3. 吹きガラスの基本
3.1 吹きガラス工程

 作品紹介の前に、吹きがラスの概略工程を紹介します。

 1つの作品作りを追って撮影したものではなく、適当に撮影してあったスナップ写真を組み合わせたため、途中工程が抜けていたり作品の形状が統一されていないなど、不統一の部分が有りますが、大体の手順は理解できると思います。

 撮影場所は、公開講座に通っている東京がラス工芸研究所の吹きガラス工房です。

 1400℃で溶けたガラス溶解炉の中にステンレス製のパイプ(吹き竿)を入れガラスを巻取ってきます。

 熱くて顔が真っ赤、背中は汗だくです。
 水飴のようにドロドロに溶けたガラスを巻取ったところ。

 この時から、常に吹き竿を回転していないとガラスが垂れてしまいます。
 作業イス(ベンチ)に戻り、新聞紙を折り畳んで水で濡らしたもの(紙リン)を右手に持って、巻取ったガラスを砲弾型に整形します。
 少し息を吹き込み(ブロー)、ガラスを少し膨らませます。

 これを下玉と言う。

 (普通はベンチに戻ってブローを入れるのですが、ここではベンチに戻らず、立ったままの写真を撮ってみました。)
 その上にもう一度ガラスを巻きます。これを上玉と言う。

 タンブラー程度の大きさのものを作る場合は下玉の上に上玉を一回巻いた、2度巻きくらいのガラスの量がちょうど良い。

 もっと大きい花瓶などを作る場合は3度巻き、4度巻きとガラスを増やします。
 巻いたガラスをもう一度紙リンで砲弾型に整形します。

 この時も絶えず吹き竿を回転させていないと綺麗な回転体にならず、失敗します。
 紙リンで整形しているところのアップ写真です。

 ガラスが熱い間は、このようにオレンジ色に輝いています。
 焼戻し炉(”だるま”とも言う)で再加熱(焼戻し)をします。

 加熱の状態はガラスの色と、重力によるガラスの動き具合で判断。

 最初は、この柔らかさの感覚がうまくつかめず、すぐに冷えてしまったり、柔らかくなり過ぎてガラスが垂れ落ちたりで、失敗の連続です。
 もう一度、ブローを少し入れる。
 ブローで球形になったガラス玉を鉄板(マーバー)の上で転がして、中の空気が円錐形になるように外形を砲弾型にする。

(マーバーの代わりに紙リンで形を整えても良い。)

 ここまでは、どんな作品を作る場合もほぼ同じ。この後、いろんな形にする。
 焼戻して柔らかくした後、再びブローを入れ、ほぼ最終作品の大きさにする。

(この時も本当はベンチでブローするのですが、わざと立ったまま写真を撮りました。)
 ガラス玉の竿元の部分を、洋バシ(”ジャック”とも言う:ピンセットのお化けのような物)で挟みながら回転し、細くする。

 これを”くくる”または”くくりを入れる”と言う。
 くくりを入れているところのアップ写真。

 この部分は後で切り離す場所となる。

 この後焼戻して、紙リン、洋バシ、木リン(パドルとも言う:羽子板状の木の板)などで作品の形に整形する。
 ステンレス棒(ポンテ竿)にガラスを巻いたものを作品の底の部分に付ける。(ポンテ付け)

 この後くくり部分に水を垂らすなどして熱歪を付け、吹き竿を叩くと、くくり部分が割れて、作品がポンテ竿の方に移る。

 割れた部分が作品の口になる。
 ポンテ竿に移った作品を焼戻し炉の中に入れ、口の部分を重点的に焼戻す。
 口に洋バシを入れ広げる。
 焼戻しを繰り返しなながら、口を広げ、全体の形を整えていくと完成。

 この後ポンテの付け根に水を垂らし、徐冷炉中に入れてポンテ竿を叩くと、作品がポンテ竿から外れる。徐冷炉の中で半日かけて徐冷する。

 そのままだと底にポンテ痕が残るので、底を研摩して作品完成です。
 これらは、型吹きをするための金型(モール)。

 このモールの中にガラス玉を入れてブローすると、モールの溝型がガラスに転写される。

 作品No. 050, 060, 062, 180,188, 191, 192, 193, 200 などで使用。
 これは、アイスクラックを作っているところ。

 膨らませた熱いガラスを一瞬水につけると、細かいヒビが入り、面白い模様になる。

 作品No. 016, 146〜149,183〜187 などで使用。