対策課副参事兼課長補佐が就任した。また、教育行政システム改革を幅広く進めるために、文部省学術国際局研究機関課から上月正博・研究調査官が、県教育次長に割愛採用された。さらに、事務局関係の人事と県立学校の人事を教職員課に一元化し、新課長に知事部局から行政職の安田敏春・金融経営課長を配した。これで県教委の中枢部は、三教組出身者以外の人々によって占められることになった。
 しかし、他にも未解決の問題が残されている。三教組主導の教員研修体制が依然として存在しているのはその最たるものである。特に問題なのは、各地域において市町村や校長会を巻き込んだ排他的な教育研究会組織が存在していることである。これが解体されないと、真に自由な教員研修を行うことは不可能である。公共団体が研修については何の特権もない職員団体を特別扱いすることはやめるべきだ。県教委は「総合教育センター」を中心とした研修体制の再構築を考えているようだが、このセンターの構成メンバーも教員出身者が中心らしい。そのような人員構成では「いつか来た道」をたどることになるのではないかと危惧される。
 昨年末から実施された勤務実態調査では教員の研修は対象外とされた。しかし、すでに述べたように「不正研修」の事実があることは三教組自身が認めている。『三重県教組新聞』には「『研修』という名のもとに別の活動をしていたり」と明記されているのだから、県教委は、その実態を早急に調査し、処罰と給与返還を行い、再び不正が行われないようにすべきである。というのも、地域の教育研究会でおこなわれる「学習会」を利用して、教組活動の時間を確保しようと計画している三教組支部があるらからである。

新たな問題点の浮上

 平成11年12月15日、県立松阪商業高等学校長・永井久男氏が自殺した。『週間新潮』(2月17日号)によれば、この事件の背景には、県教委による二十数回に及ぶ調査、部落解放同盟による糾弾学習会、さらに高校内の教員たちによる生徒の前での報告集会の開催要求などがあったという。
 また、1月17日には勝田吉太郎氏が学長をつとめる鈴鹿国際大学の教授・久保憲一氏が、津市にある県営の「人権センター」の展示内容を批判したことを理由として、教授から事務職員への降格を命じられるという前代未聞の言論弾圧事件が発生した。『三重タイムズ』(2月25日)によれば、学長をはじめとする大学当局が、久保教授の批判が部落解放同盟を刺激することを恐れたためであるらしい(『正論』4月号も参照)。
 このような事件を通じて、一部の運動団体を異様に恐れる行政当局や教育関係者の主体性のなさ、言論弾圧も辞さない不見識な姿勢が浮かび上がってきた。
 こうした中、浜田県議は、2月10日の教育警察常任委員会で、糾弾学習会が松阪市役所の一室を借りて開かれ、これに永井校長や多数の県教委関係者が出席していた事実を取り上げて、「同和問題の解決は国民的課題であると思う。しかし、差別事件の解決には糾弾会という方法しかないのか。別の方法は無いのか」と質した。これについて県教育長は、昭和62年の地域改善対策協議会の「啓発指針」(室長名で各都道府県知事に通知)の一部を読み上げ、「差別事件の処理を人権擁護機関に委ねる」という方法があることを明らかにした。これは画期的な発言だったが、同時に、民間運動団体が行う糾弾会・確認会を批判した部分と、それへの行政職員の出席を戒めた部分の朗読を、県教育長が省略したことは、如何に行政当局が同和問題に対して「逃げ腰」であるか、「主体性を欠いているか」をも露呈した。
 同和関係の問題についての県の対応の異様さが注目を引きつつある中、同和教育の研究を目的とし、教員を中心とした任意団体・三重県同和教育研究協議会(「三同教」)に対する県教委の不自然な優遇策が議会で問題とされるようになった。3月15日の教育警察常任委員会で浜田県議によって、また、翌日の行政改革調査特別委員会で芝県議によって、「三同教」が任意団体であるにもかかわらず県の施設である「人権センター」に入居し、入居費の補助まで受けている事実、長期研修を名目に9人の現役教員が長年にわたってー最長は9年ー事務局員として「三同教」に派遣されている事実、文部省の方針に従って他の研究団体に対する補助金をカットしたにもかかわらず「三同教」に対する補助金だけは増額されている事実などが明らかにされた。
 このような事実の指摘を前にして、県教委は「三同教」の決算書その他の関係書類を公表することを議会に対して約束した。ところが、県教委は予算の成立を前にして、その公開を引き延ばす行為にでた。行政改革推進のため情報公開を積極的に進めると口では言いながら、肝心な問題になると情報を隠そうとする。この県側の態度に業を煮やした自民党の岩名秀樹幹事長(四日市市)が知事室に怒鳴り込む一幕まであったという。こうしてようやく、その資料は開示されたようだが、その資料の内容はどのようなものであったのか、どうして県教委はそれほどまでに公開をしぶったのか。
 このような疑惑が高まる中、『三重タイムズ』が独自の取材で、人権センターに関する新たな事実を明らかにした(3月31日)。それによれば、人権センターには「三同教」の他にも人権問題研究所、三重県解放保育研究会、IMADR(反差別国際運動)という同和に関係した3つの任意団体が入居している。県の財政悪化で、県立博物館などいわゆる“箱物”の建設がすべて抑制されている中で人権センターは建てられたが、「三同教」などの4つの任意団体は人権センターのオープンと同時に入居し、図書室を除く2階部分を占拠している。人権センターはこれら4団体以外の任意団体に対しては使用が許可されておらず、3階の会議室もこれら4団体が無料で自由に使用しているという。さらに、これらの団体にはいずれも、教員が長期研修の名目で「事務職員として派遣」されており(給与は公費負担)、このような任意団体に対する教師の派遣も人権センターに入居している4団体以外には例がないという。これについて県教委は「教特法を拡大解釈してきたといえる。是正すべき点は是正していきたい」と語ったそうだが、「“同和”と名がつけば無条件に特別扱いとなるのか」と『三重タイムズ』の追及はきびしい。
 『三重タイムズ』が、人権センターの問題を追及している理由は、「鈴鹿国際大学の久保憲一教授がなぜ教授職を解任されたのか。久保教授が批判した人権センターに、その原因のひとつがあるのではないか」との疑惑があるためだ。久保教授を支援する人々の間では、“人権センターは同和関係諸団体の秘密基地であり、久保教授は、それと知らずに批判してしまった。ここに光を当てられることは関係者にとって非常に都合の悪いことだった。これが久保事件の本質ではないか”との憶測が流れはじめている。
 かつての国旗・国歌の法制化をめぐる議論の中で、当時の野中広務官房長官が、広島における同和問題に言及して「教育者として逃げた姿勢」「そういうものを強要してきた責任や政治のありよう」を指摘にしたことがあった(平成11年8月2日、参議院・国旗国歌特別委員会)。どうも、三重県においても同様の問題があるらしい。3月中旬以降、三重県の教育正常化は、「同和教育に対する行政の主体性・中立性の確立と自由な議論が行われる環境の整備」という新たな課題に直面することになった。

「希望」の光り

 このような流れの中で、私たちも同和教育問題を考えざるを得なくなってきた。三教組が行っていた不正出張や不正研修と同様の不正を「三同教」も行っているとするならば、それを取り上げないのは公平性を欠くからである。また、同和教育関係の資料に目を通してみると、同和教育に名を借りた「反日・反天皇教育」が行われている事実もあるようだ(渡邊毅「今日の教育と神道」『三重の公教育が危ない!』参照)。さらに、そのような問題点の指摘が自由に行えない環境にあるとするならば、思想・言論・学問の自由の観点からも重大な問題である。
 こうした理由で、私たちが同和教育に関連した発言を始めたところ、部落解放同盟三重県連合会から私と松浦氏に会見の申し込みがあった。最初は何事かと私たちも身構えてしまったが、三重県連からの提案は「これからは共生の時代だと考えているので、異なった意見の人たちからも話しをうかがう機会を持ちたい。状況の変化を踏まえて、これまでの運動の在り方についても見直しを行い、改めるべき点があれば改めていくつもりであり、事実、既に改めてきている。講演会のような形で、幹部数名が新田・松浦先生の歴史観・天皇観・神道観などをお聴きする機会がもてれば有り難い」というものだった。もしも、その言葉通りに実現するならば、これは実に画期的なことである。このような企画を通じて、率直な意見交換が行える環境が整うならば、それは同和問題の解決にとっても大きな前進となることだろう。前回、三教組問題解決への前進は、三重県教育界の「パンドラの箱を開けた」に過ぎなかったのかもしれないと書いたが、早くもその底
から「希望」の光が射し始めたようである。
 いま三重県の教育正常化運動は急速に進みつつある。しかし、改革施策の現実化という観点からするならば、“これからが本番”なのだろう。私たちの役割も、もうしばらくは続くであろうが、とりあえず、現時点までの状況報告をこれで終える。さらなるご支援をお願いする次第である。




先月行われました衆議院選挙、参議院補欠選挙で三重県の教員が国家公務員法に準じた人事院規則による政治行為の制限に抵触したため処分(文書訓告)を受ける見込みです。
今回の選挙で教員が処分されるのは全国でも珍しいのではないかと思います。
今後の展開次第(警察の捜査)ではより厳しい処分、すなわち公職選挙法違反による刑事罰を受ける教員もでてくるかもしれません、そうすると学校はクビになるでしょうね。
新聞記事を送ります(産経、読売)。
 

読売新聞(平成12年7月6日付)
公立学校教員
選挙活動19年ぶり処分
鳥羽市・磯部町教委
2人を文書訓告へ
 
 県教委は五日開かれた県議会教育警察常任委員会で、鳥羽市と磯部町の二人の公立校教員が、公務員としては制限されている政治活動をしたとして、監督責任のある二市町の教育委員会に対し、文書訓告処分を行うよう求める文書を送付したことを明らかにした。選挙活動で教職員が処分を受けるのは十九年ぶりという。
 県教委などによると、二教諭は、六月八日の参院補選告示日に年次休暇を取って大王町で候補者のポスターを張っていた。選挙活動は、国家公務員の政治的行為の制限を定めている人事院規則に抵触し、地方公務員でも教職員はこの規則が適用される。
各市町教委から「規律違反報告書」を提出された県教委は、過去の事例と照らし合わせたうえで、懲戒処分までには当たらないと判断、四日付で文書訓告処分を行うよう求める文書を各教委の調べに対し二人は、候補者を推薦している労働団体にたのまれたとしている。
 又、県教委は、県内の公立学校の教職員が勤務時間内に組合活動をしていた問題に関し、勤務実態の精査を八月末までに終え、該当分の給与を年度末までに返還する方針を明らかにした。

産経新聞(平成12年7月6日付)
 
参院補選
2教諭ポスター張る
県教委 町教委に処分勧告

先月の参院補選にからみ志摩郡磯部中の教諭と鳥羽小の教諭の二人が同補選告示日の六月八日午前九時ご
ろに、大王町のポスター掲示板に候補者のポスターを張るのを目撃され、県教委が調査。国家公務員法に準じた人事院規則による政治的行為の制限に抵触するとして、県教委が両市町教委に、二人を文書訓告すべきではないかと、四日付で伝えたことが五日の県議会教育警察常任委員会で明らかになった。県教委関係での選挙にからむ処分は二十数年ぶりという。
 橋川委員(自民)がただした。二人は年次有給休暇を取っており、候補者陣営から依頼を受け、ポスターを張ったという。中林正彦県教育長は、「懲戒処分には該当せず、文書による服務上の注意が妥当と判断した」とし、服務監督者の市町教委に伝えた。
 このほか、ダブルで行われた衆院選三重3区内の三教組支部委員長名による「衆・参選挙最後のとりくみのお願い」というビラも、同委員会で提示され、津田健児委員(自民)が「本業を忘れて選挙活動をするのはおかしい」と追及。
 近藤善弘県警本部長が「内容を調べて、厳正、公正に対処したい」としたほか、中林教育長が「調べる」とした。
 
 
公立校教員不正勤務問題
「年度内に給与返還請求」
県教委長 自主申告の時間精査

 公立学校の教員の勤務時間中の県教職員組合(三教組)活動問題で、中林正彦県教育長は五日、自己申告された不正勤務時間調べを基本に、八月までのニカ月間さらに精査し、平成十二年度内に不正給与分の返還請求をし、来年度早々にも返還されるだろうと、県議会教育警察常任委員会で述べた。
 不正給与返還問題について萩原量吉委員(共産)が、「(この時期に当たり前のように返還、返還というが)返還は、いつ、だれが、どこで決めた」と質問。
 県教委側は二月の県教育委員会で決めたとしたが、萩原委員は「会議録を見ているが、真剣に討議されていない。今後、争い事になるので、誰の決定権で返還を決めたのかはっきりすべき。さらに、(不正勤務は)三年にさかのぼって返還を迫るが、(教職員が自主的に善意で行っている)残業はさかのぼらず、(不正勤務時間と相殺しないのは)おかしい。不正勤務は前知事の故・田川亮三県政の中で県教委幹部と三教組幹部が黙認してきたことで、あの時代は(田川知事の)知事選のビラを駅前で平気で配っていたが問題視されなかった。万一、返還するとしても幹部で責任をとるべき」とした。
 さらに辻本正委員(新政みえ)も「自己申告させておいて、返還を迫るのはペテンではないか」としたが、中林教育長は「違反の調査とはしなかったが、ダマシではない。地方公務員法違反の過払いだから、返還を求めるだけ」とした。